特別企画
第1回目の講評会が開催!Nikon Z 7II/Z 6II「注目製品レビュー」
鉄道写真の初心者はNikon Zでどこまで撮れたのか
2021年3月6日 12:28
弊社インプレスが運営する写真SNS「GANREF」における「注目製品レビュー ニコンZ 7II/Z 6II」の一環として、開催されたオンラインセミナーの第2回の模様をお伝えする。
本セミナーはGANREFメンバー8名がレビュワーとなり、実際の撮影を通してNikon Z 7II/Z 6IIの魅力を発信する企画だ。講師を務める鉄道写真家の助川康史さん。参加者のGANREFメンバーは基本的に鉄道写真の初心者だが、助川さんのアドバイスに加え、Nikon Z 7II/Z 6IIを使いこなすことで、鉄道写真の撮影に挑戦していく。
今回は第1回のキックオフセミナーの内容を受けて、参加者各自が撮影した課題となる作品を提出。それについて助川さんが講評をおこない、さらなる撮影テクニックの向上とニコンZシリーズの使いこなしを伝授した。
この企画は以下の3回に分けての開催となる。
1)キックオフセミナー (1月30日)
・Nikon Z 7II/Z 6IIについて
・講評会に向けての撮影テーマの発表と参考情報
キックオフセミナーレポート
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/1305223.html
2)講評会1 (2月11日)
・メンバーが撮影した作品を講評(今回の記事)
3)講評会2 (3月6日)
・同上
期間中、8名の参加者が自分のGANREFページで、Nikon Z 7II/Z 6IIについてのレビューと写真を投稿している。ハイレベルな作品が多く見受けられるのに加えて、撮影者自身でしかわからない最新Zシリーズの良さが語られている。ぜひチェックしてみてほしい。
「注目製品レビュー ニコンZ 7II/Z 6II」まとめページ
https://ganref.jp/common/monitor/nikon/z7ii_z6ii/review.html
第1回で参加者に出された課題は、「AF-C(コンティニュアスAF)を活用した編成写真」。Z 7II/Z 6IIはAF-Cの性能が大幅に向上していることから、その凄さを実感してほしいと助川さんが選んだお題だ。
これを受けて、参加者がどのような撮影に挑んだのかをさっそく見ていこう。
NEONEOさんの作品
「鉄道写真は初心者でしたが、ターゲット追尾AFを使って編成写真を撮りました」(NEONEOさん)
「少しブレているので、1/2,500秒~1/3,000秒位のシャッター速度にすると良いでしょう。もう少し望遠レンズで離れて撮ると、歪が少なくなります。お手本になるような完璧な編成写真ですね」(助川さん)
「新幹線と伊吹山の組み合わせに挑戦しました」(NEONEOさん)
「列車が最後尾側なので、逆を走る先頭側を撮るとさらに良かったと思います。列車の奥側が雲の影になってしまったのが残念ですが、カレンダーに使えるくらいの作品です」(助川さん)
Lupitaさんの作品
「車両に夕日が映る瞬間を狙うため、1時間位夕日を待ちました。窓に江ノ島も映りそうだったのでリベンジしたいです」(Lupitaさん)
「夕日の狙い方がすこく良いし、車が写っていて全体的に良いバランスです。さらにF16程度まで絞り込んで光条を狙うのも手。カメラに回折補正機能があるので安心です」(助川さん)
「AF-Cのターゲット追尾で撮りました。近い距離でもしっかりピントが合うことがわかりました」(Lupitaさん)
「車両の下が切れてしまったので、全て入っていると良かったですね。もう少し遠い位置の列車を70-200mmレンズで狙い、AF-Cのターゲット追尾AFで撮ると良さそうです」(助川さん)
ゆうさんの作品
「富士山と列車が映える夕時を狙いました。AF-Cがよく食いついていました」(ゆうさん)
「大変フォトジェニックに撮れています。ホワイトバランスがオートなのが惜しい。蛍光灯の4番にすると夕焼けがより赤くなるうえ、水銀灯に照らされた列車の色も補正されて良くなります」(助川さん)
「列車の車体に夕日が映り込んでいるところが美しく、それを表現しました」(ゆうさん)
「ズームしながら流し撮りをおこなう手法(ズーム流し)がしっかりできています。ズーム流しはフレーミングが難しいので、広めに撮ってトリミングすると良いでしょう。左の電柱位まで切るのが良さそうです」(助川さん)
Quiet Earthさんの作品
「AF-Cのターゲット追尾で流し撮りをしました。連写を使っています」(Quiet Earthさん)
「この場合はほぼ横の動きなので、AF-Cではなく、AF-Sが良い。Z 6IIはAF-Sで14コマ/秒なので、頭が柱の間にあるベストの位置で撮れたと思います。シャッター速度はもっと落として1/8秒位が良いでしょう」(助川さん)
「長い編成の列車を狙っていたところ、短い列車が来てしまった。機関車が客車を引いている謎の列車でした」(Quiet Earthさん)
「回送中の珍しい列車ですね。これが撮れたなんで本当にうらやましい。確かに構図の左右が空いてしまっています。もっと手前に来るのを待って、列車を大きく写すと良いでしょう」(助川さん)
まほろば1123さんの作品
「雪煙を舞い上げる新幹線をAF-Cで狙いました」(まほろば1123さん)
「雪煙がすごく良いですね。この場合は新幹線の柄に食いつくのでAF-Cで正解です。白い空は映えないので、雪原を入れたのも良い。文句のない出来だと思います」(助川さん)
「これもAF-Cです。雪の舞う中の新幹線をアップにしました」(まほろば1123さん)
「AF-Cだと雪にピントが合う場合があるので、私なら置きピンにするところ。とはいえ、よく押さえました。構図はトリミング前のもう少し広い絵でも良いくらいです」(助川さん)
くにさんの作品
「直前の新幹線が長かったので、それに合わせたフレーミングにしていたのが失敗だったかもしれません」(くにさん)
「有名なスポットですが、きれいに撮るのは難しい場所です。もっと望遠レンズで狙って、右の電柱が隠れるくらいまで列車が来るのを待っても良いですね。テレコンを使うのも手です」(助川さん)
「須磨のS字カーブです。同じ場所にいた撮り鉄さんもこの列車が目当てだったようです」(くにさん)
「これもさらに望遠で狙うと良かったですね。構図のテクニックとして、列車を下において重心を下げると画面が安定します。あるいはレールをメインにして、印象的に見せるのも良いでしょう」(助川さん)
まがたさんの作品
「鉄道写真をちゃんと撮ったことはありませんでした。今回はAF-Sで連写し、一番良いものを選んでいます。現像時にアクティブD-ライティングでサビを強調しました」(まがたさん)
「フォトジェニックなとり方ですね。バランスが素晴らしいし、列車が映えています。AF設定も適切。アクティブD-ライティングをさらに強くかけるのも手。その時は、撮影時に暗めの露出にしておくのがポイントです」(助川さん)
「ピントを落書きの奥に合わせて、絞り込んで被写界深度を深くしました。黄色の列車も走っているので、それだとさらに映えたかも知れません」(まがたさん)
「構図が面白くてすごく良い。ピントの位置はそれで正解だと思います。アクティブD-ライティングで落書きが良い感じに出ましたね」(助川さん)
闇夜の流離人さんの作品
「AF-Cで、暗かったので絞りは開けました。顔の光っている部分を強調するため、敢えてアンダーにしたのとピクチャーコントロールをビビッドに設定しています」(闇夜の流離人さん)
「200mmですね。もう少し望遠レンズで狙うのも手ですが、この焦点距離だと画面を左に振って奥行きを見せるのも良いでしょう」(助川さん)
「時刻的に右側に影が出始めたので、この辺りが列車の位置としてはギリギリかと思いました。こちらも絞りは開放です」(闇夜の流離人さん)
「光が大変良い感じです。列車も良いタイミングで捉えています。暗かったということですが、絞り開放にしたのは正解です。高速連写の場合は絞りを開けておいたほうが高精度に測距できるからです」(助川さん)
次回講評会に向けての課題は……
最後に、助川さんから次回のお題と撮影についてのレクチャーがあった。次回のお題は「流し撮り」および「スローシャッター」に決定した。
流し撮りは列車の動きに合わせてカメラを動かすことで、背景が流れてスピード感を表現できる手法。ポイントはシャッター速度の設定で、1/125秒~1/60秒にすると良いそうだ。
構図としては、列車の顔が画面の真ん中に来るのは避けること。あらかじめAFポイントをフレームの端においておくと良い。基本はAF-Sで狙い、特にヘッドライトが止まって写るようにしてほしいとのことだ。
鉄道風景写真のように、列車が小さい場合は1/4秒などまで落とすと印象的な写真になるという。連写については、高速連続撮影(拡張)を勧めていた。
もう一つの課題であるスローシャッターは、時間を表現する手法だ。今回は列車以外をぶらす方法が紹介された。車窓からスローシャッターで外を撮れば、列車は止まっているが、風景が流れているように撮影することもできる、といった具合だ。この場合は1/3秒~1/6秒位が良いとのこと。
助川さんは、標識を主題にして走っている列車をぶらしたり、手持ちのスローシャッターで利用客をぶらすといったテクニックを紹介していた。
前回と同じく、参加者には近くの撮影ポイント、狙うべき構図、シャッター速度、時刻、背景や電柱の処理のしかた、レンズの選択といったアドバイスがあった。
これらをもとに、参加者は最後となる次回の講評会に向けて撮影をおこなう。その模様も引き続きお伝えする予定だ。
協力:株式会社ニコンイメージングジャパン