イベントレポート
【CP+2019】新メモリカード「CFexpress」がいよいよ始動
32Gbpsの高性能タイプ「Type C」、SDサイズの「Type A」も
2019年3月1日 15:34
次世代メモリカード「CFexpress」がいよいよ登場間近になってきた。CP+ 2019の会場では、メモリカードメーカーが参考展示を行っており、カメラメーカーも対応を進めていて、着々と準備が進んでいる。製品は今夏にも登場予定だ。
CFexpressは、Compact Flash Association(CFA)が規格を策定する新しいメモリカード規格。CFAではこれまで、XQDとCFastという2種類の新規格を策定していたが、これを統合して新たな規格として策定したのがCFexpressだ。現状、一部の上位モデルにしか採用されていないCFの後継として、カメラなどへの採用を目指している。
これまで、CFexpress 1.0仕様が策定されていたが、CP+2019初日の2月28日、新バージョンとなるCFexpress 2.0仕様が発表された。現状、CFexpress対応製品は市場にない状態なので、実際の製品はこのCFexpress 2.0ベースになると考えられる。
CFexpressでは、インタフェースとしてPCI Express(PCIe) Gen3、プロトコルとしてNVMeを採用する。現行のSSDとして採用されることの多い仕組みであり、SSDの技術が応用できるというのがメリットの一つとされている。
CFexpress 1.0ではXQDと同じカードサイズである29.8×38.5×3.8mmのカード(Type B)が規定されていたが、CFexpress 2.0になったことで、新たに「Type A」「Type C」の2サイズが規定された。
Type Aは、20.0×28.0×2.8mmで、24×32×2.1mmというSDカードよりもやや小さなカード。
Type Cは、逆に54.0×74.0×4.8mmと名刺より小さなサイズだが、カードと言うよりはSSDといった感じのサイズだ。その代わりにType AはPCIe 1レーン(転送速度は8Gbps)、Type Bは2レーン(同16Gbps)、Type Cは4レーン(同32Gbps)といった違いがある。
そのメリットはスピードで、例えばレキサーブースのデモでは、PCからのデータ転送時は1,066倍速の同社CFの約8.8倍というスピードを誇り、逆にカードからPCへのデータ転送では9.5倍という速度を実現。USH-IIのSDカードやCFastカードよりも高速に転送できていた。
サンディスクブースでのデモでは、SDカード、CFast 2.0それぞれのExtreme Proカードを使ってCFexpressカードと速度を比較したところ、SDカードは書き込み175MB/s、読み出し247MB/s、CFastはそれぞれ343MB/s、412MB/s、そしてCFexpressは1154MB/s、1383MB/sとなり、10倍近い高速性を実現していた。
現状でニコンのNikon ZシリーズがXQDのシングルスロット、パナソニックのLUMIX S1シリーズがSDカードとXQDのデュアルスロットを採用しており、XQDとCFexpressにはスロットの互換性がある。ただ、CFexpressがプロトコルとしてNVMeを採用した関係で、カメラ側での対応が必要となるため、両社ともこれをファームウェアアップデートでCFexpress対応する計画だ。
ニコン、パナソニックともにアップデート時期は公開していないが、ソニーがいち早く開発発表として128GBモデルを今夏に発売すると発表。各社とも、カード発売と変わらない時期にアップデートすることを目指している。
レキサーも今年第2四半期には発売を見込んでおり、少なくとも夏までにはカード側と対応製品の両方が揃いそうだ。サンディスクも、対応端末の登場(ニコンかパナソニックのアップデート)に合わせる形での製品化を目指しているという。
ソニー、レキサー、サンディスクの3社とも、カメラメーカーと互換性の検証で協力が始まっているそうなので、このあたりは各社で同程度のタイミングになりそうだ。CP+会場にブースを構えていた東芝メモリは様子見という考えで、対応端末、ユーザーの状況を見極めた上で製品化を検討するとしている。
そのほか、デジタルカメラなどのCFexpressカードのホスト機器を製造するメーカー向けに、プログレードデジタルがCFexpressカードのサンプル出荷も開始している。一般ユーザー向けには、ホスト機器が登場するか対応ファームウェアのアップデートに合わせて、改めて発表するとしている。