富士フイルムは、プロおよびハイアマチュア向けのデジタル一眼レフカメラ「FinePix S5 Pro」を2007年1月下旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は26万円前後の見込み。
海外では9月に発表されており、Photokina2006にも参考出品していた。
なお、海外での発表時に明らかにされていなかった連写速度は、RAW、JPEG(FINE/Lサイズ、以下同)、RAW+JPEGともに約3.3コマ/秒。また、連続撮影枚数は、RAWが24枚、JPEGが29枚、RAW+JPEGが20枚となっている。
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FinePix S5 Pro
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■ 新ボディに新開発の撮像センサーなどを搭載
2004年11月に同社が発売したデジタル一眼レフカメラ「FinePix S3 Pro」の後継モデル。S5 Proではデジタル一眼レフカメラの「D200」をベースにしたと推察される。ボディはマグネシウム合金製で、D200同様にシーリングを施し防塵防滴性を備える。
撮像素子は、新開発のAPS-Cサイズ(23×15.5mm)スーパーCCDハニカムSR Proを採用。有効画素数はS3 Proと同じ1,234万画素だが、デバイス性能の向上により低ノイズ化を図ったという。最大記録解像度は4,256×2,848ピクセル。スーパーCCDハニカムSRは、面積が大きく感度が高い「S画素」と面積が小さくDレンジが広い「R」画素からなる撮像素子。一般のCCDに比べ約4倍のダイナミックレンジを確保できるとしている。加えて、ローパスフィルターを最適化することで、モアレの発生を低減したという。
画像処理エンジンは、新開発となる「リアルフォトエンジンPro」を搭載。「ダブルノイズリダクション」と呼ばれる2サイクルのノイズリダクションにより、最高ISO感度はS3 ProのISO1600からISO3200に向上した。
また、S3 Proでは不可能だったRAW+JPEGの同時記録にも対応した。
撮影シーン別にダイナミックレンジ幅を設定できる機能を備え、100%、130%、170%、230%、300%、400%の6段階から選択することができる。さらに、カメラが自動的にダイナミックレンジを選択する「AUTOモード」も備える。なお、ダイナミックレンジ幅を100%以外に設定した場合は、連写速度が約1.7コマ/秒になり、連続撮影枚数はRAWが10枚、JPEGが19枚、RAW+JPEGが8枚となる。
■ 再生時の顔検出機能やカラーでのライブビューを搭載
同社独自の顔検出機能をIC化した「フェイスズームイン」機能を新たに搭載した。再生モード時に、画像の中から最大10人までの顔を検出し、顔部分を拡大して液晶モニターに表示。表情やピントなどを確認することができる。
画像の色彩や階調を設定する「フィルムシミュレーションモード」は、従来の「スタジオポートレートF1」に「F1a」、「F1b」、「F1c」の3つのバリエーションを追加。人物撮影時のライティングや撮影意図に合わせた選択が可能になっている。また、リバーサルフィルム調の色彩表現が可能な「フジクロームモードも」S3 Proから引き続き搭載する。
S3 Proでモノクロのみだったライブビューは、カラー表示に対応。従来通りのモノクロ表示も選択できる。なお、表示時間はいずれも30秒までとなっている。
■ ファインダー倍率や測距点数が向上
ファインダーは、視野率約95%、アイポイント約19.5mmのペンタプリズム式。倍率はS3 Proの0.8倍から0.94倍になり、測距点はS3 Proの5点から11点に増えた。液晶モニターはS3 Proの2型から2.5型に大型化。画素数は約23万画素。プラスチック製の液晶保護カバーが付属する。
レンズマウントは、ニコンFマウントをS3 Proに引き続き採用する。使用可能なレンズはD200と同様。非CPU内蔵レンズでも、レンズ情報手動設定により、絞り優先AE、マニュアル露出などに内応する。
撮影モードは、プログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE、マニュアルの4種類。測光方式は3D-1,005分割3D-RGBマルチパターン測光IIを採用。中央部重点測光とスポット測光も備える。AFフレームは11点。7点のワイドフレームも利用可能。
シャッターには、レリーズ回数10万回以上の耐久性を実現したユニットを採用。レリーズ時の振動を抑制し、静粛性を図ったという。シャッター速度は30~1/8,000秒でバルブも備える。ストロボ同調シャッター速度は最大1/250秒。
S3 Proでは、CFとxDピクチャーカードのダブルスロットを採用していたが、S5 ProではxDピクチャーカードスロットを廃止。CFとMicrodriveのみに対応する。
ガイドナンバー12(ISO・100m)のポップアップストロボを内蔵し、i-TTL-BL調光に対応する。また、ニコンのクリップオンストロボ「SB-800」と「同600」でi-TTL-BL調光が可能。ボディにはシンクロ端子も備える。
パスワードでカメラの誤操作を防止する「ファンクションロック機能」やRS-232Cのバーコードリーダーを接続し、画像ファイルを管理する「バーコード管理機能」など搭載する。
別売のRAW現像ソフト「HS-V3」(19,425円)を利用することで、S5 ProのRAWデータ現像が可能。同ソフトは、PCからシャッターをレリーズするためのコントロール機能も備える。なお「HS-S2」、「HS-V2」からのアップグレードパッケージ「HS-V3UP」(7,140円)も用意する。また、発売日、価格などは未定だが、無線LANアダプターも用意する。
電源はリチウムイオン充電池「NP-150」。CIPA準拠の撮影枚数は約400枚。本体サイズは147×74×113mm(突起部除く)、重量は約830g(本体のみ)。
■ 主な仕様
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FinePix S5 Pro |
D200 |
FinePix S3 Pro |
撮像素子 |
APS-Cサイズ スーパーCCDハニカムSR Pro |
APS-Cサイズ CCDセンサー |
APS-Cサイズ スーパーCCDハニカムSRII |
有効画素数 |
約1,234万画素 |
約1,020万画素 |
約1,234万画素 |
最大記録解像度 |
4,256×2,848ピクセル |
3,872×2,592ピクセル |
4,256×2,848ピクセル |
記録方式 |
RAW、JPEG、RAW+JPEG |
RAW、JPEG |
レンズマウント |
ニコンFマウント |
画角変化 |
レンズ表記焦点距離の約1.5倍に相当 |
連写速度 |
約3.3コマ/秒 |
約5コマ/秒 |
約2.5コマ/秒 |
感度(拡張設定含む) |
ISO100~3200相当 |
ISO100~1600相当 |
ファインダー倍率 (50mmレンズ時) |
約0.94倍 |
約0.8倍 |
ファインダー方式 |
ペンタプリズム |
ファインダー視野率 |
上下左右約95% |
上下約93%、左右約95% |
アイポイント |
19.5mm |
24mm |
測距点 |
11点 |
5点 |
測光 |
1,005分割3D-RGBマルチパターン測光II 中央部重点、スポット |
10分割3D-RGBマルチパターン測光 中央部重点、スポット |
最高シャッター速度 |
1/8,000秒 |
1/4,000秒 |
最高ストロボ同調速度 |
1/250秒 |
1/180秒 |
液晶モニター |
2.5型、約23万画素 |
2型、約23.5万画素 |
記録メディアスロット |
CF、Microdrive |
CF、Microdrive、xDピクチャーカード |
PCインターフェイス |
USB 2.0 |
内蔵ストロボ |
あり、ガイドナンバー約12 |
電池 |
NP-150 |
EN-EL3e |
HR-AA(単三形ニッケル水素充電池) |
撮影可能枚数 |
約400枚(CIPA準拠) |
1,800枚(独自規格) |
約400枚(CIPA準拠) |
サイズ (幅×奥行き×高さ、mm) |
147×74×113 |
147.8×78.5×135.3 |
重量(g、本体のみ) |
830 |
815 |
■ URL
富士フイルム
http://fujifilm.jp/
ニュースリリース
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/article/ffnr0073.html
製品情報
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixs5pro/
レンズ交換式デジタルカメラ関連記事リンク集(FinePix S5 Pro)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#s5pro
( 本誌:武石 修 )
2006/12/07 15:35
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