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【Photokina 2004】ツァイス・イコンがライカMマウントの銀塩で復活


ハッセルブラッドが海外で発売するシルバーボディ。外装はマグネシウム製だ
 ツァイス・イコン(Zeiss Ikon)は、第一次大戦後の不況打開策として、イカ、ゲルツ、コンテッサ・ネッテル、エルネマンというドイツを代表する光学メーカーがカール・ツァイスの音頭取りによって合併、成立したカメラ会社だ。1932年に35mmレンジファインダー機のコンタックスI型を発売。第二次世界大戦前はライカと人気を二分するほどの勢いを誇っていた。しかし第二次世界大戦によってドイツは東西に分断。ツァイス・イコンも東西に分かれてしまった。

 ツァイス・イコンの商標は、西側の会社が受け継ぎ、'70年代の始めまでカメラの製造を続けるが日本のカメラメーカーの台頭によりカメラ市場から撤退。ツァイス・イコンという名門ブランドは姿を消した。今回のPhotokinaで登場した銀塩レンジファインダーカメラ「ツァイス・イコン(Zeiss Ikon)」は、およそ30年のブランクを経て復活したことになる。

 このカメラは海外ではハッセルブラッド、日本国内ではコシナ株式会社が販売。製造は一部のレンズを除きコシナが行なう。

※掲載の画像は試作品のため、デザインの一部が製品と異なります。


コシナが国内で発売するブラックボディ。マグネシウムボディを光沢ブラックペイントで仕上げてある レンズマウントはライカMマウントと互換性のあるバヨネット式。マウント名はZMマウント 距離計の基線長は約75mm

シャッターダイヤルをAに合わせると絞り優先AEになる。このときダイヤルで1/3ステップの露出補正が可能。マニュアル露出時は1/2ステップでシャッタースピードを設定できる 基線長を長くするためファインダーアイピースがボディ左側に寄っている。中央にあるボタはンAEロック 巻き戻しクランクがボディ底部にある。これはボディ上面にスペースが確保できなかったため。ミノルタCLEにデザインが似ている

基線長と外観にこだわったツァイス側

 コシナの小林博文社長の話によると、このカメラの企画は、2002年のPhotokinaの際に始まったという。このときカール・ツァイスが最も重視したのは、距離計の基線長をできるだけ長くしたいということだった。戦前ライカとコンタックスが優劣を競った際、カール・ツァイス側が基線長の長さを根拠にコンタックスの優勢を主張したは有名な話だが、70年以上を経た現在でも同じ部分に固執するとはいかにもヨーロッパのカメラ会社らしい話だ。

 外観デザインについてもカール・ツァイスは旧コンタックスのイメージに強くこだわり、最終的なデザインが決定するまで1年以上が費やされたという。写真を見ればわかる通り、こうして誕生した「ツァイス・イコン」は、ライカMマウントを採用したレンジファインダー機でありながら、M型ライカとはまったく違ったイメージに仕上がっている。


レンズの絞り環には1/3ステップのクリックが設けられている
 このカメラを形式で表すと「レンズ交換式レンジファインダー機」。いわゆるライカ型カメラだ。レンズマンウトはライカMマンウトと共通で互換性がある。旧コンタックスは、ヘリコイドをボディ側を組み込んだ独自のマウントを採用していたが、今回の新製品ではレンズの普及率とメカニズムのシンプルさからライカと共通のマウントを採用。名前だけはツァイスのZからZMマウントと名付けられた。

 撮影モードは絞り優先AEとマニュアル露出の2モード。シャッタースピードはAE時8~1/2,000秒、マニュアル露出時は1~1/2,000秒でシンクロスピードは1/125秒だ。制御は電子式でマニュアル露出時は1/2ステップの設定がカメラ可能。測光はシャッター幕面からの反射光を測る中央重点式だ。

 測距方式は二重像合致式。すでに説明した通り基線長は約75mmと長い。ファインダー倍率は0.74倍なので有効基線長は55.5mm。撮影範囲を示すフレームは採光式ブライトフレーム式で、パララックス自動補正機構内蔵。28/85(同時表示)mm、35mm、50mm用の3種類のフレームを備えている。

 フィルム給送はレバー操作による手動式。巻き戻しはボディ底部にあるクランクを使用する。ボディ上面でなく底部にクランクがあるのは、基線長を長くした結果、上面にスペースがなくなったためだ。裏蓋開閉はヒンジ式なのでフィルム装填が楽にできる。


交換レンズは11月に先行発売

展示されたカール・ツァイス設計の交換レンズ群
 ボディと同時に発表されたレンズは15/21/25/28/35/50/85mmの7本。すべてカール・ツァイスの設計によるもので、15mmと85mmを除き日本で製造される。恐らく日本のカール・ツァイスファンにとってこのレンズ群が最大の魅力となることだろう。

 発売は海外が2005年5月を予定。国内はレンズのみ今年の11月。ボディは来春となっている。ボディカラーは海外がシルバー、国内がブラックを予定。価格は未定だ。

●発売予定のZMマウント交換レンズ
レンズ名 焦点距離 開放F値 レンズ構成 最短撮影距離
ディスタゴンT* 2.8/15 ZM 15mm F2.8 9群11枚 0.3m
ビオゴンT* 2.8/21 ZM 21mm F2.8 7群9枚 0.5m
ビオゴンT* 2.8/25 ZM 25mm F2.8 7群9枚 0.5m
ビオゴンT* 2.89/28 ZM 28mm F2.8 6群8枚 0.5m
ビオゴンT* 2/35 ZM 35mm F2.0 6群9枚 0.7m
プラナーT* 2/50 ZM 50mm F2.0 4群6枚 0.7m
ゾナーT* 2/85 ZM 85mm F2.0 6群6枚 1.0m


Carl Zeissのホームページ
http://www.zeiss.co.jp/
製品情報(英文)
http://www.zeissikon.com/
コシナのホームページ
http://www.cosina.co.jp/



( 中村 文夫 )
2004/10/01 12:40
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