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キヤノン、映像エンジン「DIGIC」の技術セミナーを開催


キヤノン株式会社 DCP開発センター副部長 栄木裕二氏
 キヤノンは27日、報道関係者向けに技術セミナーをキヤノン販売本社で開催した。講師はキヤノン株式会社 DCP開発センター副部長 栄木裕二氏が務め、同社のデジタルカメラに搭載されている映像エンジン「DIGIC」について紹介した。

 セミナーでは、デジタルカメラで高画質を得るためのキーとなるデバイスを、レンズ、撮像素子、映像エンジンの3つに分類。人に例えると、レンズは「目」、撮像素子は網膜、映像エンジンは脳に相当するとした。

 DIGICは、デジタルカメラのほぼすべての演算処理機能を集積する、同社が独自開発したLSI。画像処理のほか、メカトロニクス、メモリーカード、液晶表示、USB通信などを制御する、同社製デジタルカメラの心臓部。メモリーにはDDR SDRAMにも対応し高速な演算処理が可能なため、画像を高画質化するアルゴリズム演算を同時に多数実行できることが特徴。


高画質の3要素 映像エンジン「DIGIC」の働き。映像以外の動作にも大きく関わる

DIGIC内部
 映像エンジンを独自設計するには、高度な信号処理技術のバックボーンや、短期間で大規模LSIを開発する技術力が必要だが、栄木氏は「デジタルビデオカメラやフロッピーカメラ時代からの長い技術力の蓄積や、プリンタなどで培ったノウハウを惜しみなく投入し、可能とした」とした。

 同社のカメラの電子化や原色信号処理の歴史は古く、'86年に発売した世界初の電子スチルカメラ「RC-701」と周辺システムにまでさかのぼる。その後'99年に、DIGICの元となる初代映像エンジンを搭載した「PowerShot S10」の発売に至る。現行最新機種の「EOS-1Ds Mark II」や「PowerShot S2 IS」などが搭載する 最新の映像エンジン「DIGIC II」は、その初代映像エンジンから数えて4代目で、DIGICとしては2代目となる。


全機種対応のメリット
 同社では同じ映像エンジンを、デジタル一眼レフカメラとコンパクトデジタルカメラの両方に搭載してきた。全機種に搭載するメリットとして、開発時にデジタル一眼レフカメラで追求した高速処理が、コンパクトデジタルカメラの高速起動やスムーズな連写で生きるケースや、コンパクトデジタルカメラで追求したノイズレス処理が、デジタル一眼レフカメラでは高ISO感度特性における高画質で寄与したなどそれぞれの相乗効果をあげた。

 現像、記録処理の主な流れは「γ(ガンマ)圧縮」、「補間処理」、「ホワイトバランス」、「シャープネス処理」、「JPEG圧縮」、メモリーカードへの「書き込み」という、主に6行程に分けられる。

 「γ(ガンマ)圧縮」は、撮影した画像データ出力値をモニターの特性に合わせて補正する処理。この処理で情報量が失われ、画質に影響を与えるという。RAW記録ではこの処理は行なわないため、情報量のロスはない。

 「補間処理」は、色信号が格子状に存在するベイヤー配列からすべての画素のRGBを作る処理。この処理が不適切だと、発色が悪くなったり、解像度が低下したり、モアレが出たりし、画質に大きな影響を与えるという。

 「ホワイトバランス」は、光源のRGB比を推定して画像を最適な色温度に設定する処理。ほとんどのデジタルカメラではホワイトバランスを、256分割程度の分割測光で光源色を推定しているのに対し、同社では数10万に分割。情報源が豊富なため、正確に光源色を推定できるという。

 「シャープネス処理」は、信号値の変化を強調する処理。やりすぎるとノイズが増え、不自然な画像になる。同社では「この処理に批判的な意見も聞かれるが、本質的にあるべき処理」とした。

 「アパーチャー補正」は、撮像素子で光を集める際、理論上は“無限に小さな点”でサンプリングすることになっている(デルタ関数)が、現存する撮像素子でそれは不可能であり、光を集めるための開口(アパーチャー)を持っている。しかし、その開口でローパス効果が出てしまう(細かい模様がボケる、アパーチャー・ロス)。それを補正するのがアパーチャー補正で、シャープネス処理と同じ演算で行なわれる。

 「JPEG圧縮」は、8×8ドットのブロックごとに、縦・横の波形の組み合わせに分解、波の重み(DCT係数)を加減後、ハフマン圧縮する処理。

 どの処理をどの段階で行なう、あるいは各メーカーが独自に行なう処理により、メーカー間の画質差が生まれるという。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp


( 青山 貴司 )
2005/06/28 15:46
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