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【インタビュー】写真用インクジェット用紙「フォトラグ」と「シルバーラグ」活用法

~銀一 フォト機材営業部 山田浩一氏に聞く

銀一の店頭
 今年のフォトイメージングエキスポでは、三菱製紙の「月光」をはじめ、写真プリントに特化したインクジェット用紙が出展され、注目を集めた。

 プロ用写真機材などで知られる銀一も、独Hahnemuhle(ハーネミューレ)と米Crane(クレイン)の用紙を以前から取り扱っている。同社フォト機材営業部の山田浩一氏に、この2つの写真用紙の特長や活用法などを伺った。


オールマイティな「ハーネミューレ フォトラグ」

ハーネミューレ フォトラグ
 ハーネミューレは、400年以上前から紙を作っている老舗メーカーだ。「フォトラグ」は同社のスタンダードかつオールマイティなコットン系の用紙だ。

 フォトラグの特長は、表面がスムースで、RC印画紙や光沢系のインクジェット用紙から移行してきても違和感が少ないこと。ベースはコットン紙100%で、バライタ紙なみの保存性を考慮して中性紙を使用しているほか、コーティングも中性のものを採用している。

 染料インクでも使用できるが、保存性やにじみの点で最も向いているのは顔料だという。

 フォトラグを含む同社のアートラインシリーズは、厚みや白さ、面質が異なる15種類の用紙をラインナップしている。銀一が扱っているのは坪量308g/平方m、0.48mmの「308gsm」と、坪量460g/平方m、0.7mmの「460gsm」の2種を中心に、3月からは面質の異なる「フォトラグ サテン」と「フォトラグ ブライトホワイト」など5種を追加した。

 ちなみにフォトラグはキヤノンの純正用紙にも用意されているが、こちらは坪量188g/平方m、厚さ0.31mmとなっている。

 サイズと価格は次のとおりだ。

308gsm
A4 20枚6,069円
A4 50枚13,833円
A3 20枚11,602円
A3 50枚28,113円
A3+ 50枚42,840円
A2 50枚55,335円
460gsm
A4 25枚8,925円
A3 25枚18,742円
A3+ 25枚24,990円
A2 25枚36,592円


 なお、A3+のサイズは330×483mmとなる。

 注意点としては、フォトラグ460gsmは非常に厚い用紙なので、プリンタには紙が折れまがらないようにする、手差しで給紙する必要がある。たとえばエプソンのPX-5500やPX-5800では、リアではなくフロントから給紙しなければならない。

 さらに、PX-5500の厚紙使用時はプリンタヘッドと用紙のクリアランス調整が効かないため、フォトラグ460gsmを3枚ほど重ねて、粘着力の弱いテープで止めて、給紙するとちょうどよいクリアランスになるそうだ。


世界初のバライタ調用紙「クレイン シルバーラグ」

 クレインも約200年の歴史を持つメーカーで、便箋や封筒でよく知られるという。「シルバーラグ」はフォトラグと同様に100%コットン紙をベースとする用紙だが、バライタ印画紙風の面質を持つのが特長で、愛用する有名写真家も多い。

 紙の色はウォームホワイト。「Photoshopで作成した8bitグレースケール階調の255と253、0と5の区別がつく」(山田氏)ほど階調が豊かで、黒ツブレや白トビしにくい。また、黒の濃度がよく出るので、モノクロプリントの画質が非常に高い。モノクロだけでなくカラーにも向いており「立体感とコクのある色が出る」とのことだ。保存性を考慮してこちらも中性紙でできている。


クレイン シルバーラグ
銀一によるテストプリント。255と253を見分けることができる

 坪量は300g/平方mで、紙厚は0.38mm。サイズは次のとおりだが、一般的なA4サイズ(210×297mm)ではなく、8.5×11インチ(216×279mm)のレターサイズになっているので注意が必要だ。また、13×19インチサイズは329×483mmとなっていて、A3ノビとして扱える。さらに大判プリンタ用のロール紙も用意されている。

8.5×11インチ 25枚5,712円
13×19インチ 25枚14,280円
17×22インチ 25枚20,259円
17×50フィート 1巻20,259円
24×50フィート 1巻24,990円
44×50フィート 1巻47,302円


プリント時の注意

 これらの用紙で高品質なプリントを得るには、いくつか注意すべきことがある。どちらの用紙についても製品情報ページに取扱い方の説明があるので、参照してほしい。

ハーネミューレ フォトラグ
http://www.ginichi.com/shop/technical_12.html

クレイン シルバーラグ
http://www.ginichi.com/shop/technical_11.html

 山田氏にも要点をご説明いただいたので、紹介しておこう。なお、使用するソフトはPhotoshop CS2、プリンタはエプソンのPX-5800である。


用紙を掃除する
1.用紙を掃除する
 インクジェット用紙も紙なので、表面にケバがたっている場合がある。とくにコットン系の用紙はケバが付きやすく、これがゴムローラーにつくとローラーが空回りするので、用紙をセットする前にエアーダスターやハケなどで両面を掃除しておく。

 また、用紙には裏表がある。どちらが表かわからなくなったら、指先を水で湿らせ、用紙の端を挟んでみる。コーティング剤により粘着性が感じられるほうが表になる。

2.用紙をセットする
 どちらの用紙も紙厚があるので、1枚ずつの手差し給紙となる。またフォトラグ460gsmは前述のとおり、エプソン PX-5500ではフロントから3枚重ねてセットする。

3.カラープロファイルをあてる。
 どちらの用紙もカラープロファイルが用意されているので、これを入手してインストールする。ダウンロード先やプロファイルのあて方は、上記の説明ページを参照されたい。

 どちらの用紙も、プロファイルが用意されているのは一部のプリンタだ。また、エプソンは米国の機種名で表記されているので、上記の説明ページの対応表を参照されたい。


「プリントプレビュー」で長辺方向に余白を25mmずつ設定する
4.余白を設定する
 用紙の刷り始めと終わりはプリンタ内のローラー1個で搬送されるため、ローラーが用紙をちゃんとホールドできる部分があったほうがいい。銀一では、長辺方向(プリントの始まりと終わりの部分)にそれぞれ25mmずつ余白を設けることを推奨している。余白は、Photoshop CS2の「ファイル」-「プリントプレビュー」で設定する。

5.プリンタドライバの設定
 プリントプレビューダイアログボックスでプリントボタンをクリックし、プリンタドライバの設定を行なう。ここでは用紙をフォトラグの場合は「VelvetFineArtPaper」、シルバーラグの場合は「EPSON写真用紙<絹目調>」に設定する。

 モノクロプリントの場合、調子がデフォルトでは「硬調」になっているが、銀一のお勧めは「標準」。標準のほうが、ハイライトからシャドウまでの階調がきれいに再現されるという。


プリンタドライバの設定
モノクロプリントの調子は「標準」にするのがおすすめ

6.プリント後の注意
 顔料インクは“擦り”に弱いので、「プリントガードスプレー」を吹いておくとよい。銀一では英Lysonのプリントガード(2,016円)を扱っているが、ホルベインなどのガードでもよい。ただし、プリントガードを吹くと質感が若干変わり、少しツヤっぽくなり、黒がしまるそうなので、事前にテストしておいたほうがよい。

 また、プリントを重ねて保管するときは、やはり擦り対策として保護用紙を間に挟んでおく。銀塩プリント用にも保護用紙があるが、銀塩用のものは透かしが入っていて、擦れの要因になってしまう。透かしのないものを選ぶようにしたい。



URL
  銀一
  http://www.ginichi.com/
  製品情報(ハーネミューレ フォトラグ 308gsm)
  http://www.ginichi.com/shop/darkroom/detail/hahnemuhle308.html
  製品情報(ハーネミューレ フォトラグ 460gsm)
  http://www.ginichi.com/shop/darkroom/detail/hahnemuhle460.html
  製品情報(クレイン
  http://www.ginichi.com/shop/darkroom/detail/ragpaper.html


( 本誌:田中 真一郎 )
2007/04/19 01:17
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