特別企画
鉄道写真の初心者が“流し撮り” “スローシャッター”に挑戦!Nikon Z 7II/Z 6II「注目製品レビュー」
最後の講評会を終えて…助川康史さんの評価は?
2021年3月22日 18:29
弊社インプレスが運営する写真SNS「GANREF」における「注目製品レビュー ニコンZ 7II/Z 6II」の一環として、開催されたオンラインセミナーの最終回となる第3回の模様をお伝えする。
本セミナーはGANREFメンバー8名がレビュワーとなり、実際の撮影を通してNikon Z 7II/Z 6IIの魅力を発信する企画。講師を務めるのは、鉄道写真家の助川康史さん。参加者のGANREFメンバーは基本的に鉄道写真の初心者だが、助川さんのアドバイスに加え、Nikon Z 7II/Z 6IIを使いこなすことで、鉄道写真の撮影に挑戦していく。
今回は第1回のキックオフセミナーと第2回の講評会でのアドバイスをもとに、参加者各自が撮影した課題作品を提出。それについて助川さんが講評をおこなった。加えて、さらなる撮影テクニックの向上とニコンZシリーズの使いこなしを伝授した。
1)キックオフセミナー (1月30日)
・Nikon Z 7II/Z 6IIについて
・講評会に向けての撮影テーマの発表と参考情報
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/1305223.html
2)講評会1 (2月11日)
・撮影テーマ1「編成写真」の講評
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/1307857.html
3)講評会2 (3月6日)
・撮影テーマ2「流し撮り」「スローシャッター」の講評
※今回の記事
期間中、8名の参加者が自分のGANREFページで、Nikon Z 7II/Z 6IIについてのレビューと写真を投稿した。
ハイレベルな作品が多く見受けられるのに加えて、撮影者自身でしかわからない最新Zシリーズの良さが語られている。ぜひチェックしてみてほしい。
第2回で参加者に出された新たな課題は、「流し撮り」と「スローシャッター」。鉄道写真でよく使われる手法だが、比較的難易度が高い。 Z 7II/Z 6IIの連写性能や向上したファインダーの見やすさなどが実感できるお題となっている。
それでは早速、参加者の力作を見ていこう。
Quiet Earthさんの作品
「見事に1/10秒というシャッター速度で情感をよく捉えている。運転士のシルエットがしっかり写っているのもすごい。ただ、左側が少し空いてしまったのでもう少し詰めると良いです。先頭の位置にAFポイントを置いておくと、フレーミングの目安になります」(助川さん)
「橋桁をブラしたのがすごく良い。また、背景がブルーモーメントとなる良い時間帯に撮影されている。この時間の流し撮りは私も好きです。列車の顔が支柱にかぶっているのが強いて言えば残念ですが、列車の芯が残る形で捉えていて完璧です」(助川さん)
まほろば1123さん
「1/8秒でよく止めている。ただヘッドライトではなく、運転席のドアの辺りにピントが合っているのでちょっと残念です。列車と雪の色味が合っていて、そこを見せた素晴らしい構図です」(助川さん)
「こちらは下が白一色になってしまったので残念。自分なら1両を大きく入れた構図にします。列車の顔がしっかり止まっているのと、雪の流れも写っていてよいです。シャッター速度も1/40秒でちょうどよい設定でしょう」(助川さん)
くにさん
「いい狙いで、うまくスローシャッターで表現している。前に手すりが写っていますが、大阪駅は上の階が手すりがないので、そちらの方がおすすめ。最近はテールライトの始点が入っているのが主流なので、その部分も素晴らしいです」(助川さん)
「1/25秒と低速シャッターですが、運転士までしっかり確認できるほど止まっているのがすごい。構図としては、もう少し左は詰めると良いでしょう。この場合、列車の顔がトラスから少し出た辺りで撮影するのも手です」(助川さん)
まがたさん
「先頭や最後尾ではなく、中間部分を撮影したことでおしゃれな写真になりました。海の見える位置がちょうどで、画面構成がよいですね。列車が流れすぎているので、もう少し速めの1/10秒といったシャッター速度が良かったかも知れません」(助川さん)
「この場所は京急線の端っこの方。本数の少ない列車をよく撮りました。河津桜の有名な場所ですが、なかなか撮れないシーンです。京急は赤色が多いですが、黄色の列車なので桜との対比がよくなりました」(助川さん)
NEONEOさん
「一番ベストな雰囲気で捉えている。後ろに新幹線があるのも良い。集中するようなラインの構図があり、人の足がちゃんと開いた瞬間を写しているのがすごい。感性が光る作品です」(助川さん)
「流し撮りもしっかり止まっている。ドットサイトを使われたとのことで、適切にアクセサリーを活用するのは重要なこと。構図はもう少しアップで赤い乗客がもっと目立つようにしても良かったですね。また、後ろのマンションの屋根が明るくて目が行きがちので、これがないとさらに良かったです」(助川さん)
闇夜の流離人さん
「1/10秒で見事に止めて撮りました。斜めの流し撮りでヘッドライトがしっかり止まっている技術がすごい。夕空も良い位置に入りましたが、カメラポジションをもう少し下げて、列車の背景が空だけになるようにすると車両が浮き立ちます」(助川さん)
「列車のヘッドライトがしっかり止まっている完璧な流し撮り。ピクチャーコントロールがビビッドとのことですが、フラットに設定してコントラストを下げ、空のトーンを出すのも手です」(助川さん)
Lupitaさん
「まず画面構成が素晴らしい。そして列車のタイミングが良いです。シャッター速度も1/10秒で適切ですね。水平が少し傾いているので、レタッチで修正すると良いでしょう」(助川さん)
「顔の文字までしっかり止まっていますね。1/80秒なので、流れが少なくなっています。もっと遅いシャッター速度でも良かったと思います。黒い電線と電柱が顔の側にあるので、もう少し列車が進んだタイミングで撮るとさらに良くなります」(助川さん)
ゆうさん
「連写を活用してシャッターチャンスを見事に捉えました。1/10秒でちょうどよい選択。窓が真ん中に来ていることや人物の位置も含めて画面構成が素晴らしい。スローシャッターのコツである、しっかりした芯の中に大きなブレを入れているということ。ボディ内手ブレ補正も貢献しています」(助川さん)
「ヘッドライトを止めて写せると良かった。AF-Sの置きピンで、列車の先頭位置にAFポイントを予め設定しておくと良いです。こうしたズーム流しは難しいと思いますが、またチャレンジしてみてください」(助川さん)
スローシャッター& Nikon Zで新たな表現を
最後に助川さんは、スローシャッターの魅力を伝えた。「スローシャッターをマスターすると新たな表現になります。止めて写すだけでなく、動感を表現できる。これで写真がまた一段と楽しくなります。つまらないようなシーンでも面白く撮れます」
そしてNikon Z 7II/Z 6IIについては、「スペック表では先代からさほど変わっていないように思われるかも知れないが、フィーリングの部分では大きく変わりました。Z 7II/Z 6IIはさらにパワーアップした相棒という印象です。それは、より使いやすくて撮影に集中できるようになったということ。このセミナーでその素晴らしさも感じてもらえたと思います。今回得たテクニックをご自分の撮影分野にどんどん応用してもらいたい」とまとめた。
本イベントのためNikon Z 7II/Z 6IIを試用した参加者からもさまざまな意見が飛び出した。た例えば「連写が速く、新たに鉄道写真の面白さを知った」「鉄道写真とともに、レンズの進化を感じた」「カメラ購入検討の参考になった」「カメラの処理能力アップを実感できた。ニコンにはさらなるレンズの拡充をお願いしたい」といったもの。新しい機材やお題となる撮影テーマに挑戦するなど、イベント期間中はそれぞれ本業と並行してのレポート作成だったに違いない。
参加者たちの熱気あふれる写真とレビューは、こちらのページで公開中だ。