アドビは、フォトレタッチソフト「Photoshop CS3」日本語版を6月下旬に発売する。価格は、通常版が10万円、アップグレード版が2万6,000円。特別提供版が8万5,000円。
このうち特別提供版は、パッケージ版「Photoshop Elements」の正規登録ユーザーのみ購入できる。いずれも対応OSは、Windows XP/Vista、Mac OS X 10.4.8。
|
|
Photoshop CS3日本語版
|
Photoshop CS3 Extended日本語版
|
また建築や医療など、特定画像処理分野に向けた「Photoshop CS3 Extended」も同時に発売する。Photoshop CS3に統計処理など特殊な機能を追加したもので、価格は通常版が14万800円、アップグレード版は4万8,000円、アカデミック版が4万1,800円、特別提供版が12万7,000円。特別提供版の扱いと対応OSは、Photoshop CSと同じ。
なお今回のバージョンより、アップグレードポリシーが変更になった。アップグレード版の対象は3世代前までの製品に限られる。具体的には「Photoshop 7.0」、「Photoshop CS」、「Photoshop CS2」、「Photoshop CS3」の正規登録者のみが対象となる。
■ インターフェイスをリニューアル
2005年7月発売の「Photoshop CS2」から、約2年を経て登場する最新版。Windows VistaやIntel Macに対応したほか、ツールパレットなどのインターフェイスをリニューアル。起動時間も高速化した。海外ではすでに発売済み。
インターフェイス面では、パレット類を連結して配置する「ドック」が特徴的。パレットの内容や配置は、ユーザーが自由に設定できる。使用頻度の低い一部のパレットをまとめておき、畳むこともできる。
|
|
ドック(右端)に複数のパレットを連結できる。パレットごとの高さも調整可能
|
ドックを展開した状態。それぞれのパレットは切り離したり畳むことができる
|
さらに、フィルタ処理を調整レイヤーのひとつとして扱える「スマートフィルタ」機能が加わった。フィルタ同士の上下の並び替え、一時的な表示/非表示などが可能。調整値の違う数種類のスマートシャープを設定し、それぞれの効果を見比べることや、編集作業の途中でかけたアンシャープマスクを、最後に一番上のレイヤーに配置して効果を確認する、といった編集が可能になる。また、それぞれのスマートフィルタに対し、レイヤーと同様の描画モードや不透明度を適用できる。
自動選択ツールの強化版といえる、「クイック選択ツール」も新機能のひとつで、画像をマウスカーソルでなぞると自動的に輪郭を検知し、選択範囲を作成する機能。その後はクイックマスクに変換したり、チャンネルとして保存するなど、通常の選択範囲と同様に扱える。また「選択範囲を調整」ダイアログでは、境界線の半径やコントラストなどを調整できるほか、選択範囲外を黒やの白一面の背景で表示できるようになった。選択範囲の複雑な形状が捉えやすい。
そのほか写真向けの機能としては、色調補正への「白黒」の追加や、トーンカーブダイアログやプリントダイアログなどの強化が挙げられる。
|
|
レイヤーパレットに「スマートフィルタ」が加わった。調整レイヤーのようにフィルタを扱える
|
色調補正のひとつ「白黒」。フィルターワークをシミュレートできる
|
|
|
トーンカーブにプリセットを追加。背景のヒストグラム表示も今回から
|
プリントダイアログのデザインも変わった
|
|
|
「境界線を調整」で、選択範囲外をクイックマスクにした状態
|
選択範囲外=黒地
|
|
|
選択範囲外=白地
|
選択範囲内=白地、選択範囲内=黒地
|
なお、Photoshop CS3 Extendedには、Photoshop CS3のすべての機能に加えて、3Dやモーショングラフィックスのサポート、画像解析、計測ツール、DICOM(医療用の画像フォーマット)のサポートなどの諸機能が組み込まれている。
■ Camera RAWがJPEGの読み込みに対応
|
Camera RAW 4.0。JPEGを読み込んだところ
|
あわせて、RAW現像プラグインの「Camera RAW」も、最新版の4.0が付属する。Camera RAW 4.0では、対応RAWデータに加え、新たにJPEGやTIFFの読み込みが可能になった。ホワイトバランス調整など、RAWデータと同じ調整機能が利用できる。Camera RAWでJPEGファイルを開くには、付属のビューアソフト「Bridge CS3」上で「Camera RAWで開く」を指定する。
Bridge CS3は、従来の「Bridge」から、メタデータパネルの表示などインターフェイスが変化した。フィルタ機能にも「ポートレート」(縦位置)、あるいは「ランドスケープ」(横位置)の写真をフィルタリングする機能などを追加している。メタデータの扱いは従来から大きく変わらず、.xmpサイドカーファイルにメタデータを書き出す機能も利用できる。
また、写真関連ではセレクト機能を意識した強化を行なっている。例えば、選択した複数の画像を並べて表示することが可能になり、それぞれに等倍表示を行なうルーペを配置できるようになった。また、「Photoshop Elements 5.0」や「Lightroom」のように、複数の画像をスタックする機能が追加されている。
|
|
Bridge CS3の基本インターフェイス
|
複数画像の同時拡大や等倍ルーペ機能を追加
|
■ URL
アドビ
http://www.adobe.com/jp/
ニュースリリース
http://www.adobe.com/jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200705/20070508photoshop.html
■ 関連記事
・ アドビ、デジカメ対応機能が充実した「Adobe Photoshop CS2」(2005/06/07)
・ アドビ、「Camera Rawプラグイン3.1」を公開(2005/06/07)
( 本誌:折本 幸治 )
2007/05/08 11:58
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。
|
|