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コダック、デジカメ再参入の事業戦略を発表

~「絶対プリント主義」で新価値提案

 コダック株式会社は29日、10月より再参入する日本市場での事業戦略を都内で発表した。10月1日付で社長に就任する小島佑介副社長が出席。今後の展望と新規格「イメージリンク」を解説した。


堀氏は会長として小島氏をサポート

堀義和社長(10月1日付で会長に就任)
 まず、10月1日付で会長に就任する堀義和社長が登壇。「富士フイルムの大西さんをはじめ、皆さんが私を追い越して社長職から身を引くのを見て、早く世代交代したいという思いがあった。幸い、36年間のカメラメーカーのキャリアや、オリンパスのデジタルカメラ事業を成功させた実績を持つ小島君がオリンパスから来てくれた。人物、やる気など『我が後継者にふさわしい人材』と感じた」と、社長交代の経緯を語った。

 今後は、「社長のよき相談相手、よきコーチ役として、小島君の得意なコンシューマーデジタル関連を二人三脚でやっていこうと思う」と説明した。

 また、堀氏はEastman Kodakが実施中の中期戦略「Digital Transition」が軌道にのったことを報告、年率7~8%の成長を見込めるとした。そのうちフィルムなど感光材料は年率15%のマイナス成長となり、年率36%増を見込むデジタル製品/サービスがその穴埋めをするというシナリオ。現在の売上高133億ドルから、2006年には160億ドルを見込んでいるという。


「絶対プリント主義」が市場を広げる

小島佑介副社長(10月1日付で社長就任)
 続いて小島氏が「デジタル・イメージング事業における日本市場戦略」と題したプレゼンテーションを行なった。小島氏は、独ケルンで開催中のPhotokinaで27日(現地時間)に開催された発表会に出席後、すぐさま帰国し、今回の発表会に臨み、精力的な姿を印象付けた。

 同氏は2003年12月に、オリンパス光学工業株式会社(当時)の映像システムカンパニー副カンパニー長からEastman Kodakバイスプレジデントに転職。2004年3月には日本法人のコダック株式会社の取締役副社長を兼任し、コダックブランドの日本再参入を指揮していた。

 小島氏は、コダックにおける自らのミッションを「デジタルへの変革」、「国内ブランド力の強化」、「Eastman Kodakにおける日本法人の重要性の向上」を挙げた。特に国内デジタルカメラ市場へのスムーズな再参入を最重要課題とした。

 7月にチノンを買収して100%子会社とし、デジタルカメラの開発センターを置いたのもその一環で、現在、Kodak製デジタルカメラはすべて日本で開発している。日本法人の重要性を増し、同時に競争力の高い製品を設計するのが目的。「ブランド力は広告だけでは成り立たない。顧客満足度の高い製品の提供がブランド力につながる。日本のトレンドは1年で米国に、2年で欧州に、同時進行で中国に影響する。さらに大きな投資を日本にもたらしたい」と抱負を述べた。


イメージ・リンク参加企業(9月28日現在) 写真=プリントの「絶対プリント主義」を掲げる

 また、27日に独ケルンのPhotokina 2004会場で発表した「イメージ・リンク」を解説。従来から同社のデジタルカメラに採用しているダイレクトプリントシステム「EasyShare」をベースにした企画で、プリンタードックにデジタルカメラを載せるだけで、画像のプリントが可能になる。27日にはコニカミノルタ、ニコン、オリンパス、ペンタックス、リコー、三洋電機も参加を表明している。

 市場の縮小が伝えられ、月ベースで初めて前年割れを見せた中での再参入だが、「単月ではマイナスでも年では安定規模での成長段階に入った」と解説。また、「消費者に飽きられたのは、高画素化競争、よく似たデザインの氾濫、扱いづらいプリントシステムためではないか。撮った画像をPCに埋もれさせてはいけない」と疑問を呈し、解決策の1つを「写真=プリントの楽しみ」と定義。「絶対プリント主義」というコンセプトを掲げた。誰もが簡単にプリントできる環境を構築するのは、これから業界が進む道であり、イメージ・リンクがその布石になるという。

 小島氏は、イメージ・リンクを特許使用料なしで公開したことについて、「広くパートナーシップを組むことで、市場を広げていく」と説明した。こうしたデジタルカメラ単体にとらわれない製品構成を、「業務用など店頭プリントソリューションを持つコダックだからこそ。後発の強みを生かせる展開」とした。

 また、10月の本格参入を前に通販限定で発売した「EasyShare LS743 Zoom」については、「好評を持って目標数を完売した」と報告。また、「ユーザーの85%が製品に魅力を感じ、60%がプリンタードックとデジタルカメラを同時に購入した。まだまだ新しいお客さんはいる。ホームプリントが一般的になると改めて感じた」と感想を話した。

 さらに「Kodakのコスト競争力は強いが、国内で価格競争を引き起こすつもりはない。価格下落の大きい製品では高い顧客満足度が得られない」とし、次の製品展開については「Kodakのラインナップのうち、その時々に合わせたものを投入したい」と説明した。


日本市場を強く意識した「LS755 Zoom」

左からレッド、ブラック、シルバー
 引き続き、国内参入製品となるLS755 Zoomについて小島氏が触れた。同氏が開発に最初から関与した製品で、国内市場を強く意識した製品。「コダックでは小島ベイビー第1弾と呼ばれている」(小島氏)。

 コダックのデジタルカメラとして初めて光学ファインダーを廃し、2.5型の液晶モニターを装備。この大型モニターを生かせないかと考えたのが同時発売の「EasyShare フォトフレームドック」という。また、イメージ・リンク初対応の「EasyShare プリンタードック PD-26」を同時に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は18,000円前後の見込み。



EasyShare フォトフレームドックとの組み合わせ EasyShare プリンタードック PD-26

直列収納機構の解説
 本体の薄型化のため、電源をOFFにするとレンズシャッターと絞りが開放され、そのスペースに第2群を沈胴させる「直列収納機構」を採用。折り曲げやスライド式のズームレンズより画質面で有利としている。レンズは独シュナイダー製の光学3倍ズーム「Schneider-KREUZNACH C-VARIOGON」。

 また、コダックとして初めてxD-Picture Cardを採用。同時発売の「DX7590 Zoom」はSDメモリーカードだ。記録メディアについては「機種によって使い分けたい」とした。なお、Kodakブランドの記録メディア(CF、SDメモリーカード)が年内から順次日本でも導入される見込み。

 会場にもパッケージサンプルが展示された。中には「26枚撮り」を大きく謳うパッケージもあったが、これは「300万画素で記録したときの目安」という。また、高容量のメディアが少なく、販路はプリント店やキオスクなど、初心者を対象ルートになると見られる。


Kodakブランドの記録メディアも展開 「26 picture」は300万画素記録時の目安

コダックのホームページ
http://wwwjp.kodak.com/
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http://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2004/09/28/143.html
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0922/kodak.htm
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0122/kodak.htm



( 折本 幸治 )
2004/09/29 23:28
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