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【インタビュー】各クラスにベストな一眼レフを投入する

〜キヤノンイメージコミュニケーション統括開発センター長 村野誠氏

会期:2月26日〜3月1日
会場:米国フロリダ州オーランド Orange Country Convention Center


イメージコミュニケーション事業本部イメージコミュニケーション統括開発センター・センター長の村野誠氏
 PMA直前にEOS 30Dを発表したキヤノン。この新製品を話題の中心としながら、先日までデジタル一眼レフカメラ開発部門を担当し、現在はイメージング関連の要素技術全体の開発を統括しているイメージコミュニケーション事業本部イメージコミュニケーション統括開発センター・センター長の村野誠氏に話を伺った。


現時点でバランスが良い800万画素

EOS 30D
――今回、一眼レフカメラではEOS 30Dが新製品として展示されましたが、センサーはEOS 20Dと同じものでした。この点について新機種を待ち望んでいたユーザーの一部には、失望感もあるようですが、キヤノンとして30Dというモデルをどのような意図、目的で投入したのでしょう?

「30Dクラスの製品は、2000年のEOS D30から始まったものです。そこから少しづつステップアップする中で、たとえばD60から10Dへのモデルチェンジではセンサーはそのままです。今回のモデルも、20Dに対してさまざまな機能の追加やピクチャースタイルの追加などを盛り込んでいます。たまたま、タイミング的に新センサーがなかったというだけで、粛々とより良いカメラを開発していくという姿勢は変化していません」

――現在、第2世代ノイズリダクションを搭載したキヤノン製CMOSが採用されていますが、この世代では画素ピッチ、感度特性、画素数などの関係から、800万程度の画素が最適と判断しているということでしょうか?

「“現在は”という前提で言えばその通り、(APS-Cサイズでは)800万程度がちょうどいいと考えています。EOSの基本コンセプトとして、快速、快適、高画質というものがあります。このうちの高画質を考えた時、そのバランスが最も良いのが800万画素程度という結論です。

――同じ世代のセンサーとはいえ、20Dの発売からは1年半が経過しています。全く変化していないのでしょうか?

「基本的には同じです。もちろん、センサー自身、さまざまな改良を施しながら生産をしていますから、徐々に良くはなっていますがスペック上に反映されるような変化はしていません」

――映像処理エンジンもDiGIC IIのままですが、同じ現像パラメータならば、20Dと同じ絵になるのでしょうか?

「厳密に言えば、より良くなるよう改良は加えています。しかし今回の改良はユーザーからはわからないかもしれません。目で見てすぐに判別できるような違いはありません。それよりも、ピクチャースタイルへの対応が行われたことの方がインパクトとしては大きいと思います」

――今回は発売開始当初からモデルサイクル後期の20Dよりも安い価格設定になっています。かなりKiss Digital Nに近付いてきた印象ですが、ラインナップ変更の前兆でしょうか?

「いえ、全体に価格が下がっているということで、Kiss Digital Nの価格も下がっていますし、3つの価格クラス向けにそれぞれベストな製品を投入していこうと。その中でKiss Digital Nの上の機種として20Dが存在し、同じミドルクラスに5Dがあり、その上にプロ向けの1Dがあるという考え方には変化はありません」


あくまでデジタル部の画質にこだわる

――昨年末、ニコンから発売されたD200は、カメラのメカ部分に力を入れて開発された製品で、デジタル部以外の機能性や操作感、スピード感などが評価されていますが、メカ周りを1Dに近づけるようなアプローチは考えていませんか?

「EOSシリーズ全体の考え方として、フルサイズ化によってフィルムと同等の撮影感覚を実現したり、あるいは画質の向上といった部分に、現在はまだ力を入れていくべきだと考えています。個人的には“もっと官能的なメカのカメラが欲しい”という気持ちは理解できますが、画質にしろファインダーにしろ、デジタル一眼レフカメラにはほかに向上させるべきところがあるとの考え方です」

――カメラのメカ部分に注目が集まるようになってきている背景には、一部のユーザーは画質に対して十分満足できるレベルに達したと判断し、デジタル部分だけでなくメカとしてのカメラにも高級感を求めたい“マニア心”が働いている側面があるのではないでしょうか。そうしたデジタル部への満足度に関して、あるスレッショルドを超えてきていると判断するユーザーは、今後増えてくるのでは?

「では具体的に30DとD200では、何がどう違うか。たしかに操作した時の感触は違うかもしれませんが、性能面では30Dにも大きな自信を持っています。実際に使い比べてみると、メカ部分での違いはさほど大きいものではありません。しかし、EOS-1Dとは明らかに違いますね。キヤノンとしては、プロ向け、ミッドレンジ、それぞれ明確にコンセプトを決めて、何が一番大切なのかを考えた結果として30Dというカメラが存在します」

「あくまでもデジタル部の画質にこだわる理由は、我々カメラメーカーが銀塩時代のフィルムメーカーと同じ役割を担っているからです。フィルムに相当する部分をキヤノンがどのように作るのか。その部分の優先度を現在は高く置いています」

――30DのAFセンサーは、配列は5Dと同じですが、アシストセンサーのない20Dと同一のものと考えていいでしょうか? なぜ5Dと同じセンサーを搭載しなかったのでしょう。

「20Dと同タイプのセンサーです。実はAFセンサーまわりは限られたスペースにギッシリと詰め込まれているため、光学的にも電気的にも、APS-Cサイズセンサー用に作られた構造の中に5Dと同じAFセンサーを入れることはできないのです。現在でも、ギリギリのサイズです」


EF 85mm F1.2 L II USM
――今回、EF 85mm F1.2がII型にアップグレードされました。このレンズはもともと光学性能が優れているため、光学設計はそのままです。しかし、EFレンズの一部は設計が古く最新のデジタルカメラの性能を活かしきれていないと思われるものもありますが、それらを再設計する計画はありませんか?

「85mmはもともと高画質と評判が高かったこともあり、AF速度や絞り形状の変更を加えて新型としました。画質向上を実現するためにも、単焦点レンズを含めてEFレンズのラインナップ全体を改善していこうという計画はあります。ハイアマチュア向けに半切、A3ノビ対応のプリンタや、プロ向けにもラージフォーマットの写真画質プリンタを用意していますから、これらの出力を間近で見た時にも収差が目立たないよう、EFレンズのメンテナンスには取り組んでいかなければなりません」

――EF-Sマウント向けにもF2.8コンスタントの大口径標準ズームが投入されました。暗いレンズが中心だったEF-Sはエントリーユーザー向けの印象も強かったのですが、従来のEF-Sの位置付けが変化しているということでしょうか?

「基本的には変化していません。EFレンズでカバーできないところだけをEF-Sレンズでカバーしようという考え方です。今回、大口径の標準ズームが発売されたのは、顧客からの声を反映したもので、EF-Sの位置付けを再定義するものではありません」


一眼レフの価値はファインダーの見え味

――今年はソニー、松下電器と、家電メーカーから2社が一眼レフカメラ市場に参入してきます。カメラ市場にも何らかの変化が生まれる可能性がありますが、その中でキヤノンはどのようなカメラを作っていくべきだとお考えですか?

「基本は変化しません。快速、快適、高画質。これは同じです。家電メーカーは、一眼レフカメラの世界に電子ファインダーを持ち込むと言われていますが、個人的にはまだまだ使えないという印象です。もちろん光学ファインダーと電子ファインダーの使い分けという考え方もひとつの答えでしょう。しかし、それによって失われてしまう要素もあります。EOSでは20Daでライブビュー機能を付加しましたが、ああいう形での実装が現状ではベストではないでしょうか」

「こうした考え方に立っている理由は、ファインダーの見え味です。一眼レフを使う理由とは何でしょう? 目に映る像が、シャッターボタンを押すだけでそのまま切り取れるからこそ、一眼レフカメラに価値があるのだと思います。その質を犠牲にし、ある一線を超えてまで電子ファインダーを採用はできません。

「ただ、これまで家電製品を作ってきたメーカーが、一眼レフというカメラをどのようにまとめるかには興味があります。ただ、それによって市場が変化するかどうかはわかりません。できるならば、市場の変化を促すほどの革命は、自分たち自身の手で起こしたいと考えています」



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  PMA 2006
  http://www.pmai.org/xpma2006/default.asp
  PMA 2006関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/pma2006.htm


( 本田 雅一 )
2006/03/02 00:32
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