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パッケージ
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アイエヌエックスジャパンのユニークなSDメモリーカード「YouSD」(INX-USD)が店頭に並び始めた。編集部でも早速256MB版を入手し、独自の機構を試してみた。カメラ量販店での販売価格は7,480円。
USB 2.0コネクタ一体型のSDメモリーカードといえば、米SanDiskが2月に発表した「Ultra SD PLUS」を思い出す。カードを2つ折りにすると薄い端子片が現れる仕組みで、端子片をPCなどのUSB端子に挿入する。SDメモリーカードスロットを持たないデスクトップPCなどで、カードリーダーやPCカードアダプタを用意することなく読み書きが可能になるというので話題になった。容量は最大1GB。魅力的な製品だが、結局、国内で販売の動きが見られず、いまだに発売に至っていない。
その間隙を縫って登場したのがYouSDだ。Sandiskとの違いは、記録メディア部と保護カバー部が分離する点にある。保護カバーを外すと隠れていた薄い端子が現れ、PCなどAタイプのUSBコネクタに直結できる。「Sandiskの苦労は何なんだったんだ」と思えるほどシンプルなアイデアだ。とはいえ、この方式ではカバーの紛失というリスクを常に負うことになる。
取り外しは簡単で、記録メディア部から端子カバー部をまっすぐ引き抜くだけだ。接合部の仕組みも単純。USB用の端子を溝に滑り込ませると、構内のクリックストップにはまってカチリと止まる。カバー裏面は金属製で、それなりに精度を確保している模様。しかし若干内側に反っており、これがUSB用の端子部を押さえて脱落するのを防いでいるようだ。なお、ラベル右下隅に青色のLEDが入っており、アクセスに合わせてラベル越しに点滅する。
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保護カバーを装着。通常のSDカードと同等の大きさだ
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保護カバーを外した状態。なくさないよう、反対側に装着できたら……
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裏面。飛び出した端子はオスUSBコネクタの中身といえるもの。初めて見た
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こちらがSandiskのUltra SD PLUS
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YouSDと違ってキャップが取れない
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もちろん、保護カバーを装着すればデジタルカメラにも使用できる。最大転送速度は公称で10MB/secなので、現在出回っているものとしては比較的高速だ。
書き込み速度を見るため、*ist DSでRAW画像を10コマ連写するテストを行なった。1コマ目から10枚目のシャッターが落ちるまでを計測している。フォーカスはマニュアル、シャッター速度は1/4,000秒に固定した。比較のため、サンディスク「Extreme III」(1GB)、松下電器「PRO HIGH SPEED」(512MB)、バッファロー「RDSC」(1GB)も同じ条件、同じ被写体で測定している。それぞれ5回計測し、その平均を求めた。人的要因の大きな調査なので参考程度に見て欲しい。結果は下表の通り。
*ist DSでの計測結果(秒)
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発売元 |
平均所要時間 |
Extreme III(1GB) |
サンディスク |
15秒8 |
PRO HIGH SPEED(512MB) |
松下電器 |
15秒9 |
YouSD(256MB) |
アイエヌエックス |
16秒1 |
RSDC(1GB) |
バッファロー |
16秒3 |
カメラ側が高速書き込みに対応していないこともあり、体感できるほど大きな差は出なかった。カメラ側の書き込み速度が引き上げられたという話はあまり聞かないので、通常の使い勝手はまったく同等といって良いだろう。
次に、松下電器のCardBus対応PCカードアダプタ「BN-SDDAP3」を使い、PC上での転送速度をHDBENCHで計った。これも5回計測し、平均値を出している。また、YouSDはPCカードアダプタ経由と、USB 2.0端子に装着した状態の2パターンを調べた。
その結果、20MB/sec級の上位2枚には及ばないものの、Readは公称値の8割となかなかの成績を収めた。同じく公称10MB/secのRSDCを若干上回るのが興味深い。USB 2.0経由も健闘したが、基本的にCardBus対応PCカードアダプタのポテンシャルが生かされた格好だ。
各カードの転送速度(KByte/s)
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発売元 |
Read |
Write |
FileCopy |
Extreme III(1GB) |
サンディスク |
22,390 |
14,013 |
842 |
PRO HIGH SPEED(512MB) |
松下電器 |
20,856 |
11,773 |
1,450 |
YouSD(256MB、PCカード経由) |
アイエヌエックス |
8,406 |
5,864 |
742 |
RSDC(1GB) |
バッファロー |
7,475 |
5,188 |
582 |
YouSD(256MB、USB 2.0経由) |
アイエヌエックス |
7,088 |
5,126 |
662 |
使い方としては、SDカードスロットのないPCで活躍することになるだろう。カードリーダーやカードアダプタを使うことなく転送できるのは大きなメリットだ。自分のPCにSDメモリーカードスロットが備わっていたとしても、USBメモリとして転用できることを考えると、外出先でデータの受け渡しなど頻繁に行なうなら検討する価値は高い。
反面、細かい使い勝手についてはベストとはいえない部分もある。まず、慣れないうちは保護カバーを表裏逆に付けがちだ。この場合、カードの全長が長くなり、たいていのSDメモリーカードスロットに入りきらない。また、使っているうちにカード本体が高温になるのも気になった。
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横配置のコネクタだと裏向きになるのが悲しい。幅が広いのでほかのUSB端子を塞ぐことも
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右下隅からはみ出すように光るLED
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ほかにも、アクセスを知らせるLEDが横位置のコネクタだと向きの関係で下を照らすため用をなさない。横向きコネクタの場合、となりのコネクタにも干渉しやすい。そういえば、こんなに幅広なUSBコネクタはこれまで存在しなかったのではと思う。何よりも保護カバーを紛失しないかと気になって仕方がない。
価格は256MBで7,480円。ほかのブランドの256MBが5,000円台であることを考えると少々割高だ。機種によってはUSBカードリーダーが3,000円を切る今、価格だけを考えると手ばなしでおすすめできるアイテムではないが、SDメモリーカード兼USBメモリという、今までにない運用方法が魅力だ。現状で最大256MB止まりというのは熱心なデジタルカメラユーザーにとって厳しいので、大容量版も期待したい。
■ URL
アイエヌエックスジャパン
http://www.inx-jp.co.jp/
製品情報
http://www.inx-jp.co.jp/hardware/yousd/
■ 関連記事
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( 編集部 )
2005/06/23 21:28
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