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【インタビュー】デジカメユーザーにとってのPhotoshop CS2のメリット

〜プロダクトマネージャに聞く

Photoshop CS2
 Adobe Creative Suiteがバージョンアップされ、それに伴ってPhotoshopもCS2へとバージョンアップされた。近年のアップグレードでは、デジタルカメラへの対応が進められていたPhotoshopだが、今回は新アプリケーションのAdobe Bridgeを中心にCreative Suite全体の連携を高め、さらにVersionCueを改善。デザイン作業全体のワークフローを大幅に改善する方向での進化が目立つ。

 とはいえPhotoshop単体で見た場合の改良点も相変わらず多い。またPhotoshopのファイルブラウザ機能が大幅に改良され、Bridgeとして独立した事で大量の画像ファイルを閲覧する際のパフォーマンスも向上している(BridgeはPhotoshop CS2単体のパッケージにもバンドルされている)。

 デザインのプロフェッショナルだけでなく、ハイアマチュアのデジタルカメラユーザーにも使って欲しいというPhotoshop CS2が、どのような改善を受けているのか。アドビ システムズの米国本社でPhotoshop CS2のシニアプロダクトマネージャをつとめる中川葉子氏およびアドビ システムズ日本法人フィールドプロダクトマネージャの栃谷宗央氏に話を伺った。


シニアプロダクトマネージャ 中川葉子氏 フィールドプロダクトマネージャ 栃谷宗央氏

BridgeはCreative Suiteの司令塔

−−Creative Suite全体を見渡すと、今回は非常に多岐にわたる大きなアップグレードのように見えます。製品全体の改善コンセプトについてお聞かせください。

「単体製品だけではなく、Creative Suite全体のメジャーバージョンアップということで、大幅な改良が加えられています。最初のCreative Suiteは、同じユーザーインターフェイスに統一はされているものの、単体製品をひとつに集めた“コレクション”でしかありませんでした。しかし、今回のバージョンでは“スイート”として各製品が境目無くつながり、作業を進めることができます」

「たとえば用語の統一などにも気を遣っています。これまで各製品はバラバラに開発され、異なるタイミングで異なる担当者が日本語への移植も担当していました。しかし、今回は徹底して統一感のある操作性を狙い、メニューからヘルプに至るまで一貫性のある日本語化が行なわれています」


Adobe Bridge
−−そうした意味ではPhotoshopのファイルブラウザが進化した……というには、あまりに機能アップしているBridgeが大きな鍵と言えそうですね。

「Creative Suiteの司令塔と言える製品がBridgeです。各製品との間を取り持ったり、PDFの作成を行なったりと、あらゆるユーザーが最も頻繁に使うアプリケーションになっています。その意味でもBridgeは重要な製品と言えますね。たとえば写真ユーザー向けとしては、RAWファイルのサムネイルが、現在設定されている現像パラメータで現像された時の色で、きちんと表示されます」

−−パフォーマンスも非常に高いようです。こうした画像(Bridgeは画像以外も管理可能)管理のツールは、フォルダ内のデータが増えてくると極端にパフォーマンスが落ちたり、サムネイル作成中のレスポンスが悪く作業が止まったりするものが多いのですが、プレリリース版のBridgeに振れたところ、そのような事が全くありませんでした。

「サムネイルは画像キャッシュとしてハードディスクに保存することが可能ですが、これを別の作業用ドライブに一括保管しておくことでサムネイル作成や表示のパフォーマンスを上げることも可能です。またバックグラウンドでのサムネイル作成も、特にデュアルプロセッサ/デュアルコアの環境下では高速に感じるでしょう」


CS2はデジカメ向け機能も充実

−−デジタルカメラユーザーから見たPhotoshop CS2とは、どのような製品に仕上がっているのでしょう。

「プロの写真家が唯一無二の道具として使いこなせる、使いやすく、強力な製品になりました。前述したように、今回はCreative Suite全体の統合が大きなテーマですから、そうした変更ももちろんあります。しかし、Photoshopはなんといってもその中心製品です」

−−デジタルカメラユーザーは、Photoshop CS2からどのようなメリットを享受できるのでしょうか?

「圧倒的なクオリティです。機能面での改善はWebページを参照すれば理解していただけると思いますが、何よりクオリティ、たとえばRAW現像の品質やフィルタの品質も向上しています。クオリティに投資したいと思うのであれば、アマチュアユーザーにもPhotoshop CS2以上のものでは存在しないと言い切れるほど改善されています」

−−“プロの写真家が使える”道具に仕上がったとのことですが、実際に写真家自身が暗室ではなくPhotoshopでの作業を行なうようになってきているということでしょうか。もちろん、すべての写真家が作品制作に没頭しているわけでもないでしょうし、効率を重視すれば後処理はすべてお任せという場合も多いでしょう。

「デジタルカメラにおけるRAWファイルの扱いは、コンピュータの能力向上もあって大変進化しています。暗室で作業するよりもずっと手軽ですから、自分でやりたい、挑戦してみたいという人が増えているのは確かでしょう」

「しかし写真家は当然RAWを扱っているのか? というと、おっしゃるように少数派でしょうね。純粋な仕事として撮影データを渡すだけの場合はJPEGファイルで撮影し、そのまま渡していることが多いはずです。RAWで凝った処理を行なう時間もありません。最終的に雑誌などの印刷工程に回るのであれば、実際のところJPEGでも十分な品質が得られます」

「ですが、自分の作品をアピールするためのポートフォリオ作りには、当然RAWから自分の好みに合わせて現像を行なうケースが多いでしょう。デジカメWatchの読者に多いハイアマチュアユーザーの場合、やはり仕上がりのスピードではなく、最終的に得られる写真の作品性が重視されるでしょうから、きちんと時間をかけてRAW中心の作業になると分析しています」


Camera Raw Camera Rawにも収差の補正機能が搭載された

−−その“写真家自身に使ってほしい”と言われていたPhotoshop CS2の機能について紹介していただけますか?

「まずはBridgeです。画像管理のツールとして改善されているとのことでしたが、さらにBridgeは複数RAWファイルの一括現像を行なうことが可能になり、効率を重視したRAW現像のプロセスが可能になりました」

「また“レンズ補正”、“ノイズを低減”、“スマートシャープ”といった機能が加わっています。これらの機能は従来、ユーザー自身が最高のクオリティを得るため、Photoshopの機能を用いて行なっていたテクニックを、より簡単かつ高品質に実行できるようにデジタルカメラユーザー向けに実装した機能です」

「HDRモードへの対応もニュースです。32bitのHDR画像を取り扱えるため、階調の劣化がほぼありません。特にモノクロ写真を扱う際、HDRモードにコンバートしてからトーンカーブやRGBミキシングなどの処理を行なうことで、最終出力の量子化誤差がほとんどなくなり、トーンジャンプを最小限に抑えることが可能になりました」

「また細かい点ですが、“レンズフィルタ”の中に富士写真フィルム製フィルタの特性をプリセットした選択肢を追加しているため、実際のレンズ用カラーフィルタを用いるのと同じように使うことができます」

「RAW現像プラグインも機能アップしています。従来よりもパフォーマンスが改善されたほか、各種現像パラメータにPhotoshop Elementsで実装されていた自動補正機能が付加されます。また現像の品質が上がり、調整パラメータの数も増えました。色収差の補正やRGB各色の色相、彩度をカスタマイズするといったこともできます。このあたりはユーザーからのフィードバックを実装したものですから、実際に使っていただいて良さを実感してください」

 このコメントの中で出た“レンズ補正”とは、レンズの諸収差を取り除くための専用フィルタである。台形補正などのシンプルな補正から、色収差補正、口径食(ビネット)補正、台形/糸巻き歪補正を行なえる。陣笠歪のような複合的な歪以外であれば、非常に簡単な操作で収差を取り除くことができる。

 “ノイズを低減”はカラーノイズの低減とディテールの残し具合、明暗の成分に対してシャープネスをかける度合い、JPEGの斑点低減などの機能を実装している上、RGB個別にパラメータを設定できるフィルタ。たとえばノイズが乗りやすいBチャンネルに特に強いノイズ低減補正をかけ、ノイズが少ないGチャンネルはディテールを多く残してノイズ低減は最小限にするといった操作を行なえる。カメラごと、ISO感度設定ごとにノイズの性格を分析し、パラメータを保存しておけば、ノイズ低減の作業が大幅に楽になるだろう。


レンズ補正 ノイズを低減

スマートシャープ
 “スマートシャープ”はアンシャープマスクの拡張版とも言えるフィルタで、マスク作成時に使うぼかしフィルタの種類を選択できる(通常はガウスだが、レンズや移動といったぼかしを指定可能。角度調整も行なえる)。さらにシャドウ側とハイライト側で適用する効果を変化させることもできる。アンシャープマスクに代わる仕上げ用定番フィルタとして定着するだろう。

 またインタビューでは出てこなかったが、色調補正に追加された“露光量”もなかなか便利な機能だ。単純なブライトネスやレベル調整ではなく、露出を±に補正した場合の結果をシミュレートしてくれたり、ブラックのレベルをオフセットとして設定したり、あるいはガンマの調整を行なえる。

−−RAW現像ツールの進化も大変うまく作業したとは思いますが、気になるのは従来バージョンのサポートです。既存のPhotoshop CSに関しては、新しいカメラRAWファイルのサポートはないのでしょうか?

「今後、新機種への対応は新しいバージョンのみになります。従来のPhotoshop CSユーザーに関しては、DNGファイルへのコンバータを継続的にアップデートしていますから、一度DNGへのコンバートを行なうことで対応可能です」


今後も18カ月のサイクルでアップデート

−−Creative Suite全体の統合を果たし、デジタルカメラ向けにも、もちろんデザイナー向けにも多くの機能を提供した新バージョンですが、今後のPhotoshopはどのような方向で進化するのでしょうか?

「Photoshopは発売からすでに15年が経過しました。多くのユーザーがおりますし、もはや最初から作り直すことは不可能と思えるほどのシステムになっています。その完成度は非常に高いレベルにまで達していると言えるでしょう」

−−しかしそうした進化の中で、Photoshopのユーザー層はクリエイターやデザイナーだけでなく、プロの写真家やアマチュア写真愛好家など、非常に幅広いユーザーに広がっていますね。そして、ユーザーごとに要求が異なり、必要な機能も違います。ひとつのパッケージでカバーするのは難しいのではないでしょうか?

「現時点ではあらゆるユーザーに満足していただけるものになっていると思いますが、今後、ユーザーの細分化に対応して、使い方ごと、つまりユーザー層ごとに最適なPhotoshopを考えていく必要はあるでしょう」

−−そのひとつの答えはPhotoshop Elementsだったのだと思いますが、Photoshop ElementsとPhotoshop CS2の間には、決して狭くない隙間があるように思えます。

「Photoshop Elementsでもでも対応できないユーザー層があることは理解しています。そこにどのようなニーズがあるのか。市場規模はどのぐらいなのか。よく考慮した上で考えていかなければなりません。ひとつ変わりがない点は、ラインナップの頂点としてのPhotoshop CSシリーズは、デジタルイメージングのテクノロジで最先端を行くということです。その部分をキープするというのが、もっとも優先される我々のミッションだと思っています。Photoshopは平均して18カ月のサイクルでアップデートしていますから今後もこのサイクルで最新の技術をお届けできるでしょう」



URL
  アドビシステムズ
  http://www.adobe.co.jp/

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アドビ、デジカメ対応機能が充実した「Adobe Photoshop CS2」(2005/06/07)


( 本田 雅一 )
2005/06/23 00:27
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