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ニコン、フルサイズZの第二世代モデル「Z 7II」「Z 6II」

デュアルエンジン搭載・CFexpress/SD対応 細かな不満点をつぶして基本性能を向上

Z 7II

ニコンは10月14日、ミラーレスカメラ「ニコン Z 7II」および「ニコン Z 6II」の詳細を発表した。発売はZ 6IIが11月6日(予約販売受付:10月16日10時から)、Z 7IIは12月の予定。店頭予想価格はZ 7IIが税込39万8,200円、Z 6IIが税込26万8,400円。

[2020/10.15追記]記事初出時、Z 6IIの発売日を11月の予定と記載していましたが具体的な日程が判明しました。該当箇所を修正しています。

初代機の不満点を一つひとつ解消

ニコンZシリーズの初代機として2018年に登場したZ 7およびZ 6の後継機として位置づけられるモデル。両機種ともに撮像素子はそのままに映像エンジンEXPEED 6を2基搭載することで、連写時のコマ速や処理性能の向上を達成。また記録メディアをCFexpress(XQD互換)とSD(UHS-II対応)のデュアル構成とした点が主な進化ポイントとなっている。なお、従来機Z 7およびZ 6は併売となる。これによりフルサイズZシリーズの選択肢は第2世代Z 7/6、初代Z 7/6、Z 5の3種構成となる。

センサーは前記したとおり据え置き。Z 7IIは有効約4,575万画素、Z 6 IIは有効約2,450万画素。画像処理エンジンは2基となっているが、画質自体は変わらないという。

アップデートポイントをみていくと、既存モデルをベースにした細部の性能向上が主眼となっている。こうした性能面の刷新では製品名に「s」が付されることが多かったが、今回は「II」が付されることとなった。

Z 6II

キーメッセージは「Zは、新境地へ」というもの。画像処理エンジンEXPEED 6を2基搭載することで、撮影性能の根幹部を強化。さらに2年間でユーザーから寄せられた声をひろいあげていくことで、不満点の解消を目指したモデルとなっている。物理的な処理性能の底上げをすることで、ファームウェアのアップデートでは対応しきれない、連写コマ数やAFなどの機能が向上。これらブラッシュアップをもって「新境地」というメッセージが託されているのだとみられる。

ブラッシュアップポイント

初代モデルでは記録メディアにXQDを採用(後日ファームウェアアップデートでCFexpress Type Bに対応した[Ver.2.20時点])していたが、シングルスロット仕様であったことを含め、初期から評価が分かれていた。発表直後に開催された2018年のニコンファンミーティングでもSDカードに対応していない点を大きな不満点だとする意見が聞かれた。

新モデルではCFexpress Type Bカード(XQD互換)およびSDカード(UHS-II対応)の2スロット構成とすることで、新しい規格のカードを用意することなく撮影できるようになった。

また、撮影画面上のアイコンなどの非表示にも対応。静止画および動画撮影時の細かい構図決めがやりやすくなった。

これらは、従来機種で寄せられた不満点の中でも特によく聞かれるポイントだった。

この他、連写時の記録コマ数の向上もトピックとなっている。Z 7IIでは最大77コマ(約10コマ/秒連写時)、Z 6IIでは最大124コマ(約14コマ/秒連写時)に進化。2基構成のEXPEED 6による処理速度の向上とバッファーメモリーの増強により、基本性能がコマ速度(拡張時)とともに向上している。初代モデルのコマ速度はZ 7が約9コマ/秒、Z 6は約12コマ/秒だった。なお、非拡張時のコマ速は変わらない(Z 7/Z 6ともに高速時で約5.5コマ)。

AF性能も進化している。低輝度側でのAF範囲が拡大しているほか、従来機種ではオートエリアAF利用時のみ利用できた瞳AFおよび動物AFが、ワイドエリアAFでも利用可能に。動きのある被写体の撮影時に力を発揮するとしている。

映像制作ニーズへの対応も進化点となっている。動画撮影時の瞳AFおよび動物AFが可能となったことで、ワンマンオペレーションによる映像制作での利便性が向上。また、外部レコーダー(Atmos SHOGUN、NINJA、SUMOなど)を使用するという条件はあるものの10ビットのHDMI出力でHDR(Hybrid Log-Gamma)動画出力に対応。ハイライトおよびシャドー側の階調を維持した映像記録が可能となっている。また、フルHD記録によるスローモーション撮影(120p)も利用できる。また、Z 5で可能となっていたUSB給電にも対応し、長時間の撮影記録にも対応している。

拡張性が向上

新モデルではZ 5で新たに採用された新型バッテリー「EN-EL15c」を搭載(従来のEN-EL15a、同b互換)。USB Type-C端子を用いた外部バッテリーからの充電および給電に対応(EN-EL15c使用時)した。

また、縦位置グリップ「パワーバッテリーパック MB-N11」も別売にてラインアップしている。11月6日の発売予定で、希望小売価格は税込4万8,950円。

MB-N11装着例

やや厚みが増したボディ

外観部や操作部の変更はほとんどない。EVFは0.5型の有機ELタイプで、ドット数は約369万ドット。倍率も約0.8倍で変更はない。背面モニターは、3.2型のチルト式。ドット数は約210万ドット。

外形寸法および重量は両機種ともに約134×100.5×69.5mm、約705g(バッテリー・メモリーカード含)・約615g(本体のみ)。初代モデルからの差は、厚みと重量のみ(初代モデル:厚み・67.5mm、本体のみの重量・約585g)。

製品画像:Z 7II

NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sを装着
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sを装着
NIKKOR Z 50mm f/1.2 Sを装着
NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sを装着
NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sを装着
スピードライトSB-5000を装着

製品画像:Z 6II

NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sを装着
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sを装着
NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sを装着
NIKKOR Z 85mm f/1.8 Sを装着
AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED+FTZを装着

本誌:宮澤孝周