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FUJIFILM X-E4[外観・機能]

フラットデザイン採用のシリーズ4世代目 シャッター音も

1月27日、富士フイルムは「X Summit GLOBAL」を世界に向けて配信。GFXシリーズからGFX100SとGF80mmF1.7 R WRを、XシリーズからX-E4とXF27mmF2.8 R WR、XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WRを発表した。これら製品のうちX-E4と新型XF27mmについて、量産前の試作機を手にする機会を得た。さっそく、その特徴やサイズ感をお伝えしていきたい。

X-Eシリーズも4世代目に突入

APS-Cセンサーを搭載するXシリーズが、4世代目となる有効2,610万画素のX-Trans CMOS 4センサーと画像処理エンジンX-Processor 4を初めて搭載したのは2018年9月に発売されたX-T3でのことだった。

その後、レンズ交換式ではX-T30(2019年3月)、X-Pro3(2019年11月〜12月)、X-T4(2020年4月〜5月)、X-S10(2020年11月)に順次展開された。レンズ一体型機でもX100V(2020年2月〜3月)で採用。センサー・プロセッサーが未刷新の機種はX-HシリーズとX-Eシリーズを残すのみとなっていた。

あらためてX-Eシリーズの位置づけを整理してみよう。同社は一眼レフ機風のボディ中央にファインダーを配したセンターファインダースタイルのカメラと、レンジファインダースタイルのカメラの、大きくわけて2つのデザインラインで製品を展開している。この基本路線はGFXシリーズでも同様となっている。

これら製品のうち、Xシリーズにおけるレンジファインダースタイルの製品はX-ProシリーズとX-Eシリーズがその役割を担っており、ファインダーが光学式+EVFのハイブリッドとなっているX-Proシリーズに対して、X-EシリーズはEVFのみ、としている点で棲み分けがなされている。

ファインダー部以外では、シャッタースピードの最高速に違いがある(X-Eシリーズは1/4,000秒まで。現行X-Proシリーズは1/8,000秒)。そのほか、メモリーカードスロットがダブルスロットであるか否かや、防塵防滴耐低温仕様か、ダイヤル類の配置、背面モニターの仕様など、機構面で作り分けがなされている。が、違いはこうしたデザインや機構・操作まわりのみで、画づくり自体はセンサー・プロセッサーが同じであれば基本的に同様、となっている。

X-Eシリーズの変遷に目を移すと、初代機であるX-E1の登場は2012年11月のこと。以降、センサー・プロセッサーを刷新しながら2017年9月に発売されたX-E3まで代を重ねてきた。実に4年近くの期間を経てのモデルチェンジということになる。

外観

さっそく外観を見ていこう。X-E4の外形寸法は幅121.3×高さ72.9×奥行き32.7mmとなっている。全体的にフラットなデザインに寄せてきているためか、寸法自体は先代X-E3(幅121.3×高さ73.9×奥行き42.7mm[最薄部32.4mm])と大差はないながらも、さらにコンパクトになった印象を抱かされる。

正面。グリップ迫り出し部やAFモードセレクトレバーが廃され、フラットな面構成になっている
左側面。上からマイク/リモート、USB Type-C、HDMIの各端子がならぶ
右側面に開閉部はない。ストラップ取り付け部が丸環ではなく、平型になっている
背面。ボタン類の配置はX100Vに近い

本体底面の三脚ネジ穴は光軸からずれた位置に配されている。本機を三脚にじっくりと据えて使用する場面は、コンセプトからずれるということだろうか。コンパクトボディ実現のため、という面はあるだろうが、こうした部分は少し気になるところ。軽量性をいかして、Webカメラとして運用するような使い方や、ジンバル使用時などでは工夫が必要となりそうだ。

操作部まわり

天面の操作部は、電源スイッチと同軸のシャッターボタンのほか、シャッタースピードダイヤル、露出補正ダイヤル、ファンクションボタン、Qボタンの4つで構成されている。

X-E3でシャッタースピードダイヤルと同軸にあった、AUTO(全自動)モード切り替えレバーが廃された代わりに、同ダイヤル上で「P」(プログラム)モードが選べるようになった。これまでプログラムモードに移行するためには、シャッタースピードと絞りリングの位置をともに「A」にセットすることで遷移可能としていたが、ダイヤルから直接移行できる仕組みが追加された。

コマンドダイヤルは前面の1カ所のみとなり、背面からは姿を消した。絞りリングを備えていないレンズを使用する場合、絞り値はこのダイヤルを使って操作することになる。

トップカバーはエッジがたったシャープなデザインに。X100Vではアルミからの削り出しで成型していたが、X-E4ではマグネシウム合金でこれを実現。銘が刻まれている左肩部は前機種と同じく斜めに少し角が落ちたデザインとなっているが、より直線基調のデザインに。同社によると、金型を極限まで追い込む事で、このシャープな仕上がりを実現しているのだという。

また、ボトムカバーの素材はアルミとのこと。チルト式モニターがあたることを考慮して、塗膜強度の面から素材の使い分けをしているとのことだ。

よく観察すると、ボディ前面から左右側面にかけてのアールの造型が少し角を残したものとなっていることがわかる。直線が際立つデザインとなっていることが、ボディ全体をシャープな印象にまとめあげているのだとみられる

背面モニターはX-Eシリーズでは初となるチルト式となった。同社によれば、モニターのヒンジ位置を工夫することで厚みを抑えた設計になっているという。

この背面モニターは、上方向に最大で180度反転することもできる。ボディ前面側にモニター面が向けられる仕様とすることで、Vlogや自分撮りニーズに応える。

記録メディアはSDカードを使用する。スロットはひとつで、バッテリー室と同室。バッテリーは従来と同じ「NP-W126S」を使用する。

サムレストも展開

オプションとして、サムレスト「TR-XE4」と拡張グリップ「MHG-XE4」も登場する。ここでは同時に登場したXF27mmF2.8 R WRを装着してみた。

まずは、手に持ったところから。コンパクトながら、サムレストの効果もあり、片手でもしっかりとホールドできる。

サムレストはホットシューに差し込むようにして装着する。ボディ背面に接する部分にはクッションが配されており、傷がつくことを防止している。装着感はしっかりとしたもので、ぐらつきは感じられなかった。

XF27mmF2.8 R WRに装着しているフードは新たに採用されたもの。フジツボ型の形状で、取りつけはフィルタースレッドへのねじ込み式。レンズキャップはかぶせ式となっている。ちなみにフードは既存のXF27mmF2.8にも装着が可能。しっかりと別売となるところも既存ユーザーにとっては嬉しいポイントだ。

FSは現行ラインアップを全搭載

富士フイルム機の代名詞ともいえるフィルムシミュレーション(FS)は、現行の18種類をすべて搭載している。クラシックネガやETERNAブリーチバイパスなど、最新の画づくりが選べる点は大きな魅力だ。

フィルムシミュレーションや、富士フイルムの画質設計へのコダワリは、以下に詳しく紹介しているので、ぜひあわせてご覧いただきたい。

PROVIA/スタンダード
Velvia/ビビッド
ASTIA/ソフト
クラシッククローム
PRO Neg.Hi
PRO Neg.Std
クラシックネガ
ETERNA/シネマ
ETERNAブリーチバイパス
ACROS(ACROS+Yeフィルター、ACROS+Rフィルター、ACROS+Gフィルター)
モノクロ(モノクロ+Yeフィルター、モノクロ+Rフィルター、モノクロ+Gフィルター)
セピア

このほか、グレイン・エフェクト、カラークローム・エフェクト、カラークローム ブルーを搭載。

ホワイトバランスも、ホワイト優先と雰囲気優先が選択可能となっている。

その他機能

メカシャッター使用時の連写コマ速度は最高で8コマ/秒。フォーカスポイントは、117点と425点から選択できる。

メカシャッターの動作音には少し甲高い印象をもった。とはいえキレ感があるので、撮っている感触は良好。以下の動画ではカメラ内蔵マイクを使用していることだけ留意いただきつつ、参考にしてもらえたら幸いだ。

動画はDCI 4K 30pに対応。フルHD 240pのハイスピード動画も撮影が可能となっており、最大10倍のスローモーション映像を再生できる。

まとめ

直近で発売されたXシリーズの最新機種はX-S10。小型・軽量かつリーズナブルという製品位置から、Xシリーズの買い替えや新たに導入したいと考えているユーザーにとって、さらに悩ましい選択肢が登場したといえそうだ。

大きな違いはX-S10がボディ内手ブレ補正機構を搭載しているのに対して、本機では非搭載となっている点。フラットなボディデザインで、携帯のしやすさや、スナップでの使用などをポイントとしている点を考慮するならば、X100Vが、むしろ比較対象の候補となってくる人もいるのではないだろうか。

いずれにせよ、X-S10同様、10万円前後の価格で富士フイルム最新の画づくりや撮影体験が楽しめる点はまさにバリュープライス。高価格帯の製品が増えつつある昨今のレンズ交換式カメラ市場において、現実的に手が届く価格帯の製品が増えるということは歓迎すべきことだと感じる。それでいて、上位機種に引けをとらない画質が得られて、つくり自体もしっかりしている点を考えると、本機を選ぶということは、むしろ通な選択肢と表現しても言い過ぎではないように思う。手ブレ補正が非搭載であることをネックに考える向きもあるかもしれないが、単焦点F2シリーズのように軽量なレンズとの組み合わせであれば、相当程度まで追い込めるのではないだろうか。小型軽量性をいかして、積極的に攻めていけそうなところも、本機ならではの使い所になるように思う。

本誌:宮澤孝周