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【インタビュー】カメラの本質にこだわった「DMC-L1」
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~松下電器DSCビジネス・ユニット長吉田守氏、企画グループマネージャー房忍氏
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会期:2月26日~3月1日
会場:米国フロリダ州オーランド Orange Country Convention Center
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左から松下電器の吉田守氏、房忍氏
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いよいよその姿を現した松下電器初のレンズ交換式デジタルカメラ「LUMIX DMC-L1」。その姿はDMC-LC5・LC1の流れを汲むペンタプリズムのないボディに、ライカブランド初の手ブレ補正機能付きレンズが装備され、新しさと伝統的美をうまく融合したものだった。
DMC-L1はまた、初めてのオリンパス製以外のフォーサーズシステムボディでもある。このカメラを開発するDSCビジネスユニット長の吉田守氏、企画グループマネージャーの房忍氏に、DMC-L1開発の背景と今について話を伺った。
■ “松下電器ならでは”といえる要素
――レンズ交換式一眼レフデジタルカメラの開発は、いつごろから検討していたのでしょう?
「事業のスタート時から、中途半端な事業として続けるのではなく、やるならば一流のカメラメーカーと言われるようになりたい。そう考えて努力してきました。そして一流のカメラメーカーと言われるためには、システムカメラを提供することが大前提との考えに至りました。したがって、カメラ事業を始めた最初のころから、レンズ交換式一眼レフデジタルカメラは念頭に入れていました。またやり始めたころは、本当にレンズ交換式カメラのシステムをそろえて提供していくことが可能かどうかを見極める必要もありました」
――その漠然たる望みが具体化したのはいつでしょう。
「“可能かもしれない”と思い始めたのは、2004年の秋ぐらいからです。10月ぐらいからは実際にオリンパスと協議を進め、2005年1月に協業を発表しました」
「我々は一眼レフカメラ開発の経験、ノウハウがありません。レンズマウントの資産もない。オープンなユニバーサルフォーマットであるフォーサーズは、我々にとってもやりやすく、その趣旨に賛同できるということが、オリンパスと結びついた主な理由です」
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参考出品のDMC-L1。レンズはライカD 14-50mm F2.8-3.5(以下同)
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ストロボにはDMC-LC1を思わせるバウンス用ギミックも
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――松下電器の家電製品、特にナショナルブランドには、個性よりも親しみやすさ、趣味性よりも実用性といったイメージがありますが、LUMIXではどのようなブランディングを行なうのでしょう。
「他社と同じようなことをしていても勝ち目はありませんから、カメラの本質に対して松下なりにこだわった製品を作ることが大切です。カメラの進化、基盤技術の発展に貢献しうる力があるからこそ、カメラ業界のプレーヤーとして認知してもらえるのだと思います。松下電器には数多くの技術があり、それら要素技術を組み合わせることで、ユニークな新しい提案ができる。そう考えたからこその参入です。ブランド戦略においても、そうしたカメラの本質を突くモノづくりが重要になります」
――“松下電器ならでは”といえる要素をいくつか挙げていただけますか?
「大きなところではレンズ、センサー、ビーナスエンジン、操作性が挙げられると思います。最近はどのカメラも電子的な操作が主流になってきていますが、実際に目で見て手でコントロールするアナログ的操作感は残すべきだと考えています。デジタル的な操作は、頭の中で咀嚼しながらやりたいことを実際の操作へと翻訳しなければなりません。しかし、ダイヤル操作を始めとするアナログ的操作感は、ビジュアルからの情報をもとに直感的に操作、設定が行えます」
■ E-330と異なるライブビューへのアプローチ
――イメージセンサーの750万画素LiveMOSセンサーとミラーボックスはオリンパスE-330と同じとのことですが、センサーの仕様は全く同じなのでしょうか?
「全く同じです。発売時期は異なりますが、基本的には同じものと考えていただいて結構です」
――ペンタプリズムの軍艦部がないデザインは、当初からこれでいこうと決めていたのでしょうか? またE-330とファインダー周りも同じですか?
「参入時、特徴的なスタイルのカメラを出したいと考えていましたから、最初からこのスタイルで行こうと迷いはありませんでした。ファインダー周りに関しては、背面液晶パネルを使ったライブビューの実現方法に違いがあります」
「具体的にはDMC-L1では撮影用センサーで、ライブビューの表示映像もキャプチャしています。光学ファインダー時は通常の動作、ライブビュー時にはミラーアップしたままになり、シャッターを切るとミラーが戻ってAEとAFが動作し、ミラーアップして撮影が行われます。ライブビュー時はシャッターボタンの動作も異なり、半押し動作がなくなります」
――この手法では、ライブビューでの撮影時、シャッターを切ってから撮影されるまでの時間がかなり長くなってしまいますね。オリンパスのような方式は検討しませんでしたか?
「すべての方式に長所と短所があります。我々は背面液晶をファインダーとしてどのように活用できるのか、利便性を考える上で、デメリットを承知した上で今回の仕様を採用しました。確かにシャッターボタンを押してからのディレイは大きいのですが、一般的な一眼レフカメラに対して異なる価値を提供できる進化のひとつだと考えています。オリンパスとはミラーボックスを共同開発してますが、その先の仕様や作り込みは相談しているわけではないため、最終的な選択肢の取り方が異なったということです」
■ 大量流通にも対応する「ライカDレンズ」
――レンズは福島で生産とのことですが、ライカブランドのレンズ設計・生産はどのようなプロセスで行なっているのでしょう。
「まず福島での生産についてですが、生産そのものは山形の工場になります。生産を行なう松下系の会社が福島にあるという意味です。設計に関しては松下電器で図面を引き、試作の光学特性データなどをライカに提出。その結果、修正すべき点に関してフィードバックをもらって仕上げていく形で共同開発を進めています」
――ライカのレンズは(金属製のため)重い印象がありますが、今回のレンズに関しては意外に軽量という印象を持ちました。
「外装はアルミとプラスティックを用いていますから、真鍮製のライカレンズに比べるとかなり軽量です。真鍮製の伝統的なライカレンズの外装がほしいという声もあるかもしれませんが、我々はレンズを大量に流通させなければなりません。金属の2次加工を伴う生産は行えません。お客さんに“今発注しても2年待ちになります”とはいえません」
――フォーサーズには撮像素子の小ささを活かしたコンパクトなレンズ群もほしいですね。
「まずはしっかりと基本を押さえ、また明るいズームレンズとしたかった。最高レベルのレンズから用意し、その後、コンパクトさを活かしたレンズをそろえていきたいと思います。どのようなレンズを開発していくのか、ある程度のロードマップを発売時には提示したいと思っています」
――外部ストロボとの通信接点まではフォーサーズで規定されていないと思いますが、オリンパスとの互換性は取れるのでしょうか?
「現在、同じものにするために作業を進めています。オリンパスとは、周辺機器も含めてフォーサーズ関連の機材は互換性を持たせなければならないということで意見が一致しています」
■ センサーからメディアまでがすべて自社デバイス
――画質面では映像信号の処理部分で、オリンパス製カメラとの違いがもっとも大きく出てくると思います。そこでの独自性についてはいかがでしょう。
「オリンパスとはミラーボックスを共同開発しましたし、センサーも同じものを使います。それ以外のところも一緒にしてしまうと、独自に製品を出す意味がありません。ですから、ビーナスエンジンIIIのが紡ぎ出す絵は、オリンパスのものとは全く違うものになるでしょう。ユーザーのニーズは幅広いのですから、同じものを出していては面白くないですよ。ですから、開発時にどのように作っていくかは全く相談していません」
――DMC-L1の画像処理が特徴的な部分はどこでしょうか?
「DMC-L1は自社開発のイメージセンサーで光を電気信号に変え、アナログフロントエンドプロセッサでデジタル信号へと変換し、ヴィーナスエンジンのデジタル信号処理を経てSDメモリーカードに入ります。光を電気信号として取り込むところから、それを記録する媒体まで松下製のデバイスで固められます。この一貫性がひとつの優位性だと思います」
――現在のデジタルカメラは、もちろんセンサー自身の特性も重要ですが、それ以上にアナログフロントエンドやその後のデジタル処理、それら信号フローの中での処理手順などが、画質に大きな影響を及ぼします。そこを垂直統合することで、高画質化がやりやすい環境があるということでしょうか?
「我々はカムコーダでの経験があり、社内にデジタルの映像を扱う技術があったため、垂直統合モデルを作りやすかった。そして、その中でそれぞれレベルの高い技術があったのです。購入パーツを組み合わせるのではなく、自社製品を接続するため、各コンポーネントをひとつのコンセンサスのもとに高画質化へと取り組みやすい。ある問題を解決するため、信号処理フローの中のどの部分で対策するべきかを検討し、適切な場所で適切な処理を行なうように行なえるなど大きなメリットがあります」
――カムコーダ開発の経験が、今のデジタルカメラへとつながっていると。そうした例はほかにもあるのでは?
「たとえばガラスモールドの非球面レンズは、CDのピックアップ用レンズとして20年も前から当たり前に社内で量産していました。どんな面構成の非球面レンズも、生産性の高いモールドで量産できます。しかも、性能評価を行なってみると、一般的なカメラレンズでも十分に使える、いやそれ以上の高性能なレンズでした。なにしろ年間4,000万枚もの非球面レンズを作っていますから、そのノウハウの蓄積は半端なものではありません」
「もっとも、カメラ事業を始めるまでは、松下の非球面レンズ生産技術が世界的にも高い水準にあるなんてことは、全く知りませんでした。“そんなにすごいなら、もっと早く言ってよ”と思うほど、安価に量産する技術がありながら、それが知られていないケースはあります。そうした隠れた松下電器の技術を結集して、今後も製品を開発していきたいと思います」
■ URL
松下電器
http://panasonic.co.jp/
PMA 2006
http://www.pmai.org/xpma2006/default.asp
PMA 2006関連記事リンク集
http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/pma2006.htm
( 本田 雅一 )
2006/03/01 00:00
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