ニュース

富士フイルム、レンズ・ボディを刷新した第5世代「X100V」

トップ・ボトムカバーにアルミを採用 X-Pro3、X-T3とならぶ撮影性能に

富士フイルム株式会社は2月5日、コンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X100V」を発表した。製品カラーは、シルバーとブラックの2色で、発売はシルバーが2月下旬、ブラックが3月の予定。価格はオープン。店頭予想価格は税別16万4,500円前後の見込み。

APS-Cセンサーを搭載したレンズ一体型コンパクトデジタルカメラ“X100シリーズ”の5世代目となるモデル。初代X100(FinePix X100)が発売されたのは2011年のこと。以降、X100S、X100T、X100Fと代を重ねてきた。前モデル「X100F」の発売は2017年2月23日だった。

OVFとEVFの切り替え表示に対応したファインダーと、35mm判換算35mm相当となるレンズといった同シリーズの特徴を引き継ぎつつ、センサーおよび画像処理エンジンを含め、各部デバイスのアップデートが図られている。

センサーには、同社APS-Cミラーレスカメラでも採用されている有効画素数約2,610万画素のX-Trans CMOS 4センサーを搭載。画像処理エンジンについてもX-Processor 4が組み合わされており、同社のミラーレスカメラX-Pro3やX-T3などと同等の撮影性能を備えるという。

本体デザインとレンズ設計も刷新。これまでボディ天面素材にはマグネシウム合金が採用されていたが、トップカバーとボトムカバーがアルミ素材に変更された。X100シリーズでアルミニウムが外装パーツに使われるのは初めて。これまでファインダーのある左肩部がなだらかにカットされていた部分が、直線基調のデザインとなっている。この造型はプレスと切削加工によって成型されているという。また、カバー表面にはブラスト処理が施されており、またアルマイト加工による着色を施すことで金属本来の質感を伝える仕上がりとなっているという。

レンズもII型に刷新された。焦点距離23mmと開放F値F2という、これまでのX100シリーズとスペック上の数値に変わりはないものの、光学設計が変更されている。この変更について同社は、裏面照射型になったセンサーの集光性能に合わせるためとしている。

レンズ構成は6群8枚。これまでは非球面レンズが1枚だったが、II型では2枚に変更されている。また内蔵のNDフィルターの効果段数も4段と、従来機から1段分強くかかる。最短撮影距離はこれまで同様約10cm。

ファインダー部も性能が引き上げられており、光学ガラスやEVFパネルが一新されている。これによりOVF時の視野率は約95%、倍率約0.52倍に、EVF時も約369万ドット、倍率0.66倍となっている。サイズは約0.5型。パネルは有機EL。

背面モニターはX100シリーズで初めてチルト操作に対応。X-T3などで用いられている3軸タイプではなく、手前側に引き出すタイプとなっている。サイズは3.0型で変更はないが、表示が162万ドットと高精細化しているほか、タッチ操作にも対応した。

このほか前面・背面のグリップ部も全面的に見直しを図ったとしており、実用的なボタン配置と手になじむグリップ感を実現しているという。このほか、ダイヤル類の仕上げもシリンダー形状から台形状とすることで、指へのフィット感を向上させたという。

またISOダイヤルの構造も変更されており、ISO感度変更時に引き上げた状態でロックができるようになった。これまでは、ダイヤル部を引き上げながら変更操作を行う操作系となっていた。

アダプターリング「AR-X100」とプロテクトフィルター「PRF-49」を組み合わせることで、防塵・防滴にも対応するという。

撮影性能は、メカニカルシャッターで4秒~1/4,000秒。電子シャッターは4秒~1/32,000秒に対応する。連写は最大で約11コマ/秒。ISO感度は、ISO 160~12800(拡張時ISO 80 / 100 / 125 / 25600 / 51200)。

機能面では、X-Pro3で追加されたフィルムシミュレーション「クラシックネガ」を搭載。「ETERNA」もX100シリーズで初めて搭載された。また「カラークロームエフェクト」(高彩度な部分の色飽和を抑える)や、「カラークロームブルー」(青の色再現で、深みと奥行きをコントロールできる)も搭載している。

他に多重露出や、フォーカスブラケットによる深度合成などにも対応する。

動画は4K30pに対応。HDMI端子も備えているため、外部モニターへの4:2:2の10bit出力も可能となっている。

バッテリーは従来同様NP-W126Sを使用する。USB Type-C端子からの充電にも対応。

アクセサリーは、ワイドコンバージョンレンズ「WCL-X100 II」やテレコンバージョンレンズ「TCL-X100 II」を共用可能。ボディ形状の変更にあわせて、レザーケース「LC-X100V」のみ専用品となる。レザーケースは本体に装着したまま、バッテリーやメモリーカードの付け外しが可能となっている。

主な性能

撮像素子

有効約2,610万画素X-Trans CMOS 4(23.5×15.6mm:APS-Cサイズ)

画像処理エンジン

X-Processor 4

レンズ

6群8枚(非球面レンズ2枚を含む)
NDフィルター:4段分

絞り

F2~F16(1/3EVステップ)

絞り羽根

9枚

最短撮影距離

約10cm

ISO感度

標準感度:ISO 160~12800
拡張時:ISO 80 / 100 / 125 / 25600 / 51200

シャッター速度

メカニカルシャッター:4秒~1/4000秒、バルブ(最長60分)
電子シャッター:4秒~1/32000秒、バルブ(1秒固定)

連写

約11コマ/秒

ファインダー

OVF:電子式ブライトフレームファインダー(視野率約95%、倍率約0.52倍)
EVF:0.5型有機ELファインダー(約369万ドット、倍率0.66倍)

背面モニター

3.0型チルト式タッチパネル付き(約162万ドット)

動画

DCI4K(4096×2160):29.97p/25p/24p/23.98p 200Mbps/100Mbps
4K(3840×2160):29.97p/25p/24p/23.98p 200Mbps/100Mbps
※いずれも連続最大約10分まで。ファイル記録形式はMOV。

フラッシュ

ガイドナンバー:約4.4(ISO100・m)

無線通信

Wi-Fi:IEEE802.11b/g/n
Bluetooth:Bluetooth Ver.4.2(Bluetooth low energy)

フィルムシミュレーションモード:17モード

PROVIA、Velvia、ASTIA、クラシッククローム、PRO Neg.Hi、PRO Neg.Std、モノクロ、モノクロ+Yeフィルター、モノクロ+Rフィルター、モノクロ+Gフィルター、セピア、ACROS、ACROS+Yeフィルター、ACROS+Rフィルター、ACROS+Gフィルター、ETERNA、クラシックネガ

入出力端子

USB Type-C(USB3.1 Gen1)
HDMIマイクロ端子(Type D)
2.5mm径マイク/リモートレリーズ端子

記録メディア

SDXC / SDHC / SDカード

バッテリー

NP-W126S

撮影枚数・時間

静止画:約350枚(ノーマルモード時・EVF)、約420枚(ノーマルモード時・OVF)
動画:4K約55分(29.97p時)、Full HD約75分(59.94p時)

外形寸法

幅128.0×高さ74.8×奥行き53.3(最薄部32.7)mm

質量

約478g(バッテリー、SDカード含む)
約428g(バッテリー、SDカード含まず)

本誌:宮澤孝周