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仏Varioptic、AF付き液体レンズのデモを国内初公開


液体レンズのエンジニアリングサンプル
 仏Variopticは19日、液体レンズのデモを国内で初めて公開した。主にカメラ付き携帯電話向けに開発した技術で、2006年末の市販化を目指している。

 液体レンズの仕組みは次の通り。円筒(レンズホルダー)内に電導性の水溶液と非電導の油を封止し、水に電圧を加えることで水と油の境界面を変化させる。境界面が膨張すると曲率が大きくなり焦点が移動、フォーカスとして使用するというもの。同社では「Electrowetting」と読んでいる。必要電圧は40V程度。研究開始の当初は250Vを必要としたが、現在は40V以下の目処も立っているという。

 同社は、従来のAF付き携帯電話向けカメラモジュールに比べて、ステッピングモーターなどの可動部品がないため堅牢性に優れることを強調。また、小型化できることや高速なAF動作、従来比50%程度のコスト安、低消費電力を特徴として挙げた。


CEOのEtienne Paillard氏によるデモ風景 液体レンズの仕組み ズームレンズシステムも公開

 CEOのEtienne Paillard氏によるデモでは、レンズを搭載したテスト機をUSBカメラとしてPCに接続、名刺を写してフォーカス動作を紹介した。デモで使用したカメラの場合、5cmから2mの範囲でピントが合うという。

 また同社は、液体レンズ2枚を使用したズームレンズシステムも提示した。ズーム用の液体レンズ1枚を前群に配置し、後群にもフォーカス用の液体レンズ1枚を組み合わせたもので、どちらも非可動。ただし、収差を抑えるため後群に従来タイプのレンズも配置する。

 液体レンズに使用する水と油の組成は明らかにされていないが、「透明度が高く、密度が互いに等しい。そして低温で固まりにくいもの。基本的には水」(Etrieene Paillard CEO)という。

 同社では、レンズ、レンズホルダー、ドライバIC、電源、USBドライバなどを提供する。また、同社の工場はサンプル生産程度の規模しかなく、あくまでもライセンス供与先での生産を考えているという。

 想定する用途は、カメラ付き携帯電話を中心に、デジタルカメラ、ゲーム機、医療機器、バーコードリーダー、自動車部品、PCカメラなど。


デモで使用した試作カメラ
 Electrowettingの欠点は、まず温度変化に弱いこと。本来、レンズホルダー内の水と油は同一の密度に保たれているが、温度によって水と油の密度が変わると膨張面の位置が変化し、水と油の位置関係がくずれて像を結ばなくなる。現在、室温と同じ25度程度で最も性能を引き出す設計になっているが、カメラレンズとして屋外で使用するには幅広い温度変化に対応する必要がある。

 また構造上、レンズの口径を大きくできないのも問題。現在の技術では、対応温度幅を大きくとった場合に直径5mm程度、温度幅を狭めた場合に10〜20mm程度が限界になるという、例えば、マイナス20度から60度まで対応する同社の「AMS1000」というAF付きレンズの場合、口径は3.6mm。有効口径の大小はFナンバーにも関係するため、現状では本格的なデジタルカメラへの応用は難しいと見られる。ただし、将来的に直径100mm程度の製品を実用できれば、ハイエンド向けデジタルカメラも視野に入れたいとしている。

 なお同社の液体レンズは非球面にできない。「次の段階として研究している」という。

 同社は仏リヨンに本拠地を置くメーカーで、創業は2002年。主要顧客のSamsungとは共同ライセンスを結ぶ関係にある。そのほか、国内メーカーを含む8社が「技術査定中」としている。



URL
  Varioptic(英文)
  http://www.varioptic.com/
  技術解説(英文)
  http://www.varioptic.com/en/technology.php
  【2004年3月19日】CeBIT 2004ブースレポート(ケータイ)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0319/cebit04.htm


( 折本 幸治 )
2005/04/19 15:56
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