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【Photokina 2006】
米Apple、日本語に対応した「Aperture 1.5」を発表

~RAW画像を外部ストレージに置いたまま画像操作が可能に

Apertureの新機能を説明する米AppleのRob Shoeben副社長
 米Appleは25日(現地時間)、ドイツ ケルンで開催されるPhotokina 2006の前日に、画像管理、RAW現像、印刷などの機能を持つApertureの新バージョン「Aperture 1.5」を発表した。

 従来、英語版のみが提供されていたが、新バージョンではドイツ語、フランス語、そして日本語にも対応。価格は据え置きながら、従来ユーザーには無償で新バージョンへのアップデータが今週中に提供される。

 無償アップデートとバージョン数で0.3の増加となると、小さなバージョンアップを想像するが、1.2から1.5へのアップデートには、RAW現像に関わる重要かつ有効な変更点も含まれており、その差はバージョンの数字から感じられるよりも意外に大きなものになっている。

 発表会では、米AppleのRob Shoeben副社長がApertureの新機能について説明した。


外部ストレージに置いたRAWファイルを管理

 Apertureの基本コンセプトに、RAWファイルを有効に活用することがある。RAWファイルを基本に画像の管理、閲覧、印刷(あるいはWebへの発行など)を高速かつ簡単に行なうことが基本。

 ところが従来のApertureは、内部管理用ライブラリにRAWファイルを取り込んで動作させ、プレビュー用に現像後の画像キャッシュを大量に抱え込むため、HDDの使用量が大変多いという問題を抱えていた。

 しかしOpen Libraryと名付けられた新しいライブラリ形式では、RAWファイルを任意のストレージに移動させることが可能だ。外付けの取り外し可能なHDDはもちろん、DVDなどの光メディア、あるいはネットワークストレージにRAWファイルを保存し、現像後のキャッシュだけを内蔵HDDに置いておける。


外部のストレージにRAWファイルを置いたまま画像操作が可能なOpen Libraryを備えた プレビュー画像の画質変更は、自動のほか手動でも行なえる

 画像に対する操作はキャッシュに対して行なうことができるため、RAWファイルにアクセスできない状況でも、画像ファイルを閲覧したり、現像パラメータの操作を行なえる。対象となるRAWファイルが必要な場合は、そのボリューム名を表示してくれるため、光ディスクなどに適当な名前を付けて管理しておけばいい。

 加えて、プレビューファイルのサイズや保存品質は、HDD容量に応じて自動、あるいはマニュアルにて変更することができるため、ノート型のように限られた容量のHDDしか持てないコンピュータでも使い勝手がいい。


RAW現像エンジンに直接作用する色補正効果

 前バージョンで大幅に機能アップしていたRAW現像機能が、さらに使いやすく進化している。従来と同様のRAW現像パラメータはそのままに、現像時の色調整をスライダーで簡単に行なえるようになっている。

 たとえば青系の明るさや彩度を調整して青空の色調を変化させたり、ピンク系の明るい部分の彩度を上げることで肌色を変えてみたりといった処理を、スライダーを動かすだけでRAWファイルのレベルから調整できる。より多くの階調情報を持つRAW現像のレベルで、細かなフォトレタッチ的色補正を行なえる点はオモシロイ。


色補正は、スライダーの操作によって行なえる

 気になるRAW現像速度も、GPUのパワーを活用したCoreImage(MacOS X 10.4の機能で、GPUの処理能力を用いて画像処理を行なうライブラリセット)を通じて現像処理を行なうため、高速プロセッサと高性能GPUの組み合わせでは、RAWであることを意識させない。また、一度現像してしまえば、あとはキャッシュファイルで高速に処理される。

 このほか、現像時の輪郭補正に新しいアルゴリズムを内蔵させているという。輝度情報のみに作用するシャープ処理で、3パス処理による高品質な輪郭補正処理。パラメータの数値を指定するのではなく、仕上げの具合をスライダーで指定する。


ユーザーが定義したパラメーターは、プリセットとして保存可能 輝度を基準にしたシャープ処理を搭載

 これらの現像パラメータは、ユーザープリセットとして保存しておくことが可能。特定のカメラの、特定ISO感度に合わせてノイズやシャープネスの処理を決め、さらに風景や人物など対象に応じて色を選んでおき、プリセットとして登録しておけば、それを選択するだけで簡単に「仕上げ」を選ぶことが可能になる。


メタ情報の管理を強化

 このほかルーペ機能も大幅に強化されている。より柔軟かつ高機能になり、マウスのホイールでズーム倍率を最大16倍まで上げることが可能。Apertureは、もともとアナログな写真の整理や現像処理、セレクト処理などを、デジタル環境でもそのままのノウハウを用いながら、素早く作業することを考えて作られているため、こうしたアナログライクなツールの強化を行なっているという。


ルーペ機能では直感的な操作が可能になったという。また、16倍までのなめらかなズームが可能

 その一方で、デジタルらしいタグやメタ情報を活用したデータ管理の機能も強化された。撮影者名や日時、ロール番号などのIPTCメタ情報を自動的に追加、あるいは置き換えることが可能で、これらメタ情報をインポート/エクスポートすることができる。

 加えて、アドビシステムズのPhotoshopやBridgeで使われているXMPサイドカーファイルにも対応。Apertureで操作するメタ情報やレーティング情報などを、XMPサイドカーファイルに反映させることが可能なため、Adobe製ツールを用いたワークフローにも自然になじむ。


IPTCメタ情報の自動追加や置き換えができるほか、インポート/エクスポートが可能 XMPをサポートし、AdobeのPhotoshopやBridgeとメタ情報を共有できる

iPhotoの完全な置き換えにも

 iLife、iWorkとの完全な連携も可能になった。従来、アップルのソフトウェアは写真イメージの管理をiPhotoで行なうことを前提に設計されていたが、Aperture側の仕様変更により、iPhotoで行なえるiLife、iWorkとの連携操作がApertureでも可能になった。これによりApertureで管理するRAW、JPEGなどのイメージファイルを、簡単にDVD化したり、iPodに転送、Webページ作成、プレゼンテーション用スライドショー作成などに活用できる。

 さらに、Apertureで管理する画像のエクスポート用APIを定義。近くソフトウェア開発キットが配布される。この機能は写真を活用するサービスやアプリケーションとの連携を実現するためのものだ。

 たとえば写真を選んでFlickr用プラグインを呼び出すと、写真のタイトルやコメントを入力するエリアが現れ、そこに入力したテキストとともにFlickrに写真を自動掲載する。同様にフォトストレージサービスやデジカメ向けインターネットDPEサービスなどと連携させることもできる。



URL
  Apple
  http://www.apple.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www.apple.com/jp/news/2006/sep/26aperture.html

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( 本田 雅一 )
2006/09/26 19:42
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