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【Photokina 2004】コダック小島氏が語る、日本市場戦略決定への経緯


Photokina 2004で行なわれたイメージリンクの発表会での小島氏
 Photokina 2004において米イーストマン・コダックは、同社のダイレクトプリントシステム「EasyShare」を基にしたオープンな規格「イメージリンク」を発表した。

 29日に行なわれた日本での発表会では、コダック株式会社 副社長(10月1日付けで社長)の小島佑介氏が「絶対プリント主義」を掲げ、日本市場への再参入戦略を説明した。これに先立つ27日夜(現地時間)、Photokinaが開催されている独ケルンでの記者懇談会において小島氏は、「デジカメ市場の飽和状態を抜け出す鍵は、イメージリンクにある」として、絶対プリント主義とイメージリンクによる日本市場参入への経緯を語った。


これからは「遅れてきた人」のために

 日本市場再参入にさきがけて8月に発売した「EasyShare LS743 Zoom」は通販限定商品だったが、この製品とEasyShareプリンタを同時に買う割合が、インターネット通販で45%、電話通販で70%だったという。

 PCスキルが高く、すでにプリンタを持っているネット通販ユーザーでも半数近くに買われるという人気のほかに、小島氏が注目したのが電話通販ユーザー。こちらは50歳以上のユーザーがほとんどで、PCスキルが低く、EasyShareのコンセプトに“ハマった”ユーザーだった。コダックブランドをよく知り、悪いイメージを持っていない年齢層だったのも幸いした。

 こうした、PCスキルの低い、いわば「遅れてきた人」が、これからのデジカメ市場では重要という認識の下、EasyShareの持つ力を確信したという。


EasyShare LS743 Zoom EasyShareではプリンターにカメラを載せるだけで印刷が可能になる

「PCにストレージさせてはいけない」

イメージリンク発表会でイメージリンク(EasyShare)プリンタドックを操作する小島氏
 一方、「絶対プリント主義」をオリンパス時代から掲げていたという小島氏は、「デジカメで撮影した画像をPCにストレージすると、そのままPCに溜まる一方で外に出てこなくなる」と主張。撮影した画像を分かち合い、楽しみをひろげるにはプリントが最適であり、「PCにストレージさせてはならない」とした。

 また、オリンパス時代にデジタルカメラの高画素化を進めたのは「プリントのため。モニターの解像度はSVGAやXGAだが、プリントのためには解像度は高いほうがいい」とし、「画素数はプリントのためにある」とした。

 店頭プリントなどのシステムも重要な事業としているコダックが、EasyShareのようなホームプリントを推すのは逆効果のようにも見えるが、「プリントする習慣が蘇れば、店頭プリントにもいい影響を与える」との自論を展開した。

 またコダックが持つ世界最大のインターネットサービスを利用して、「ストレージはコダックが受け持ち、楽しい付加サービスを提供する準備もしている」とした。


低価格競争にしないために

 EasyShareを「イメージリンク」というオープン規格にしたのは、やはりオリンパス時代からの「デジタルは1社だけでがんばっても意味がない。複数で育てていくもの」という自論に基づく。EasyShareでの成功を他社に公開してしまう、ということにはコダック社内での反発が強く、イメージリンクを公にするまでには時間を要したという。

 イメージリンク構想については、参加社に現在のデジカメ市場で大きなシェアを握る家電系メーカーが少ないこと、イメージリンクにおいてデジカメと対を成すキーデバイスであるプリンターメーカーがいないことなど、いくつかの問題点があげられている。こうした点についての答えは「参加社を増やす努力を続けている」ということだけだ。

 小島氏は「コダックは低価格商品に強いので、日本市場にも安さで殴り込むことはできる。が、そういう不毛なことはしない」と、あくまで商品の価値の高める戦略で日本市場に挑む態度を表明し、会見を締めくくった。


イメージリンクのロゴと参加社 イメージリンクの輪はどこまで広がるか?


( 田中 真一郎 )
2004/09/30 09:49
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