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オリンパスの担当者に聞く、E-300とE-Systemの今後


E-300を手にする渡辺氏
 オリンパスが発表したフォーサーズシステムのエントリー機「E-300」は、新開発の800万画素センサー、E-1よりも高速化された映像処理チップ、横開きのユニークなサイドスイングミラーによるペンタプリズム無しのロープロファイルなデザイン、600グラムを下回る軽量ボディなどユニークな構成を持つ。そのフォルムは1963年にオリンパスが発表したハーフ版一眼レフカメラ「Pen F」を彷彿とさせる。

 ドイツ・ケルンで開催中のphotokina 2004会場で、E-300の商品企画に携わったオリンパス 映像システムカンパニー マーケティング本部 映像商品企画部 商品企画1グループ デジタル一眼レフ担当部長の渡辺章氏にE-300、そして今後のE-Systemについて話を伺った。


3ラインナップ計画の普及機

 ボディ単体の実売価格が10万円弱と予想されているE-300は、E-System第1弾として登場したプロフェッショナル向けのE-1とは趣を変え、低価格と高性能をキーワードにフォーサーズシステムの普及を狙った製品だという。

―E-1の登場からやや時間をあけて登場したE-300は、どのような経緯、位置づけで生まれてきた製品なのだろうか?

「我々がE-1の研究開発を行なっている時期、既に普及型のコンシューマ機の計画を並行して進めていました。最初の製品はプロフェッショナル向けでしたが、当初から普及機をはじめとするラインナップを組むことを前提に、内部的には準備を進めていたんです。その中の普及機がE-300です」

―E-1の次がE-300というと、型番が飛んでいて間に何かがあったような印象もあるのですが、当初から計画していた普及機が予定通りに発進したというとらえ方でいいのか?

「トップモデルはE-1の例にあるように1桁台の数字、その下は2桁、さらにその下が3桁といった位置付けで型名を決めています。従ってE-300はもっとも低価格なE-Systemのカメラとなります。実は既にE-100という型番を我々は使ったことがあったためE-100という名前を避けたのです。E-200でも良かったのですが、間をひとつ開けてE-300。あまり深い意味はありません」

―それは2桁型番の中級機を計画しているということか?

「我々はE-Systemでエントリー製品からプロ向けのトップモデルまでを3つのラインナップでカバーする予定です。従ってE-1のラインとE-300のラインの間に、別のシリーズを投入する計画はあります」

―2桁型番の中級機が気になるユーザーもいると思うが、それは“近い将来”に製品化の計画があるのか?

「現時点では“計画がある”という以上の情報を出せませんが、実際に開発していることは間違いありませんが、我々はラインナップの完成を目指しています。ラインナップ完成後は、常に3つのクラスにそれぞれ1機種づつを提供する計画です」


小さくなっても剛性は維持したい

 エントリー機という位置づけを考えると、なるべく軽量・コンパクトな製品が望ましい。ところが実際のE-300を見ると、一見してコンパクトという印象を持たない。

「(E-1は厚みがあるとの声があったが)本機はE-1と比較すると、およそ10mmぐらいは薄型化を達成できています。薄くはなったのですが、ペンタプリズムのないデザインで高さが低くなったこともあって、薄型化がさほど目立たないという面はあると思います」

―しかし、センサーサイズが小さく、その小さいサイズに合わせて設計したフォーサーズシステムには、もっと驚くような小ささを期待しているのでは?

「レンズ交換式の一眼レフカメラは、軽量かつローコストな普及型レンズだけでなく、プロ向けの大きく重いレンズを付けた時にも十分な剛性を確保しなければなりません。そのため、超望遠レンズ装着時にも本体やマウント部が耐えられるようにしたいと考えました。そうした巨大なレンズを支えるだけの剛性を出していますから、それを考えればE-300のサイズは決して大きいわけではありません。前述したように10ミリ前後の薄型化に加えて、世界でもっとも低い全高も実現しています」

 “ユーザーはもっと小さいものを期待していたのでは?”という問は、やや失礼な言い回しと思いつつも、渡辺氏の正直な反応を聞きたいと思いながら出したものだ。実際にはコメントの冒頭に“意外に大きく見えるというのは正直な感想だと思います”とも話していたので、“もっとコンパクトに”という気持ちがオリンパス側にもあったのは確かなのだろう。

 オリンパスの一眼レフはかつて、軽量・コンパクトなボディが売り物だった。E-300がサイドスイングミラー方式に拘り、ペンタプリズムを収める軍艦部を省略したのも、そうしたオリンパスの伝統を引き継ぎたいと考えたからなのかもしれない。

 渡辺氏はインタビュー後の雑談の中で「コンパクトなパンケーキタイプの薄型レンズを組み合わせたら使いますか?」「標準ズームと一緒に入れる小さなクラッチバッグやインナーバッグがあればどうでしょう?」と、持ち歩きやすさに対する強い拘りを見せていた。


ユーザーに手軽に使って欲しいから全高を抑えた

―今年のphotokinaには、多数のデジタル一眼レフカメラが一堂に会すことになった。ライバルと比較検討するユーザーに対して、E-300のどのような部分を見て欲しいか?

「E-300はデザイン的に、多くの人が慣れ親しんでいるコンパクトカメラに近いですから、コンパクト機からステップアップするユーザーにも、身構えることなく自然に移行できるデザインだと考えています。一大決心して使うのではなく、手軽にレンズ交換式一眼レフカメラの世界にやってきて欲しいと思います」

「もうひとつは800万画素の画質です。これだけの高画素になってくると、それを活かすためにデジタル専用設計のレンズであるか否かが、センサーの持つ画質を活かす上で重要な要素となってきます。同時発表した普及型の標準ズームレンズも、光学的には一切妥協していません。F値がやや暗く、防水設計になっていないなど、低価格化のためにデチューンした部分もありますが、光学的な性能は一切妥協していません。E-Systemのレンズは、従来の35ミリフォーマットよりも厳格な精度を定めて設計・製造していますが、それは普及型レンズシリーズでも全く同じです。すべてのレンズが800万画素の能力を完全に引き出せる力を備えています」

―センサー上のオンチップマイクロレンズの改良、デジタルカメラを意識したレンズへの切り替えなどを各社が進めており、必ずしもデジタル専用で理想を追求したE-Systtemでなくとも良いのでは? という意見もあるようだが。

「他社の製品をけなすようなコメントは控えたいのですが、たくさんのレンズ資産があると言われているシステムも、なかにはデジタルカメラとのマッチングが悪いものもあります。その点、フォーサーズシステムならば、すべてのレンズがデジタルカメラで最良のパフォーマンスを発揮します」


ダストリダクションがE-Systemのもっとも大きな武器になる

 確かにイメージセンサーを前提にした光学特性を追求するならば、新たな設計となっているE-Systemの方がレンズの優位性はある。しかし、一方でコンパクトさを考えるとフォーサーズシステムの(センサーサイズ比で考えると)長めのフランジバックがレンズの小型化、広角化などで不利になっているようにも思える。

「フランジバックが長いことによる優位性は、たとえ技術が進歩しても必ず残ります。“デジタルカメラにおける画質”を考えたレンズとマウント部のディメンジョンは、フィルムを前提とした35ミリフィルムシステムの流用では実現できないからです。また、レンズ交換式デジタルカメラでは避けられない、センサー面へのゴミの付着問題を解決するには、長いフランジバックとして、センサーとの間にダストリダクションを挟む余裕を作らなければなりません」

―長めのフランジバックは、センサーへの光の入射角を考慮したものとの説明が多いが、むしろダストリダクションの実現に不可欠な設定だったということか?

「光学的な意味とダストリダクション機能の実装の両面から考え、ある程度、奥行きを犠牲にしてもフランジバックを長くすべきとの判断でした」

「ダストリダクションは、頻繁にレンズ交換をする使い方をする層にアピールする機能と思われがちですが、実際にはレンズ交換頻度の低い初級者にも有効です。初級者の中には、故障の危険性を深く知らないままセンサークリーニングを自分でやる人も多いのです。そのような面倒で、しかも故障の危険性を伴う作業を幅広い層のユーザーに行わせるのは問題でしょう。一眼レフデジタルカメラ普及の初期段階にある現在、さほどセンサーへのゴミ付着問題は大きくクローズアップされていません。しかし、今後は必ず注目されるようになると考えています」

―ダストリダクション機能はE-1にも搭載されていたが、ユーザーからの反応はどのようなものだったのか?

「ダストリダクションは、絶対にユーザーのためになると信じて実装しましたが、実際にE-1を発売してそれは確信へと変わりました。ユーザーからセンサーのゴミ付着に関して、クレームらしいクレームが一切入ってこないのです。中にはわざとゴミを入れて実験したユーザーもいましたが、全く問題なく取れたといった、非常にポジティブな意見が多かったのです。より広範なユーザーに購入して頂けるだろうE-300では、さらにその重要性を増すでしょう」


フォーサーズ規格普及の土台をE-300で作る

 オープンなデジタルカメラのためのマウント規格として生まれたフォーサーズだが、オリンパス以外のベンダーは、あまり活発にフォーサーズシステム周辺の技術や製品開発を行なっているようには見えない。今のままでは、オープンフォーマットと銘打ちながら、実態としてはオリンパスローカルになってしまわないか? 現実はともかく、ユーザーがそのような印象を持つようになるとフォーサーズへの見方も変わってくる。

「フォーサーズフォーラムに既に参加を頂いているメンバーにしても、そして我々オリンパスにしても、常にオープンに参入を受け付けていますから、これが将来クローズドになることはあり得ません。新製品のE-300で市場拡大することでフォーサーズ普及の土台を作り、それによって他社がフォーサーズに参入しやすい環境を作りたいと考えていますし、そうした話は今でも積極的に他社に行なっています。たとえばレンズに関しては、シグマがフォーサーズ規格対応レンズを作ることになりました」

 「元々、マウント規格というのは、それほどたくさんの企業が大量に入ってくれるものではないと思っています。新しいマウント規格にコミットするか否かは、単にその規格に賛同するか? といった話以上に、企業にとっては重要な経営判断となります。ですから、我々も焦らずにじっくりと確実に歩を進め、他社が参入しやすい環境作りを続けていきたいと思います」

―デジタルでの“画質”を前面に出しているが、フォーサーズに対応した単焦点レンズを求める声は無いのか?

「ユーザーがどのようなレンズを使っているのかを調査していますが、一般のアマチュアが単焦点レンズを使うケースは著しく減っています。理由はズームレンズの性能が上がっているからです。E-Systemのレンズは35ミリフィルム向けよりも、諸収差の許容範囲を狭く設定していますし、それは普及型でも変わりません。明るさの面はともかく、質の面では普及型も高性能型も、単焦点に迫る描写です。より明るいレンズが欲しいというリクエストはありますが、描写面での不満から単焦点が欲しいという意見はありません」

―今回、E-300とセットで標準ズームのズイコーデジタル 14-45mm F3.5-5.6などを発表したが、普及型レンズの近日の出荷計画はあるのか?

 「もちろん、内部に計画はあります。いつ出荷するかまではここで明言できませんが、F値の明るいズームレンズのシリーズと普及型のズームレンズシリーズは、同じ焦点域で揃えていきたいと考えています」


感度特性の向上は?

 photokina直前に発売されたキヤノンのEOS 20Dは、さらなるローノイズ化でISO400〜800相当の感度を常用する事を可能にした。センサー感度は手ぶれ補正機能と共に、撮影しやすさを向上させる大きなファクターになっている。

 しかしセンサーサイズの小さいフォーサーズで、APS-Cサイズの他社機と同等の画素数を実現しようとすると、画素サイズが小さくなり、ゲインアップ耐性をなかなか上げられないのでは? と危惧する向きもある。実際、E-300ではISO800〜1600は拡張機能という設定だ。

―これはISO800時の画質に100%の自信がないということなのか?

「E-300は光学周りの設計が終わり、現在はデジタル処理部のチューニングを進めている段階です。従って今後はさらに良くなると思いますが、ISO800に関してはおっしゃるとおり拡張機能としての設定になるでしょう。しかし、標準の感度域として設定するか否か、迷うところです。標準的に使える範囲かどうかは微妙ですが、さほど悪いわけではありません」

―映像処理の部分でもE-1からの変化はあったのか?

「E-300の映像処理チップは、E-1で3チップ構成だったものを1チップにまとめたものです。このチップは処理速度がE-1よりも向上しただけでなく、出力画像のノイズ削減にも役立っています。最終的に、どこまでノイズ対策を行えるかが確定していないため、ハッキリとした数字は申し上げられませんが、E-1よりも改善されていることは間違いありません」

 フォーサーズフォーマットの将来性という意味では、今後の画素数トレンドがゲインアップ耐性にも深く関わってくる。

「我々もノイズ低減に関しては取り組んでおり、追って対策を施していけると思っています。画素数に関しては、35ミリフィルムの用途をカバーするのか、それとも中判カメラの領域までをカバーするのかで考え方が変わってきます。オリンパスの考えとしては、ひたすらに高画素化に追随していこうとの考えはありません。それよりも、E-1で評価してもらった周辺部までしっかりとした描写で、なおかつ良好な階調特性を保つこと今後も継続していきたいと思います。我々は35mmフィルムの用途はフォーサーズでカバーしたいと考えていますから、2,000万〜3000万画素までは必要ないと考えています」


銀塩システムとの関係を断ち切ったからこそのフィーチャーを盛り込んでいく

 一眼レフカメラ選びがレンズ固定式のコンパクトカメラ選びともっとも異なるのは、ユーザーがレンズを含めたシステム全体に対してコミットしなければならない点だろう。誰もが所有するレンズを、なるべく現役で使い続けたいと思う。

「自分たちを信じてもらえるかどうか? 長期的なコミットができるか? その点は、もちろんとても重要なポイントです。しかし、ボディに関しては今の技術の進歩を考えると数年後も最先端であることは無理ですから、いずれは必然的に買い換えの対象となっていくわけです。しかし、レンズは長期的に良い性能を発揮させる事ができます。E-Systemのレンズは現在のボディ性能を考えると、完全にオーバースペックなものです。これは将来の、つまり数年後のボディにも耐えられるレンズであることを意味します。将来、ボディ性能が上がると、その性能を発揮させるためにレンズの買い換えが必要なんてことになれば、ユーザーが何年にも渡って同じシステムを維持する意味がなくなります。我々のレンズであれば、それはありません」

―それは先ほど出てきた“2,000万画素までは”という言葉と関連付けられるものなのか?

「ここで具体的な数字を挙げるのはやめておきます。しかし、遙かに、ずっと高画素のセンサーでも、その能力を活かせるだけの性能があるとは言えます」

―今後、E-Systemをどのように発展させたいと考えているか?

 「自分たちは銀塩システムとの関係を断ち切った新しいシステムを作っています。銀塩の35ミリフィルムシステムの延長線上ではできないことはたくさんあります。たとえばそれは、フランジバックを長く取ることでデジタルでの画質向上やダストリダクション機能を加えるといった部分にも現れています。同様に、銀塩システムの延長線上では不可能な機能をE-Systemのボディで実現させていきたいと思います」

―銀塩システムとの決別が導き出す差とは?

 「そのお話は“次の製品でどんな機能を実装しようとしているか”を言うことにもつながってしまいますから、ここではお話しできません。しかし、実際に我々の製品を使っているお客様の声を反映したものになることは間違いありません。我々はユーザーの声を注意深く聞いていますし、それらの声に応えるいくつもの“解答”を用意していますから期待していてください」



( 本田雅一 )
2004/09/29 00:03
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