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Nikon Z 7II・Z 6II

初代機からの進化ポイントをZ 6を軸に比較

ニコンは35mm判フルサイズミラーレスカメラZ 7IIを12月に、Z 6IIを11月9日に、それぞれ発売する。発売に先立ち量産が始まる前の試作機に触れる機会を得た。Z 6IIを中心に、前モデルZ 6との違いなどを含めて外観や進化点をお伝えしていきたい。

外観デザインは変わらず

Z 7IIとZ 6IIは、どちらも初代機のインターフェースやデザインを踏襲しており、外観から違いを見分けることは、ほぼできない。

Z 6IIを手もとの初代機と比べてみたが、前面のロゴ部分を隠してしまうと、どちらが新型なのか判別するのは困難になる。

左からZ 6II、Z 6(以下同)

ただ、外観からの判別ポイントが全くないわけではない。第二世代機ではCFexpress Type Bに加えてSDカードにも対応したデュアルスロット仕様となった。2スロット仕様に対応するために、スロットカバー部の大きさが若干変わっているのだ。

左側面からみたところ。Z 7IIとZ 6IIの外形寸法はともに約134.0×100.5×69.5mmとなり、初代機からわずかに厚みが増した。とはいえその差は2mm(初代機の厚みは67.5mm)。パッと見でも、実際に持ってみても、その差は実感としてもわからないレベルだ。

マウント部の座金も見分けのポイントだといえそうだ。初代機にはヘアライン状の模様が認められるが、第二世代機はフラットになっている。これはZ 5と同じ

各部をチェック

初代機同様、第二世代機も外観上の違いはない。外形寸法・重量ともに同じだ(約134.0×100.5×69.5mm、約615g[本体のみ])。両機を並べてみたが、やはり相違点は見つからない。

あらためてぐるりとZ 6IIをみていった。

端子部は左側面に集中している。外部マイク入力とヘッドホン出力(ともに3.5mmステレオミニジャック)と、USB Type-C、HDMI端子(Type C)、リモートコード「MC-DC2」などが利用できるアクセサリーターミナルがある。

背面モニターは初代機と同じチルト式。3.2型のTFTタイプで表示ドット数は約210万ドット。タッチ操作にも対応している。

縦位置グリップ

既存ユーザーからの要望をうけて、パワーバッテリーパック「MB-N11」もラインアップしている。

Z 7IIに装着したものが以下の写真だ。レンズはNIKKOR Z 50mm f/1.2 Sを組み合わせている。サイズおよび重量は約89.5×150mm・約1,090gで、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(約89mm×126mm・約805g)よりも大きく重い製品だが、グリップを装着した際のバランスは良い印象だった。本体とのロック接合部分のツマミも段差が設けられており、緩みなくしっかりと締め込むことができる。細かい点だが、随所に使いやすさへの配慮が盛り込まれている。筆者個人の感想では横位置以上に握りやすいと感じたくらいだ。

メニュー等操作部まわり

第二世代機の大きなトピックとして、CFexpress Type Bに加えてSD UHS-IIスロットが追加され、デュアルスロット仕様となった点があげられる。

実際にカードを押し込む直前まで挿したところ。境界部にしっかりとしたシーリングが施されており、触覚的にも防塵防滴への信頼感が得られる。それでいながら開閉のスムーズさは損なわれておらず、工作精度の高さが実感できる

公表されている仕様表から対応確認が得られるCFexpress Type Bカード製品は以下のとおり。今後も市場の動向に応じて対応表が更新される可能性もあるが、まずは以下製品であれば安心して使用できると考えてよさそうだ。

なお、CFexpress Type BスロットはXQDと互換性を確保している。転送部の規格はPCI Express Gen3とのこと。

メーカーシリーズ型番と容量
ソニーCEB-GシリーズCEB-G128(128GB)、CEB-G256(256GB)、CEB-G512(512GB)
レキサーProfessional CFexpress Type B CardLCFX10-64CRB(64GB)、LCFX10-128CRB(128GB)、LCFX10-256CRB(256GB)、LCFX10-512CRB(512GB)
※北米版:LCFX10-64CRBNA、LCFX10-128CRBNA、LCFX10-256CRBNA、LCFX10-512CRBNA
サンディスクExtreme ProシリーズSDCFE-064G-xxxNN、SDCFE-128G-xxxNN、SDCFE-256G-xxxNN、SDCFE-512G-xxxNN
※xxxの部分は地域コード。JN4となっているものが国内版。
※動作確認カードは末尾2文字が「NN」となっているもの。「IN」となっているのカードは非対応

デュアルスロット仕様となったことで、記録スロットの主と副が選択できるようになった。副スロットは順次記録、バックアップ記録、RAW+JPEG分割記録が選べるようになっている。

瞳AF・顔検出AF・動物AFがオートエリアAFのほかにワイドエリアAFでも利用できるようになった。フォーカスエリアを限定できるため被写体が複数混在するようなシーンでも使いやすさが向上しているとういう。

またオートエリアAFでも人物を対象としたAFと動物を対象としたAFが分割。それぞれの被写体が混在するシーンでもフォーカスを優先したい方にあわせて調整できる点も、ユーザーに寄り添った改善点だといえそうだ。

また、USB Type-C端子経由での充電および給電に対応。同じフルサイズZシリーズではZ 5が先んじて対応していたが、Z 6・Z 7シリーズも2世代目で対応した。

スペック上の数値からだけでは進化点を中々実感することが難しい第二世代Zシリーズだが、確実なアップデートが感じられる。別の言い方をすれば、それだけ初代機の時点から完成度が高かったということでもあるだろうが、この初代機も登場直後は実機を触ることができる場が少なかったこともあり、スペック先行での前評判が目立った。

エントリークラスとしてZ 5を用意し、初代機とともに併売となる第二世代フルサイズZシリーズ。これらの中から、自分にあった機種を選べるというところもユーザーとしては嬉しいポイント。残る問題は価格しだいとなってくる面は大きいが、ここで進化したフルサイズZの第一報を伝えることができていれば幸いだ。

本誌:宮澤孝周