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【PIE2005】インタビュー:ソニーのデジタルカメラのこれから

〜デジタル一眼マーケットは注意深く見ている

ソニーマーケティングの青木陽介氏
 厚さ1cmを切るカードタイプデジタルカメラ「サイバーショット DSC-T7」(以下、T7と記述)をひっさげて、フォト イメージング エキスポ 2005に乗り込んだソニー。同社が国内で写真関連の展示会に出展するのはこれが初めてである。

 T7のマーケティングを担当した、ソニーマーケティング株式会社モバイルネットワークプロダクツマーケティング部PIMK課の青木陽介 統括課長に、ソニーのデジタルカメラ事業の将来像を伺った。


「銀塩からの置き換え」需要からデジタルならではの展開へ

−−デジタルカメラ市場、とくにコンパクトカメラ市場が飽和し、単価が下がって収益も悪化しています。市場から撤退したり、利益の出るデジタル一眼レフへ比重を移すメーカーが出てくる中で、あえてコンパクトデジカメを発売しましたが、その狙いを教えてください。

青木 デジタルカメラはアナログよりも可能性が広がりました。さまざまな提案がマーケットやお客様にできますし、その中でデジタル一眼レフはやはり面白い提案で、かつてアナログカメラを使っていたお客様にヒットしているということは、ソニーとしても注意深く見ています。が、ソニーとしては、デジタル一眼もひとつの手ですが、コンパクトデジカメの市場をもっと開拓したいと思っています。

 デジタル一眼レフの現在のお客様は、銀塩時代から一眼レフに親しんでこられた方で、初めて使う方には使いにくいところもあります。やはりコンパクトのほうがとっつきやすく、機能や操作を気にせずに入ることができます。

 2004年まで、デジカメ市場は、ほとんどアナログカメラの置き換え需要で拡大してきました。これを第1世代とすれば、ソニーが今やろうとしているのは第2世代です。デジタルではアナログとはまったく違う、デジタルならではの使い方ができるのではないでしょうか。

 T7のような小さなカメラを作れることも、その1つです。ほとんどの方は普段デジタルカメラを携帯していませんが、これだけ小さければポケットに入れても苦にならず、無意識に携帯することができます。また、大型の液晶ディスプレイで撮ってすぐ見せることもできます。撮ったときの感動がある、その瞬間に見せることができます。

 小さく薄くして大型の液晶を搭載することで、今までの違った使い方を実現できる。しかも、無意識のうちに使い方が変わる。

 ソニーは常に進化を止めず、驚きと感動をお客様に提供したいと考えています。薄くするなら、ちょっと薄くするだけでなく、びっくりするくらい薄くしたい、と考えてT7を開発しました。

 市場の飽和は当然の状態で、これを切り抜けるには各社でいろいろな戦略を持っています。T7では、ソニーの得意技術である薄型化、小型化を生かしました。



−−大画面液晶搭載は世のコンパクトデジカメの流れですし、T7はたしかに薄いですが、「薄くしただけ」とも言えます。意地悪な意見では、これ以外のフィーチャーも考えられたのではないか、というのもあります。

青木 T7はいろんなオプションの中のひとつの方向性です。これひとつですべてを包含できるわけではありません。

 T7では厚さ1cmを切ることが大目標でした。薄さ以外のフィーチャー、たとえば、アナログカメラライクなデジカメをお求めの方にはサイバーショットWシリーズをラインナップするなど、バリエーション展開で対応しています。

 T7のオプションのスポーツパックがいい例なのですが、防水ケースをつけた状態でも、他社の薄型デジカメと同じくらいのサイズで収まります。T7本体がコンパクトだからこそできるわけで、小型化技術が次からのソニー製デジカメの選択肢を広げることにもなるのです。


T7は厚み1cm以下という目標のためにデバイスが新たに開発された ブースでは分解モデルを展示 T7は防水ケースに入れてもなおコンパクトだ

−−「デジタルならでは」という視点では、小型化以外ではどんな展開が考えられるでしょうか。

青木 銀塩からデジタルになったことで、一人のお客様が持っているイメージデータは増えています。また、銀塩時代はプリントしてアルバムにするなど、管理方法もシンプルでしたが、デジタルではHDDレコーダーやPCなど、いろいろなところにデータが分散して、管理が大変になっています。これをどう楽しんでいただくかという技術は、開発しなければならないでしょう。

 それから、ソニーの面白さはいろんなカテゴリのビジネスを持っていることです。デジカメの画像をベガで見たり、PSXでワンタッチでスライドショーを作れたりしますし、もちろんバイオで加工することもできます。そういう横の広がりがようやく具体的になってきました。このへんは技術よりもアイデアが大切なところですから、アイデアさえ出てくればまだまだひろがるでしょう。

 ただ、キラーコンセプトがないのです。どのメーカーも技術は持っていますが、その技術をどうコンセプトや商品に結びつけるかが、どこも出せていません。ですから、あと3年はいろいろなアイデアや実験が行なわれるでしょう。


ハイエンドクラスにはコミットし続ける

DSC-F828
−−さて、DSC-F828が発売されてから1年以上経っていますが、ハイエンドクラスのデジカメは今後どうされますか。

青木 このクラスのお客様になると、小さかったり薄かったりするだけでは満足していただけません。画質や機能が大切になります。F828はスペック的にかなりがんばってしまいましたから、次のモデルも開発はしていますが、もう少し時間をいただきたいと思います。このクラスでは、最先端の技術を背伸びしてでも積みたいと考えています。

 ソニーとしては、デジタルカメラを手がける上でF828のような高機能モデルは絶対やっていかなければならないと考えています。ハイエンドクラスは、ソニーの技術力を高める上で、また、目の肥えたユーザーの方に揉まれる、重要なカテゴリです。今後も開発や投資はやめませんし、コミットを続けます。

−−あくまでレンズ一体型で進められますか?

 そこは難しいところですが、現在のところはレンズ一体型で進めていきます。

−−レンズ一体型ではソニーブランドが売りやすくなるが、デジタル一眼レフでは売りにくくなる、つまり、一般のお客様がデジタル一眼にソニーブランドを求めていない、という調査結果もあるようですが、このへんはいかがでしょう。

青木 デジタル一眼レフユーザーの方が、トラディショナルなものを求めておられるということはあるようです。しかし、レンズの上にペンタプリズムがあるような、一般的な一眼レフのデザインでなければ、ソニーブランドがプラスに働くこともあるかもしれません。

 お客様はソニーに革新やチャレンジを求めておられるようです。ソニーブランドがお好きな方には、なにも変わらないソニーというのがとても退屈に感じられるのではないでしょうか。

−−あるトラディショナルなカメラのブランドを、ソニーが買い取るという噂もありましたが。

青木 いろいろなケースはスタディしていますが、何も決まっていません。

 ソニーブランドが不得意な分野向けに、トラディショナルなブランドを使うという方法は確かに考えられます。が、正直に言えば、ソニーにとってデジタル一眼レフというのはそれほど大きなビジネスのポーションではありませんから、そうまでして参入するべきなのかは議論になるところです。

 一方でデジタル一眼レフマーケットが伸びているのも顕然としています。そこに対してソニーが何も提案しなくていいのか、という議論もあります。

 何も決まっていませんが、どうなるにしろソニーらしさを生かす方向でいきます。



( 田中 真一郎 )
2005/03/19 10:42
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