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【レポート】オリンパスEシステムの「ダストリダクション」思想


オリンパスE-300
 オリンパスでは、2003年発売の「E-1」より、「ダストリダクションシステム」と呼ぶ独自のホコリ除去システムを採用している。E-1登場時にはさほど一般向けにクローズアップされなかった機能だが、2004年12月発売の普及クラスモデル「E-300」の発売に合わせ、オリンパス自体も宣伝の一環として大きく取り上げている。その間、他社の低価格デジタル一眼レフのヒットなどにより、ホコリ問題がアマチュアの間に浸透したことも影響しているのだろう。

 そもそもダストリダクションとはどういう思想から生まれ、どういう動作をするものなのか。オリンパスイメージング株式会社映像開発本部BTC開発部課長の川合澄夫氏に解説してもらった。


超音波振動だけが「ダストリダクション」ではない

SSWF、ローパスフィルター、CCDの配置模式図
 撮影画像に写り込むホコリの発生元を大きく分けると、レンズ交換時に入り込むホコリ類と、撮像素子に近いフォーカルプレーンシャッターや可動ミラーなど内部から出る粉塵の2種類になる。従来からのレンズ一体型なら、レンズ交換はなく、シャッターもレンズシャッターとしてレンズユニット内に組み込まれているため、こうした問題は大きく取り上げられることはなかった。ただ、開発者レベルでは、撮像面が固定されているデジタルカメラ固有の問題として危惧されていた。

 ダストリダクションシステムの開発も、同社初のレンズ交換式デジタルカメラ「E-1」の開発と同時に始まっている。カメラ開発部門の中で平行して行なわれ、まず、ホコリとはどんな種類があり、どのように写り込むのかを検証することから始まった。これに約2年を要したそうだ。

 川合氏によると、撮像素子に写るホコリは、実際には「ホコリの影」のことだという。CCDなど撮像素子は保護ガラスで覆われ、さらにその前面にローパスフィルターが設置されているケースが多いからだ。また、ホコリの影は、ホコリが大きい場合、レンズを絞り込んだ場合、ホコリと撮像面が近い場合に濃くなり、画像の中で認識されやすくなることがわかった。

 そこで、ホコリ除去の前に、影が出にくいシステムを考えたという。まず、撮像面とホコリの距離をなるべく離せば影は薄くなる。そこで、撮像素子とローパスフィルターの前方に、ホコリを止める透明なフィルターを設置すれば良い。しかも、そのフィルターから撮像素子までを完全にシーリングし、さらにそのフィルターが超音波で振動し、画像に写りこむホコリを除去すればなお良い――これが、SSWFを使った「ダストリダクションシステム」の全体の思想だという。つまり、振動によるホコリの除去は最後の手段で、それ以前の対処を含め、3段構えの構成になっているのだ。


E-300もまったく同じ仕組みを踏襲

E-1に搭載されたSSWFとCCDユニット。ガラス円盤からCCDまでは密閉されている
 SSWFはガラス円盤と圧電体、駆動回路からなる。ガラス円盤周囲の裏に取り付けられた圧電体が1秒間あたり35,000回の速度で伸び縮みし、ガラス円盤を屈曲振動させる仕組みだ。屈曲振動とは、フィルターそのものが前後左右にゆれるのではなく、ガラス円盤が盛り上がったり凹んだりすること。圧電素子による超音波振動が複雑な動きを可能とし、効率の良いホコリの除去を行なえるという。

 問題はSSWFをいつ作動させるかだが、E-1開発当初は「ユーザーが意識することなく、常に自然に作動させたかった」との想いから、電源ONに連動させたという。Eシステムでは、レンズ交換時に電源をOFFにするよう説明書で求めている。ユーザーはレンズを外す際に電源を一旦OFFにし、レンズを付け替えた後に電源を入れるので、ちょうどレンズ交換時に進入してきたホコリに対応できる。

 また、電源ボタンのON/OFF以外に、マニュアルで操作する方法もある。E-1とE-300ではメニュー内の「ピクセルマッピング」を実行すると、自動的にSSWFも作動する。ただし、ピクセルマッピングは終了するまで時間がかかるので、SSWFを作動させたいだけなら、すばやく電源をON/OFFした方が良いだろう。

 E-1では、SSWF作動時に音や表示が何も現れないため、ちゃんと動作しているか心配になるユーザーもいるという。そのためか、E-300では、軍艦部にSSWFの作動にあわせて点滅する青色のLEDが追加された。ただしLEDの明滅パターンはSSWFの振動に一致しているわけではなく、明滅の時間も実際の振動よりはるかに長い。一種の演出ともいえるが、SSWFの振動は一瞬なので、仕方のないところだという。


E-300のメイン基板ユニット。E-1で飛び出ていた駆動回路はメイン基板に収められた
 SSWFがふるい落としたホコリはどこに行くかといえば、SSWFの直下にあるダストホルダーに重力で落ち、ダストホルダー内部に設けられた粘着財に張り付き保持される。粘着剤にたまったホコリはサービスセンターで除去してもらえる。除去を依頼するペースは、「使用環境にも夜が、よほど環境の悪い場所で使わない限り、オーバーホールをサービスステーションでするときに交換するレベルと同じ感覚で大丈夫」という。

 なおSSWF自体は、E-1、E-300ともまったく同じ設計と部材になる。同じフォーサーズ規格ということで、撮像素子のサイズ、レンズマウントなどが変わらないため、特別手を入れることなく搭載できたという。ただし、E-1で外に出ていた駆動回路を、E-300ではカメラのメイン基板と一体化させている。E-300という新しいEシステム機の開発にあたり、ダストリダクションの搭載は当然の流れだったのだろう。


完璧ではないが、実用性十分のシステムと自負

 川合氏は、ダストリダクションを「いつでもどこでも安全に使えるブロアーのイメージ」と謙遜して語っているが、他社のデジタル一眼レフユーザーではどんなブロアーを使っても安心できないことを考えると、ずいぶんうらやましい話だ。

 とはいえ、実際にはSSWFでも落とせないゴミはあり、特に極小サイズのホコリを落とすのは格段に難しい。コストをかければ別だが、実用的な範囲に収めるとすると、結局は妥協点を見つけなければならない。そこで、あらゆるホコリを試し、画像に影響を与えるホコリのサイズの上限を探すことで、「写りこむならすべて落とせる」ところまでは持っていけたそうだ。一口にホコリといっても、何千、何万という種類になり、分類は事実上不可能。開発にかかった時間のうち、最も多くを占めているのがホコリの収集と実験という。その間、川合氏はとにかく掃除にいそしんだそうだ。そうして得られたデータをもとに、SSWFで対応すべき具体的なサイズ、種別などが特定された。

 また、ホコリを撮像面から遠ざければ影は薄くなるものの、限られたボディサイズの中では、完全に消せるほど遠ざけることは難しい。実は、ある距離以上になると急速に影が薄くなる領域があり、その領域のどこかにSSWFを設置すれば、ホコリがあったとしても画質にほとんど影響を与えないポイントが存在する。「各社さんも気づいておられ、それぞれ距離を求められているはず。絵作りに関わるため皆さん企業秘密でしょう」とのことだ。

 E-1発売からおよそ1年が経つが、これまでゴミ取りのためサービスセンターに持ち込まれたケースはほとんどないそうだ。砂漠地帯に撮影でかけたプロ写真家が持ち込んだときも「ボディは砂をかぶって真っ白になったが、画像にはホコリは写りこんでいなかった」という。今後、デジジタル一眼レフが今以上に普及すれば、サービスセンターでの対応では追いつかなくなるかもしれない。ほかのメーカーでも何らかの対応を期待したい。



URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  Eシステム
  http://www.olympus-esystem.jp/
  E-300スペシャルサイト
  http://e300.jp/
  ダストリダクション動画解説ページ
  http://www.olympus-esystem.jp/technology/usf/


( 折本 幸治 )
2004/12/15 01:05
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