■ 【お詫びと訂正】
本記事の初出時に、「DOMKE」ブランドについて、“DOMKEは事実上の倒産に陥ってしまい新製品の開発も
なく、米国でも流通在庫がかなり減ってきている”旨の記載がありましたが、削除させていただきました。ご迷惑をおかけいたしました関係者の皆様にお詫びして訂正させていただきます。
また、DOMKEの現状について、日本総代理店である銀一株式会社様のご教示を転載させていただきます。(編集部)
当社が日本総代理店をつとめる米国DOMKEブランドは、ニューヨークとハリウッドに拠点を置く写真映画機材メーカー、The Tiffen Company LLCの一部門です。同社は2003年3月に米国連邦破産法の適用を受けましたが、同時に大手銀行ファンドによる資金注入と生産過程およびブランドマネジメントの健全化を推し進めて会社を再生しました。破産発表の翌日より、ブランドと従業員および工場設備を維持したまま操業を再開しています。
資金繰りの関係上生地手配が間に合わず、DOMKE製品の一部品番では6ヶ月~最大約1年の長期にわたる欠品が続いたことは事実ですが、現在は会社は体力を持ち直しており、米国内はもとより日本国内でもほぼ潤沢に商品が供給されております。
2年に1度しか開催されないPhotokinaである。大手メーカーの取材が続いていたが、会場内にはきっとカメラバッグも溢れているに違いないと確信して歩き回ってみた。何しろフォトフレームや背景用バック紙の展示だけで見飽きてしまうほど、さまざまなベンダーが広いエリアに陣取っているのがPhotokina。きっと隠れた素晴らしいカメラバッグベンダーがあるに違いない……と。
しかし2時間後、見つかったのは、カメラ量販店でもお馴染みのメーカーたちばかり。新型と銘打たれていても、日本で発売済みのものばかりだ。果たしてドイツまで来て、日本で売っているカメラバッグをレポートするべきなのか? と疑問に思いつつも、気を取り直して各社のバッグを紹介していこう。テーマは“ノートPCとカメラを能率的に持ち運ぶバッグ”だ。
■ TAMRAC
日本でも広範なショップで扱われているお馴染みのTAMRACは、米国製の製品ラインに加えて、アジア製の安価なCyberシリーズを加えてPhotokinaに臨んできた。といっても、フラップを開けることなく中身を出し入れできるTurbo Top、本体脇にアクセサリポケットを取り付け可能なM・A・S、ショルダーストラップにアクセサリを取り付けるSASなどの特徴はそのままだ。
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Turbo CyberPro Photo/Computer Briefcase。一般的なナイロン素材を用いアジアで製造した廉価版。軽量さではやや劣るが機能面はほとんど変わらない
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TAMRACのPC対応バッグの多くは、体に当たる部分にPCコンパートメントがある。メインコンパートメントとの間には、ピギーバックのハンドルが通る隙間も設けられている
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比較的早期からPCとカメラの両方を収めることが可能な構造で、なおかつピギーバッグのハンドル部分に取り付けて持ち歩けるPhoto Messenger 9を発売するなど、PC対応にも積極的だったTAMRACだが、Cyberシリーズはさらにさまざまなサイズが用意されている。
中でもPhoto Messenger 9とほぼ同様の構造ながら、よりコンパクトに仕上がっている#5618「Turbo CyberPro Photo/Computer Briefcase」はなかなか使いやすそうだ。コンパクトな分、容量は小さいものの収納力は十分。Photo Messenger 9よりも小さい割には重いのが弱点だが、その分、素材の“コシ”があるため型くずれしにくそうだ。価格も安価とのこと。
TAMRACはノートPC/カメラ兼用バッグのバリエーションが多く、他にもさまざまな製品が展示されていた。
TAMRACのホームページ(英文)
http://www.tamrac.com/
■ LOWEPRO
TAMRACと並んでさまざまな店舗での扱いが大きいLOWEPROは、ノートPCとカメラの両方を収納するバッグを3種類展示。その中でも特に使いやすそうだったのが、ショルダーバッグのStealth Reporter 650 AW、リュックタイプのCompuTrekker AWだ。
Stealth Reporter 650 AWは日本でも既にお馴染みのタイプ。通常のショルダータイプのカメラバッグに見えるが、体にあたる側のパッドが2重になっており、その間にPCを挟み込む形で収納する。比較的安価に入手できるのも魅力だろう。
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LOWEPROのブリーフケースタイプカメラバッグStealth Reporter 650 AW。カメラプロテクタの奥にPCを滑り込ませる隙間がある
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リュックタイプのCompuTrekker AWは新製品とか。多くの撮影機材を一度に詰め込むにはいいが、普通の荷物は入れにくい
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一方、新製品のCompuTrekker AWは、通常のリュックタイプカメラバッグの背中に当たる部分にノートPCを収めるパッド付きのスペースがある。カメラ収納のコンパートメントは、かなり多くのレンズが入り(ちょっと多すぎるかも)、完全収納するとズッシリと来そうな点がやや難点。内部パーティションはすべて取り払う事が可能だが、プロテクタの外枠は内部に残るため、通常のディパックよりもコシが強く嵩張ってしまう。
Loweproのページ(ハクバ写真産業)
http://www.hakubaphoto.co.jp/lowepro/
■ TENBA
このTENBAも近年、量販店の店頭では低価格な製品に押され気味な印象があった。ブース位置も会場内でもっとも静かな(言い換えると人が少ない)場所にある。とはいえ、ノートPCとカメラの両方をカバーするシリーズ「Pro Digital」が開発され、以前からある定番のTENBA製品とは異なる魅力を醸し出している。
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日本では大人気のTENBAブランドだが、Photokinaでは訪問者も少なくやや劣勢気味。もっとも品揃えはさすがだ
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15インチPowerBook対応のProDigital D-15C。一回り小さいD-12Cや17インチPowerBook対応のD-17Cもある
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数字はそれぞれ、PowerBookの液晶パネルサイズに対応している。12インチサイズ向けのD-12Cは、ノートPCとカメラの兼用バッグとしてはかなりコンパクト。米国製のこの手のバッグは、サイズの大きなPCを前提に設計されている事が多く、やや大きすぎるものが多いが、この製品はちょうどいい。サイドジッパーを開けてPCを取り出せる構造もなかなか良い。
他にカメラバッグ定番の直方体デザインを採用したPシリーズ、リュックタイプのDBシリーズなどもあるが、レンズ2~3本にクリップオンストロボ、ボディは1台といった構成なら、D-12Cが使いやすそうだ。
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DシリーズやバックパックのDBシリーズはサイドジッパーからPCを取り出せる構造になっていた。これはなかなか便利
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こちらはProDigital Pシリーズ。トラディショナルな直方体のカメラコンパートメントにPCバッグの機能を組み込んでいる
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TENBAのホームページ(英文)
http://www.tenba.com/
■ DELSEY
ややのっぺりとして、丸みの強いデザインが特徴のDELSEYは、元々はフランスが発祥の地のブランドだそうだ。このブランドも日本での代理店があり入手しやすい。
中でもプロ・ラインの製品は、しっかりとした織りのコシが強い外装で鞄の形が崩れにくい点が大きな魅力だ。その中から1つピックアップしたいのが、PRO DIGITAL BACKPACK 31および33(サイズが異なるだけで機能は同じ)である。
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最高峰PROラインの1つ「PRO DIGITAL BACKPACK 33」。のっぺりとしているが、実物は微妙な曲面で構成されている
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PCコンパートメントは独立。ジッパーが途中までしか開かないようになっており、開きすぎるのを防いでいる
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カメラコンパートメントも開いたところ、きちんとマチが取り付けられ、いきなり全開にならない
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作りは非常にオーソドックスだが、各コンパートメントのファスナーを前回にしてもフタ部分が下に垂れ下がらない点がいい。不意に開けたときにPCやカメラが滑り落ちるといった事故が発生する心配もない。
リュックタイプのカメラバッグは、立ったまま体の前側にバッグを着け直し、そのままファスナーを開けてレンズ交換を行なったり、カメラの取り出し/収納を行ないたい事がある。そんな場合も、きちんと開口角度が制限されているため、中からモノが落ちたりしにくい。
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日本でも人気のブリーフケースタイプ。カメラプロテクタを取り外せば、普通のブリーフケースとしても利用できる
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PRO PHOTO NOTEBOOK EXPANDABLE BRIEFCASE 16もオススメ。今回のPhotokina期間中に見たブリーフケースタイプのバッグの中では、TENBAのDシリーズと共にお気に入りの製品だ。カメラバッグとしては比較的軽量な事とカメラ用プロテクタを外せるため、普通のブリーフケースとしても利用可能な点がいい。
DELSEYのホームページ(英文)
http://www.delsey.com/
■ Crumpler
日本でもカメラバッグメーカーとしてすっかり定着した感のあるCrumplerだが、元々はオーストラリアのメッセンジャーバッグのブランドで、今でも純粋なメッセンジャーバッグの方が、デザインも種類もずっと豊富だ。カメラバッグと言えば、やや“オジサン”の入ったデザインが多い中、Crumplerの製品はカジュアルかつカラフル。
ノートPCとカメラが同時に入るバッグは大きく分けると3種類あるが、ショルダータイプはカメラコンパートメントにパーティションがなくやや使いにくい。リュックタイプは通常のカメラコンパートメントがメインでPCコンパートメントが付属するモデルが大きさに応じて3モデルあるが、オススメは小さめのカメラコンパートメントが底の部分に配置されたFormal Lounge(ミドルサイズ)とFarmers Double(ラージサイズ)だ。
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カメラバッグとは思えない洒落たカラーリングのCrumpler製バッグ。他のバッグメーカーとは明らかに異なった光景となっていた
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Formal Rounge下部のカメラコンパートメント。プロテクタは取り外すことも可能。リュックを体の前に着けてレンズ交換をやりやすい配置になっている
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同じくFormal Roungeだが、こちらは上部にあるPCとそれ以外の荷物を入れるコンパートメント。PCとカメラ以外も収納できるバッグは意外に少ないので貴重な存在だ
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底に設定されたカメラプロテクタ部分だけがファスナーで開くようになっており、上部と隔離されている。リュック上部にはPCコンパートメントがあるが、容量的には余裕があるため、何でも好きなものを余っている部分に詰めることができる。なおカメラプロテクタは取り外しが可能なため、普通のPC対応リュックとしても利用できる。
何より便利なのは、控えめサイズのカメラプロテクタを採用している事もあり、PCとカメラに加えて普通の荷物を比較的多く入れられる点。リュックタイプのカメラバッグは、容量の多くをカメラ用コンパートメントが占めているものがほとんどで、撮影だけに出掛ける時以外は使いにくいが、この2製品なら使い方の幅も広がる。
日本での販売価格が海外に比べて、やや高いことや、欧州やオーストラリアにはある色のうち日本では流通していないものが存在するなど残念な部分もあるが、他にはあまりない製品だけに用途がハマれば魅力は大きい。
Crumplerのホームページ(英文)
http://www.crumpler.com.au/
( 本田 雅一 )
2004/10/04 11:09
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