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iPod Photoを触ってきました

~魅力的なポケッタブル・デジタルアルバム

 アップルコンピュータ株式会社は1日、デジタル音楽プレーヤーiPodシリーズの新製品「iPod Photo」と「iPod U2 Special Edition」の報道関係者向け製品説明会を開催した。ここではiPod Photoの写真関連機能についてレポートする。


主な違いはカラー液晶と厚み

 iPod Photoは、iPodの液晶モニターを65,000色表示可能なLEDバックライト付き2型カラー液晶(220×176ドット)としたもの。カラー液晶にはiTunesで転送した画像を表示可能で、対応フォーマットはJPEG、BMP、GIF、TIFF、PNGとなっている。

 ステレオヘッドフォンジャックからはオーディオだけでなくコンポジットビデオ出力が可能になったので、付属のケーブルでiPod Photo内の画像をTVに出力することもできる。また、ドックには従来どおり充電とパソコン接続機能があるが、ビデオ出力機能も新たに搭載された。40GB HDD搭載モデルと60GB HDD搭載モデルが用意される。


「写真」メニューが追加されたメインメニュー
サムネール表示
フルスクリーン表示

iPod単体でTV出力できるほか、ドックからもSビデオ出力が可能
付属するコンポジットケーブル
第4世代iPodよりも若干厚くなった

 このほかはいわゆる第4世代iPodとほぼ共通で、IEEE 1394(FireWire 400)とUSB 2.0を装備し、オーディオフォーマットはAAC、MP3、MP3 VBR、Apple Lossless、WAV、AIFF、Audibleに対応する。

 本体サイズは104×19×61mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は181g。第4世代iPodの40GBモデルと比較すると、1.5mm厚く、5g重い。これはプラッタが増えた60GB HDDを収めるためと、バッテリ容量を増やしたためという。音楽再生時間は第4世代iPodの12時間に対し、iPod Photoは15時間となっている。また、iPod PhotoでBGM付きのスライドショーを再生した場合は最大5時間となっている。

 この厚みと、液晶がカラーであること以外は、第4世代iPodと外観上で区別できるポイントはない。「クリックホイール」と呼ばれるコントロール部も、白とクロームメタルの色使いも、質感もほぼ同じである。

 同社直販価格は60GBモデルで70,140円、40GBモデルで57,540円。40GBモデルで比較すれば、第4世代iPodとの価格差は約12,000円となる。7日までには出荷される予定という。


高速な動作、その秘密は

 iPod Photo上では、フルスクリーンのほか、1画面25枚のサムネール表示、BGM付きスライドショーが再生できる。メインメニューに追加された「写真」メニューを選び、アルバムを選択すればサムネールが表示される。サムネール画面でクリックホイールを回転させれば(というより指でなぞれば)、望みの写真を選択でき、中央をクリックすればその写真がフルスクリーン表示される。


写真メニューを選ぶとアルバム名や設定項目などが表示される
スライドショーの設定。BGMやトランジションの有無もiPod上で設定。トランジションは1 スライドショーを出力中は、前後のコマを表示することもできる

 まず驚かされるのがレスポンスのよさだ。iPodはホイールで大量の音楽を軽快にブラウズできるインターフェイスが魅力のひとつだが、iPod Photoの写真機能でも同じようなレスポンスが実現されている。サムネールの表示に数秒を要することがあるが、すべてのサムネールがいっぺんに読み込まれているらしく、サムネールの最初から最後まで一気にスクロールして見ることができる。スクロール中に次のサムネール画面が表示されるまで待たされる、ということはない。フルスクリーン表示も高速だ。

 このレスポンスのよさには仕掛けがある。パソコンからiPod Photoに写真を転送するにはiTunes 4.7を使用するが、転送時にオリジナルの画像データから、iPod Photoでの表示に最適なサイズの画像に変換しているのだ。


iTunes 4.7の設定画面。オリジナル画像も転送したいときは「フル解像度の写真を含める」をチェックする
 サムネール用、フルスクリーン表示用、TV出力用の独自形式の小さな画像だけが転送されるため、転送も高速なら表示も高速になるというわけだ。オリジナルの画像データを一緒に転送することもできるが、ユーザーがiTunes上でそのように指定する必要がある。

 なお、iPod Photo上での写真の管理単位は「アルバム」になる。指定したPC上のフォルダの写真をすべて転送してくれるが、iPod Photo上で多数の写真から目的の写真を見つけるには、いくらできがよくてもサムネールとホイールだけではちょっと無理がある。PC上でアルバムに整理してから転送するほうが、使いやすいだろう。ちなみにMacintoshではiPhotoの、WindowsではAdobe Photoshop AlbumとPhotoshop Elementsのアルバムに対応する。


ゲームやカレンダーもカラー表示になった
アルバムのジャケット画像も表示できる

フォトストレージとしても使えなくはないが

 デジタルカメラユーザーとしては外出先でデジカメ内の画像をバックアップするフォトストレージとしての機能も期待したいところ。だがiPod PhotoはこれまでのiPodと同じくUSBホスト機能を持っていない。だからデジカメを直接iPod Photoに接続しても画像は転送できない。

 サードパーティのBelkinが「Media Reader for iPod」というiPodに接続するカードリーダーを用意している。同じくBelkinの「Digital Camera Link for iPod」を介せば、デジタルカメラからiPodにUSBで画像を転送できる。これらを利用すればiPod Photoもフォトストレージとして使える。が、これらには「アクセサリのサイズがiPodとかわらない」とか、転送速度が遅いといった欠点もある。

 さらに、こうしたサードパーティー製品でPCを介さずに転送した画像は、iPod Photoで表示できない。iPod Photo上で表示用の画像を生成できないからだ。高速に画像を転送できて、静止画どころか動画まで再生し、プリンタとも繋がる高機能なフォトストレージを期待するとがっかりするだろう。しかし、とりあえず画像をバックアップしておくことはできるわけだ。


写真を分かち合うために

Stan Ng氏
 説明会に来日した、米Apple ComputerのiPodプロダクトマーケティング ワールドワイド・プロダクトマーケティング ディレクターのStan Ng氏は「写真の最大の目的は、誰かと分かち合うこと」と言う。

 彼が見せた「25,000枚の写真とは?」と題されたスライドには「25,000枚の紙焼き写真を重ねると約7メートル」、「25,000枚の写真を敷き詰めるとその面積はおよそ500平方メートル」、「1冊あたり250枚収まるアルバムで100冊分」、「月に100枚撮影しても18年分の思い出を持ち運べます」と、iPod Photoで持ち運べる写真の膨大さをアピールする言葉が踊る。

 デジタルカメラにより撮影される画像の枚数が膨大になった今、改めて画像をどう保存し、活用するのかが問題になっている。より簡単に操作できるフォトプリンタやオンラインサービスなどが企画され、HDTVは家庭内でのデジタル画像ビューアとしても期待されている。

 写真の拡大表示ができないとか、サムネールとアルバム管理だけではやっぱり写真の検索が大変とか、問題点はいくつかあるものの、「写真をいつでもどこでも誰かと共有して楽しむ製品」として割り切られたiPod Photoは、現時点でのこうした問題への最善の解答だろう。iPod Photoよりももっと大きな液晶を積んだフォトビューアやストレージもあるが、画像が最適化されていることもあって、iPod Photoの液晶表示に不満はない。

 ネグ氏は「多くの企業はポータブルビデオプレーヤーに投資しているが、まだまだ課題が多い。一方、世界でもっとも売れている家電製品はデジカメだ」と言う。iPodの進化を考えたとき、もっとも現実的な音楽に続くエンターテインメントは写真だった、ということだろう。



URL
  アップルコンピュータ
  http://www.apple.com/jp/
  製品情報
  http://www.apple.com/jp/ipodphoto/
  【10月27日】米Apple、カラー液晶搭載の40/60GB「iPod Photo」(AV)
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20041027/apple1.htm


( 田中 真一郎 )
2004/11/01 20:47
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