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Tokina atx-m 23mm F1.4 X・33mm F1.4 X

純正XFレンズとの比較もまじえて

株式会社ケンコー・トキナーより、かねてよりアナウンスされていたトキナーの富士フイルムXシリーズ用単焦点レンズが登場した。残念ながら、同じ時期の発売が告知されていた56mm F1.4の姿はみられなかったものの、23mmと33mmが12月に発売される。両レンズに触れる機会があったので、サイズ感やAFの動作感などをお伝えしていきたい。

X-T一桁機とのマッチングは違和感なし

ミラーレスカメラに期待される小型・軽量性を損なわないことを主眼に設計・開発したレンズとの言葉どおり、両レンズともに小型なサイジングとなっている。外径寸法とフィルター径は両レンズで共通(フィルター径52mm、全長72mm、最大径65mm)。両レンズを並べると外観からの区別は難しい。

前玉の径は33mmのほうが若干大きい

鏡筒外装と付属フードは金属製。フォーカスリングおよび絞りリングに至るまで金属素材が用いられている。デザインや操作面はごくシンプルなもので、純正レンズシリーズ使用者にも違和感を抱かせないように配慮しているのかな、と思わせる部分。

両レンズともにステッピングモーターを搭載しており、AF動作に対応している。絞りの制御は電子式だ。

23mm
33mm

以下は、付属フードをセットしてX-T4に装着した状態。ここではブラックボディと組み合わせているが、デザインや質感などの面で違和感は感じさせない。サイズ感もX-T一桁シリーズとのマッチングは良好だと感じる。X-S10のように大型のグリップを備えている機種とのマッチングも良さそうだ。

23mm
33mm

33mmの魅力

両レンズともに開放F値はF1.4となっている。23mmは純正レンズにも同じ焦点距離、同じF値の「XF23mmF1.4 R」が存在している。外観上の違いでいうと、XF23mmが63×72mm・300gであるのに対して、atx-m 23mmは72×65mm・276gで、ほとんど差はない。最短撮影距離も28cmのXF23mmに対して、atx-m 23mmは30cmと、ほぼ同等となっている。描写や操作感・価格から、どちらの製品がより自身にマッチするのかが、判断の分かれ目となりそうだ。

いっぽうでXシステムユーザーにとって悩ましい存在といえるのが、atx-m 33mmの存在だ。この焦点距離は35mm判換算でちょうど50mm相当となる。近しい焦点距離にはXF35mmF1.4 Rがあるけれども、これは35mm判換算で53mm相当。やはりちょうど50mmで使いたいと考えていたユーザーにとっては待ち望んでいた焦点距離をもたらしてくれる製品となりそうだ。

また、33mmという焦点距離はXシステムユーザーにとって特別な意味がある。かねてより富士フイルムがF1.0のレンズとして開発を進めていた焦点距離(結果としては50mmで製品化された)を想起させるからだ。

と、少々脇道にそれたが、ここで気になってくるのがXF35mmF1.4 Rとの違いだ。実際に両レンズを並べて比較してみたのが、以下の写真だ。

あらためて、純正の角型フードを装着した美しさはさておくとして、サイズが大きく異なっていることがよくわかる。純正の35mmレンズはフード込みでもatx-m 33mmのフード非装着サイズとほぼ同じとなる。atx-m 33mmではフードの逆付も可能であることから、バッグ等への収納サイズ自体に差はないと思われるが、このハンドリングの差は使い勝手の面でも大きく影響しそうだ。

しかしながら、フォーカスリングはatx-m 33mmのほうが幅がひろい。AF駆動のため、マニュアルで微調整などの操作をする頻度は多くないものと思うが、MF操作を多用する人にとっては、atx-m 33mmのほうが使いやすい、となるかもしれない。

もちろん両者では焦点距離が違うし、設計思想も異なっていることだろう。直接比較するようなものでもないが、それでも純正レンズのコンパクトさを改めて実感させられる。とはいえ、atx-m 33mmも相当にコンパクトだ。

AFスピード

X-T4に装着して、XF35mmF1.4 Rとatx-m 33mm F1.4 Xの違いをみてみた。調査方法はデフォーカス状態から遠近で大きくフォーカス群を動かしてみるというもの。特定の条件下でごく簡単に試しただけのものなので、あくまでも参考までに留めていただきたい。

さて、まずXF35mmのほうだが、ズココという比較的大きめの動作音を伴って中のレンズが大きく駆動していることが実感できる。スピード自体は全群繰り出し式であることやXシリーズ初期の設計であることもあり、「すごく速い」とは言いづらい。

いっぽうatx-m 33mmはというと、静粛な動作でスッとフォーカスが動く印象。動作スピードは同じくステッピングモーターを採用するXF35mmF2 R WRなどのように爆速とはいえないものの、スーッスーッと滑らかな動作で合焦していった。動作感からくる印象は、確実なピント面を探しているという感じで、どちらかといえばコントラストでしっかりとみつけていこうとしている印象をもった。

XF35mmF1.4 Rを装着した状態。レンズ自体が187gと軽量なためフロントヘビーになることもない。マッチングもさすがの美しさだ

atx-m両レンズで気になったこと

atx-m 23mmと同33mmでは鏡筒外装およびレンズフードに金属素材が用いられている。どちらかと言えば光沢感のある仕上げとなっており、ソニーのEマウント用ツァイスレンズシリーズのような印象が強い。ボディカラーはブラックでも違和感ない印象だが、もしかしたらシルバーのほうが雰囲気はいいかもしれない。

純正に比べてどちらかというと細めの筐体デザインとなっていることもあり、手の収まり具合などハンドリングの良さがあるいっぽうで、操作面ではいくつか気になる点があった。まず絞りリングの操作感。デクリック仕様となっており、動画撮影時のスムーズな絞り変化が得られるメリットは大きいと想像するものの、静止画メインで使用した感じだと、少々トルクが重すぎるのでは、という印象を抱いた。また数値側からAポジションへの切り替わり時では、コツンと境界が伝わってくるものの、ゆっくり動かすと伝わってくるというレベルだった。全体的にトルクがありすぎるためだろう。また、素早くリングを操作すると擦れあう音が聞こえてくる。製品版に先駆けて試用した製品ということもあり、このあたりが改善されてくると、より使い勝手は良くなるのではないだろうか。

もう1点気になったことを。フードは金属製で質感が良いのだが、内側も光沢感がある仕上げとなっており、乱反射をどこまで抑えてくれるものか、少々不安を掻き立てられる。バヨネット部はプラスチック素材が用いられているようで、クリアランス自体に問題はないものの、フードをつかんでホールディングしようとすると少々ガタつく感じ。実際の使用時にグラつくわけではないので、もはやイチャモンレベルなのだが、気になるは気になった。

レンズ側のフード装着部もプラスチック素材が用いられていると思われる

マウントの取り付け指標もちょっとわかりづらいところにある。マウント側に「Tokina」の銘が入っているのだが、この「k」の文字の直下に小さく白の長方形で示されている部分が、指標となっているのだ。ロゴのように文字デザインと同化していて、装着時に少しとまどってしまった。

スペック比較表:XF23mm・atx-m 23mm

XF23mmF1.4 Ratx-m 23mm F1.4 X
レンズ構成8群11枚10群11枚
最小絞りF16F16
絞り羽根枚数7枚(円形絞り)9枚
最短撮影距離28cm(マクロ時)30cm
マクロ最大倍率0.1倍0.1倍
フィルター径62mm52mm
全長×最大径63×72mm72×65mm
質量300g276g
フード形状花形花形
希望小売価格(税別)12万4,000円6万2,000円

スペック比較表:XF35mm・atx-m 33mm

XF35mmF1.4 Ratx-m 33mm F1.4 X
レンズ構成6群8枚9群10枚
最小絞りF16F16
絞り羽根枚数7枚(円形絞り)9枚
最短撮影距離28cm(マクロ時)40cm
マクロ最大倍率0.17倍0.1倍
フィルター径52mm52mm
全長×最大径50.4×65mm72×65mm
質量187g285g
フード形状角型花形
希望小売価格(税別)8万1,000円5万5,000円

本誌:宮澤孝周