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米HP、コンシューマー製品の発表イベントをシンガポールで開催

~無線LAN搭載複合機や、大型タッチパネル付きフォトプリンタなど展示

発表会はシンガポールの旧国会議事堂および最高裁判所で行なわれた
 9月11日、米Hewlett-Packar(HP)はアジアで6回目となる、コンシューマ製品の一斉発表イベント「Asia BigBang 6」を、シンガポールで開催した。同様のイベントは、すでに米ニューヨークで開催されたが、ニューヨークのイベントがPC、PDA及びその関連製品のみに限られていたのに対し、Asia BigBang 6はプリンタも含めた製品をカバーしているという違いがある。

 このイベントはアジア太平洋地区全体のイベントであるため、必ずしも発表された製品が日本で発売されるわけではない。しかし、昨年の例で言えば、ここで発表されたプリンタおよびインクジェット複合機は、一部の単機能機を除いてほとんどが、何らかの形(通販専用、あるいは一部量販店限定などの特殊なモデルを含む)で日本市場に投入されている。

 今年のHPは、メカの基本部分やヘッド周りの基本仕様は従来と同じ。全体に印刷速度が高められ、ハイエンド機種は4×6インチ(日本のL版よりも一回り大きい)へのフチなし写真印刷で10秒、モノクロ書類毎分34枚、カラー書類毎分33枚となっているが、インク滴サイズやノズル数、インク数などのスペックは従来製品を踏襲している。

 では今年はマイナーチェンジか? と言えば、使いやすさ向上を一番の目標に、いくつかの大きな改善が行なわれている。ここではいくつかのポイントに分けて紹介しよう。


無線LAN搭載モデルを拡充

無線LANへの接続機能をプリンタに追加するオプションキットを用意
 まず無線LAN搭載機種が拡がり、ローエンド機を含む幅広いクラスの製品に、無線LAN搭載と非搭載のモデルが用意されている。非搭載モデルにプラス30~50ドルほど(モデルによって異なる)という、わずかな投資で無線LANを経由した印刷やメモリカードリーダ機能、複合機の場合は無線LAN経由でのスキャン機能などを利用できる(ただし、すべてのモデルが日本に投入されるわけではない)。

 また、無線LAN非搭載のHP製プリンタを無線LAN対応にするためのアダプタも用意される。ただし価格は98ドルに設定されており、今年のモデルに限って言えば、最初から無線LANを内蔵させたモデルを購入する方が安価になるよう設定されている(複合機最低価格モデルのPhotosmart 4280は99ドル、その無線LAN版Photosmart C4385は139ドルの設定)。言い換えれば、ローエンド機にまで無線LAN内蔵モデルを用意してお買い得な価格設定とし、ワイヤレスでの印刷環境を普及させようという狙いがある。


C4385は139ドルの価格設定ながら無線LANを内蔵している
C4280は99ドル。C4385のベースモデル

動作速度向上など、使い勝手も改善

各社のプリンタを来場者が操作して印刷速度を競うデモを開催。被験者は交代して他方でもレースに参加するが、いずれにしても圧倒的にHPが高速という結果になる
 もうひとつの特徴は、メモリカードから写真をダイレクトに印刷する機能の強化。HPは今年、プリンタに搭載する統合システムチップを一新しており、画像のサムネイル表示や全体の操作レスポンスが大幅に向上。1,000万画素クラスのJPEG画像でも、サクサクとセレクトしながら印刷指示を出せるほか、印刷処理を行なっている最中でも、次の印刷指示をプリンタのユーザーインターフェイスから操作可能になっている。

 加えて、ダイレクトプリント機能付きプリンタとインクジェット複合機、それぞれの最上位モデルには3.5型タッチパネル付き液晶ディスプレイを搭載。モノクロおよびカラーのコピーボタンなど、頻繁に利用するボタン以外は操作パネル上から排除され、タッチパネルによる簡単オペレーションが可能になっている。

 デモでは複合機最上位モデル「Photosmart C8180」と、エプソン、キヤノンの最上位モデルで、数十枚の写真から特定の写真を選択、1枚だけを印刷する競争を、発表会参加者自身が操作する形で競争させた。被験者2人を交換して2度レースを行なったが、新しいPhotosmartで印刷が終了する頃、いずれの製品もまだ目的の画像を見つけることができないという結果になった。

 デモの内容はともかく、プリントを得るためのステップがシンプル、かつ操作レスポンスが速くなっているのは事実で、従来のダイレクト印刷機能に感じていた抵抗感(レスポンスの遅さや操作の煩雑さ)はかなりの面で解消されている。


HP対キヤノン、エプソンの印刷速度対戦表。昨年モデルとの比較だが、メモリカードから写真をセレクトして印刷できるまでの速度は、操作時間を含めると圧倒的にPhotosmartの方が短くなる
新しいフォトダイレクト印刷機能。タッチパネルによる簡単操作はもちろんだが、すべての操作に対するレスポンスが高速で、ほとんど待たされない。サムネイル作成も高速な上、一度サムネイルができると再作成しなくともキャッシュファイルから高速表示できる

Webページ印刷をより便利にするため、Internet Explorer向けプラグインを開発。全製品に添付する。他ブラウザ向けなどはユーザーの反応を見ながら開発する予定
 さらに今年、HP製プリンタに添付されるのが「HP Smart Web Printing」という、Internet Explorer向けのプラグインソフトである。IE7に実装されたページの横幅に合わせた印刷レイアウト機能がIE6でも利用可能になるほか、Webページ上の任意の位置を選択すると、その部分を切り出してクリッピング保存。必要なクリップを自由なサイズで用紙上にレイアウトして出力するなどの便利な印刷機能が提供される。

 こうしたWebページ印刷を行なうユーティリティは数年前に流行したことがあるが、最近はやや下火。しかし、HPの調査によるとユーザーが年間に印刷する枚数のうち、半分程度がWebページとの結果が出ており、これに合わせる形でWebページ印刷を便利にするユーティリティを添付したとのことだ。


Webページ印刷時にIE6でも横幅がはみ出ないデモ
Webページ上の任意の範囲を選択し、クリッピングしておく機能も備える

クリッピングしておいた情報は、ページ上に自由にレイアウトして出力できる。レイアウトはマウスで簡単に操作が可能だ ユーザー調査の結果、家庭におけるプリンタ出力の50%がWebページの印刷だったという

モデル別ではC8180とC7280に注目

複合機ハイエンドモデルのPhotosmart C8180
 上記がラインナップ全体の話題だが、製品を個別に見ると前述したPhotosmart C8180(399.99ドル)の機能アップが特に目立つ。プリントエンジンのメカニズムなどは同一で、DVD/CDへのラベル直接印刷などはできないが、それ以外の付加機能は大幅に強化された。

 IEEE 802.11g対応無線LAN、Bluetooth 2.0+EDRへの対応、それにタッチパネルユーザーインターフェイスへの対応はもちろんだが、スキャナの性能強化したうえ、記録型DVDドライブも搭載される。

 スキャナは9,600×9,600dpiと大幅に高解像化されたことに加え、RGBにオレンジ、黄色、水色を加えた6色での読み取りを行なうことで、色再現域を広げている。これによりディテール再現能力と色再現域をカバーし、特にフィルムスキャン時の画質が大きく向上するという。なお透過原稿(フィルムなど)にはオプションなしで対応している(35mmフィルムスリーブおよびスライド用マウントに対応)。

 新機能の記録型DVDドライブは、メモリカード内のデータやスキャンした結果をPCレスでDVDに記録するためのものだが、USB接続されたPCからも記録型DVDとして利用できる(ネットワーク経由でのDVD作成は不可能)。またLightScribing対応ディスクを用いれば、ラベル面にレーザーで像を焼き込むことでモノクロのラベル印刷を行なう機能もある。


C8180の大型タッチパネル液晶。これにより、操作パネルは大幅にシンプルに
C8180は記録型DVDも内蔵する

C8180にはCD/DVDをPCレスで作成する機能が付く
メモリカードの内容をバックアップしたり、あるいは光ディスクにバックアップした写真を閲覧したり印刷することが可能

C8180のDVDドライブを用い、レーザー光による焼き込みでラベルをプリントする機能が加わった。メニューから画像を選び、タイトルを入力することでPCレスで作成できる
C8180は9,600dpiのフィルムスキャンも可能。オレンジ、黄色、水色のセンサーをRGBとは別に持ち、ポジフィルムが持つ鮮やかな色をデジタル化できる

パスポートサイズの写真を印刷したり、財布に入れるためのカードサイズ写真を印刷する機能を持つ。他に五線紙や迷路の印刷といった変わり種機能も

マイナーチェンジながら堅実なアップグレードとなったPhotosmart C7280
 また、このモデルとプリントエンジンを共有(いずれもモノクロ34枚/分、カラー33枚/分の速度)するPhotosmart C7280(299ドル)も注目機種だ。前モデルのC6180は、HP Direct Plusでのみ販売されたモデルだが、スキャナスペックが劣る代わりに自動原稿送り機能が追加され、FAXや文書取り込みが容易に行なえる、ややSOHO寄りの機能を備えたコンシューマ機である。

 ハードウェア上の変更はプリント速度の高速化と、ダイレクト印刷機能の高速化、それに自動両面印刷機能の標準装備などだが、ダイレクト印刷機能のユーザーインターフェイスがシンプル化されるなど、今年のモデルに合わせてのリファインが行なわれている。

 今年で3年目となるSPT(Scalable Printing Technology)エンジンだが、クリーニングに使うインクを再利用するなど先進的な技術は未だに魅力があり、画質の面では派手なスペックこそないものの、ナチュラルな階調表現などさほど不満を感じないユーザー層も多いだろう。複合機としての機能全体のバランスを考えると、機能面で成熟しきった感のある今年のモデルはなかなか魅力的だ。


Photosmart C5180、D5360には、CD/DVDラベル直接プリント機能がある。トレイは用紙セット部の下に収められており、8センチディスクに対応するアダプタもトレイ内に内蔵。使い勝手は非常に簡単
Photosmart D7460。タッチパネルや無線印刷機能などを備える単機能機のトップモデル。価格は179ドル

単機能機の中心モデルとなるPhotosmart D5360。価格はわずか99ドルと安価。
3年目を迎えるSPTエンジン

オンラインフォトプリントサービスのSnapfishを強化していく。印刷コストは4×6インチサイズで25セントで、アルバムやカレンダーの作成なども受け付けている。日本でも2008年にサービスを開始予定

7型タッチパネル搭載のフォトプリンタも

 さて、最後に写真出力専用の小型プリンタも紹介しておこう。

 日本でも大型タッチパネル液晶搭載のPhotosmart A626が発売されたが、ほぼ同じ機能をレトロ調テレビを思わせるユニークな筐体に収めたPhotosmart A825(249ドル)が展示されていた。プリントエンジンはA626と同じ3色インクによるものだが、7インチという大型のVGAタッチパネル液晶を搭載することで、A626で提案した機能をより扱いやすくするのが狙い。

 液晶パネルのサイズが大きく見やすいため、家族みんなで写真を見ながらその場でプリントするといった使い方以外に、小さな画面に慣れないシニア層にもアピールする。時期は未定ながら、日本でも扱うようだ。またタッチパネルを廃したPhotosmart A526(119ドル)も用意されており、こちらもローエンド製品として日本で追加する計画があるという。


7インチ液晶タッチパネルディスプレイを持つユニークなデザインのPhotosmart A826。日本市場にも投入される 液晶搭載のフォト専用プリンタとしてはもっとも廉価に設定されるPhotosmart A526


URL
  HP(英文)
  http://www.hp.com/


( 本田 雅一 )
2007/09/13 00:05
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