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1型センサー+新レンズで高性能化した360度カメラ「RICOH THETA Z1」
LightroomでRAW現像→スティッチングできるプラグインも用意
2019年2月25日 21:43
リコーは360度カメラ「RICOH THETA Z1」を3月下旬に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は税別11万7,500円。2月28日に開幕する「CP+2019」に実機が展示される。
カメラの前後に2つのレンズ、内部に2つのイメージセンサーを搭載し、一度のシャッターレリーズで360度の静止画/動画を撮影できるRICOH THETAシリーズの最新モデル。
新たにイメージセンサーを1型に変更したことで、従来モデルの1/2.3型センサーと比べてダイナミックレンジが広がり、暗所画質も向上した点を特徴としている。
また、通常撮影時も自動でダイナミックレンジ補正を行い、白飛びを効果的に抑えるという。HDR合成やインターバル合成といった撮影モードも備える。
レンズユニットには、同社が「3回屈曲構造」と呼ぶ技術を採用し、センサーを大型化しつつ本体の厚さを24mmに抑えたという。撮影距離はレンズ前40cm〜∞。また、多段階絞り機構によりF2.1、F3.5、F5.6から選択可能で、明るいシーンでは絞り込むことで周辺部の解像感が向上するという。
新設計のレンズユニットによって、ゴースト、フレア、パープルフリンジも抑えたとしている。THETA S以降の撮影画像に見られた“赤点”などと呼ばれるゴーストも意識して取り除いたそうで、室内のタッチ&トライ会場で試した限りでは、この現象の発生は見られなかった。
THETAの撮影画像は、2つのレンズと2つのCMOSセンサーで撮影した画像を組み合わせて出力している。THETA Z1では有効約2,000万画素の裏面照射型CMOSセンサーを2つ搭載。新たにRAW記録(DNG形式)にも対応し、PhotoshopやLightroomで現像処理した画像を繋ぎ合わせるプラグインソフト「RICOH THETA Stitcher」も提供する。
動画の記録解像度は従来の「THETA V」と同じ。回転3軸補正と呼ぶ手ブレ補正機能で、3,840×1,920/30fps相当の360度動画を記録できるとしている。本体内の4chマイクを使った空間音声記録も可能。別売の「3DマイクロフォンTA-1」は非対応となった。
THETA Vに引き続きAndroidベースのシステムを採用。Qualcomm Snapdragonのプロセッサーなど、レンズ/センサー以外のハードウェア類はTHETA Vとの共通が見られる。スマートフォンへの画像転送速度もTHETA Vと同じ。ファームウェアアップデートによる機能追加、プラグインによる拡張機能なども引き続き提供される。
3月には、プラグインとして「Time-shift Shooting」(レンズ別時間差撮影)をリリース予定。「三脚撮影時に、撮影者が物陰に隠れる必要がなくなる」という。
スマートフォンとの連携は、基本アプリの「RICOH THETA」と編集アプリ「THETA+」の2本立てを継続。アプリの機能は今後も強化していくという。
内蔵メモリーは約19GB。JPEG静止画で約2,400枚を記録できる。
本体に0.93型の情報パネルを搭載。有機ELで、撮影可能枚数、バッテリー残量、通信状態などを表示する。
インターフェースはUSB 3.0(Type-C端子)。フル充電時の撮影可能枚数は静止画で約300枚、動画が約60分。ユーザーによるバッテリー交換は不可としていた。
THETA Z1の本体サイズと重量は48×132.5×29.7mm、約182g。レンズ部を除く厚さは24mm。
参考までに従来のTHETA Vは、45.2×130.6×22.9mm、約121g。レンズ部を除く厚さは17.9mm。
広いダイナミックレンジが作品づくりに貢献。リコーとアマナで取り組みも
2月25日に行われた新製品発表会では、写真家の谷角靖氏が登壇。実際にTHETA Z1で撮影した作品を示しつつ、THETAという360度カメラの利点や可能性について紹介した。
かつてはオーロラ撮影のためにデジタル一眼レフカメラで撮影した6〜7枚の画像を繋ぎ合わせていたが、THETAはワンショットで360度の撮影が可能。加えてポケットサイズのため、飛行機の持ち込み荷物に制限があるシーンでも、一眼レフカメラやドローンといった機材とともに運搬できるのがメリットだと語った。
特にTHETA Z1では高感度画質が向上し、RAW現像も可能なため、作品づくりに貢献するとのこと。三脚撮影が禁じられている場所では、THETAと反対の手に持ったスマートフォンからレリーズすることで1/15秒でもブレずに撮影できたという。
リコーとアマナは、共同で360度コンテンツを充実させる取り組みを実施。セミナーやイベントを定期的に共催することで、360度コンテンツマーケットの活性化を促進するという。