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【PMA 2005】デジタル時代で変わったシグマのレンズ開発

〜コスト最優先から画質重視へ

シグマの山木和人 取締役副社長
【お詫びと訂正】記事初出時、記事タイトルおよび文中にて山木和人氏のお名前を、編集部のミスにより間違えて記述しておりました。お詫びして訂正させていただきます。

 PMA 2005前に単焦点レンズを含むAPSサイズセンサー専用のDCシリーズ3製品を発表し話題を振りまいたシグマ。取締役副社長の山木和人氏に話を伺いにPMA 2005、シグマブースへと向かったが、その目的はやはり新DCレンズ3本に触れること。

 PMAに持ち込まれていた各レンズは量産ラインに載せる前の手作り試作ということで「変なものが写っても笑ってくださいね」と山木氏に念押しされたものだ。ブース外に持ち出すことはもちろん、撮影サンプルの公開も行えないが、なかなかどうして、試作品ながら素性の良さを十分に感じさせるものだった。


期待を裏切らない2本のレンズ

左から「10-20mm F4-5.6 EX DC HSM」、「18-200mm F3.5-6.3 DC」、「30mm F1.4 EX DC HSM」
 試写させていただいたのは、たまたまテーブルに持ってきてもらった新レンズ3本のうち、キヤノンマウントを採用した「30mm F1.4 EX DC HSM」、「10-20mm F4-5.6 EX DC HSM」の2本。いずれも画質重視のEXシリーズである。「18-200mm F3.5-6.3 DC」は、その場にあったものがSAマウントだったため、筆者が取材で持ち歩いていたEOS 20Dには装着できなかった。

 いずれもレビューと言えるほどのコメントは出せないのが残念だが写りはかなりいい。
 まず30mm F1.4 EX DC HSMだが、大きさや重さは各社の50mm F1.4を彷彿とさせる雰囲気。画角も適度でAPS時代の標準レンズと言えるような安心感だ。試作機といいつつ画質も良好で、単焦点レンズらしく歪曲収差や色収差は全くといっていいほど見られない。

 F1.4という明るさから、解放時の描写の甘さを懸念する読者もいるだろうが、僅かにコントラストは下がるものの、シャープさはほとんど失われない。もちろん焦点距離は50mmよりもずっと短いためF1.4ほどのボケは出ないが、開放から使えるため作画で困ることはないだろう。最短撮影距離がやや長め(40cm)である事以外、不満点はほとんどないのではないか。個人的にも是非入手したい1本だと感じた。

 10-20mm F4-5.6 EX DC HSMも期待値以上の出来だろう。筆者はキヤノンのEF10-22mmも何度か使っているが、試作機レベルながら10-20mm F4-5.6 EX DC HSMの方が周辺部の収差は少ないように感じる(もっとも明るさもズーム比も異なるためフェアな比較とは言えないが)。ワイド端でも歪曲収差はほとんど見られず、同社の15-30mmのように対角方向に伸びる直線が全く歪んでいなかった。周辺のフォーカス流れも微少で、光源を画角の端に入れて撮影しても色の滲みはほとんど出ない。

 価格、発売日とも未定とのことだが、製品としての追い込み前の段階でここまで写るとなると、製品版に期待せずにはいられない。


高性能じゃなければデジタル時代は生き抜けない

30mm F1.4 EX DC HSM
−−まずは各製品について紹介していただけますか? まず30mmから行きましょうか。APSセンサーのデジタル一眼レフカメラでは45mm(1.5倍)〜51mm(1.7倍)相当の画角となり、明るさもF1.4とかなりの明るさ。"待ってました"というのが一番最初の印象です。

山木 実は30mmは非常に苦労した製品です。通常はメーカー製に近いスペックのレンズがあり、それらをベンチマークに自分たちの製品の性能を相対比較できます。しかし30mmには直接比較出来る製品がありません。この製品が目指したAPSセンサーで50mm単焦点相当の写り、となると各社の50mm/F1.4がベンチマークになりますが、いずれも設計が古いものが多く、新規設計レンズのベンチマークとしては適切ではありません。

 そこでデジタル時代の標準ということで、ピクセル等倍での鑑賞にも堪えられる解像力、シャープネス、周辺光量など、以前よりもずっと高いところに目標を置きました。しかし、その目標をF1.4の明るさで実現しなければならない。この点は非常に苦労した部分です。

−−30mmという焦点距離は、実は潜在ニーズがありそうで、これまではペンタックスのFA 31mm F1.8 AL Limitedぐらいしか存在しませんでした。30mmの企画は以前からあったのでしょうか?

山木 自分たちはカメラメーカーになりたいと思っていますが、現在の事業の中心は交換レンズです。ですから、APSセンサーが主流になってきた段階で、商品としてニーズが高いと見られる企画が、パーッと社内であふれ出てきました。現在はそれらを順に開発している段階です。

−−発売日、価格とも未定ですが、目処は?

山木 それほど遠くはないですが、まだ公表できる段階ではありません。何しろプロトタイプですから。価格に関してまだ本当に決めかねているんですよ。


−−10-20mmもなかなか良さそうですね。

山木 こちらは超広角のEXシリーズということで、コーティングにかなりの工夫を凝らしてあります。以前は安ければ売れていたのですが、写真の見方が変わってきていますから、ちょっとでも弱いところがあると受け入れてもらえません。“超広角だから”という条件付きレンズではダメで、本当に良いものを作ることしか成功への道はありませんからね。

−−最も売れるところと言えば、やはり18-200mmでしょう。発表はタムロンの同等製品に比べて遅くなりましたが、その分、小型/軽量のスペックになっているようです。

山木 これまで10倍の高倍率レンズと言うと、高倍率だから仕方がない、というは言い訳が必ず付いていました。もちろんこの製品でもかなり厳しいことは厳しいのですが、その中でもデジタル一眼レフカメラユーザーの厳しい評価基準に最低限耐えられるものでなければなりません。実はPMAへの渡米直前に、本社でこの製品の投影試験を見てきたのですが、今回もかなりいいですよ。一昨年の18-125mmも価格性能比ではかなり良い製品だったと自負していますが、そのときと同じぐらいに良い出来だと思っています。


10-20mm F4-5.6 EX DC HSM 18-200mm F3.5-6.3 DC

しばらくはDCレンズが中心に

−−やはり売り上げの中心はズームレンズだと思いますが、単焦点レンズの動きはどうでしょう?

山木 そうですね、ほとんどズームばかりが売れているのは以前から変化していません。しかし、デジタル化で細かな収差がよく見えるようになった影響だと思いますが、レンズ性能を重視するユーザーが買い増しで単焦点を選ぶ事が多くなってきているようです。急激な伸びはありませんが、徐々に増加していますね。たとえば50mmのマクロレンズは、元々高評価を得ていたのですがデジタル対応で設計を新しくすると、さらに口コミで拡がってよく出るようになりました。デジタル時代、確かにレンズに対する要求レベルは格段に上がっていて、開発には大変な苦労が伴いますが、逆に良いモノを作れば売れるという環境になってきていると思います。

 我々としても、安いだけのレンズを作るよりも、写りのいいレンズを作る方がお客様にも喜んでいただけますし、なにより自分たちが仕事をしていて楽しいですから、今後も画質重視で取り組んでいきたいですね。

−−このところAPSセンサー専用のDCレンズが新製品の中心になっていますね。今後も新製品はDCレンズが中心になるのでしょうか。

山木 我々の開発スケジュールにはDCだけではなく、フルサイズフォーマットでデジタルに対応したDGレンズも入っています。しかし、APSセンサー中心の時代になって必要な画角を検討していくと、ニーズがあるのにぽっかり空いている焦点域に新しい提案を行なうことが優先順位として高くなります。

−−つまり今後の売り上げを伸ばすためにも不足しているDCレンズの拡充を戦略の中心にするということでしょうか。

山木 DCだけでなく、DGも同様に伸びているんですよ。とはいえ、フルサイズが無くなることはなくとも、価格帯から見たボリュームゾーンを考えれば今後はAPSセンサーが主流になるでしょうね。

−−交換レンズの市場はデジタル一眼レフ景気で伸びているのでしょうか?

山木 台数ベースで言えば、ほぼ同じような推移ですね。デジタル一眼レフカメラを購入しても、購入時のキットレンズそのままで使い続けるユーザーが大部分を占めています。しかし、その中でもデジタル一眼レフカメラではじめて交換レンズの楽しさを知っていただけたお客様の中には、次々に欲しいレンズを揃えていくでも使って興味を持った人もいます。


SDシリーズの開発は決して止まっていない

PMA 2005におけるシグマのブース
−−SD10の後継機はどのような状況でしょうか?

山木 やはりそこは気になりますよね。我々のブースの周りに貼ってある写真は、いずれもSD9/10で我々のお客様が撮影したものですが、まだまだ楽しめる特徴のあるカメラだと思っています。通常のモデルサイクルからすれば長いのでしょうが、満足できる製品ができるまでしっかりと作り込んでから新機種を投入としたいと思います。決して立ち止まっていたり、リタイアしたり、といったことではありませんから、その点は安心してください。

 それに既存のSD10でも、まだまだソフトウェア面の進化で画質が改善するポテンシャルはあります。ベイヤー配列のセンサーは、すでに長い間研究し尽くされ、画質面ではピークにさしかかってきていると思います。しかしまだFOVEONセンサーは第1世代の発展途上です。それでいて、ここまでの画質が出ていますから。まだまだ伸びしろは大きいんですよ。

−−では次のSDが出る場合は、次の世代ということですね。

山木 FOVEONとの連携は現在も密に行っており、PMAの後もサンタクララのFOVEON本社に立ち寄って打ち合わせてから帰国する予定です。具体的な話はできないのですが、FOVEONならでは、FOVEONでしか出来ない機能を盛り込んだカメラになります。

−−最後に今後の製品展開について、大まかでも構いませんから何かお話いただけますか?

山木 まずはSDシリーズのシステムとしての拡充をカメラメーカーとして取り組みます。また、交換レンズに関しても、購入してからお客さんが残念なキモチにならないような、デジタルに対応したレンズを揃えていきます。これまでは広角の画角に強いニーズがありましたが、今後はワイドだけではなく、多様なニーズに応えていきます。また高画質レンズのEXシリーズ拡充を図っていきます。大口径のデジタル対応ズームレンズを適正な価格で提供していきますので楽しみにしてください。


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【PMA 2005】レンズメーカーブースレポート(2005/02/24)


( 本田 雅一 )
2005/02/25 03:07
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