ニュース

1型センサー+新レンズで高性能化した360度カメラ「RICOH THETA Z1」

LightroomでRAW現像→スティッチングできるプラグインも用意

リコーは360度カメラ「RICOH THETA Z1」を3月下旬に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は税別11万7,500円。2月28日に開幕する「CP+2019」に実機が展示される。

カメラの前後に2つのレンズ、内部に2つのイメージセンサーを搭載し、一度のシャッターレリーズで360度の静止画/動画を撮影できるRICOH THETAシリーズの最新モデル。

外装にマグネシウムを採用。下部の画面に現在のモードやバッテリー残量が表示される。
前後に計4つ備わる小さな穴はマイク。これで収録することにより、動画の再生方向に合わせて音場を回転させられるという。THETA Vにも同様の仕組みがあった。
側面には「Fn」ボタンが増えた。スマートフォン連携を前提としたカメラのため、操作部はごくシンプルにしたいという考え。
新たにUSB Type-C端子を搭載。三脚ネジ穴を金属製とした。
RICOH THETA Z1
THETAファミリー

新たにイメージセンサーを1型に変更したことで、従来モデルの1/2.3型センサーと比べてダイナミックレンジが広がり、暗所画質も向上した点を特徴としている。

また、通常撮影時も自動でダイナミックレンジ補正を行い、白飛びを効果的に抑えるという。HDR合成やインターバル合成といった撮影モードも備える。

サンプルが展示されていた。左が従来のTHETA V、右が新モデルのTHETA Z1。
上のサンプル画像を拡大したところ。右がTHETA Z1。暗所で発生する暗部ノイズに明確な違いがある。
1型センサーと1/2.3型センサーのサイズ比較。

レンズユニットには、同社が「3回屈曲構造」と呼ぶ技術を採用し、センサーを大型化しつつ本体の厚さを24mmに抑えたという。撮影距離はレンズ前40cm〜∞。また、多段階絞り機構によりF2.1、F3.5、F5.6から選択可能で、明るいシーンでは絞り込むことで周辺部の解像感が向上するという。

スケルトンモデル。
レンズユニット。プリズムでレンズの下部に光を導き、外向きに2つ備わっているCMOSセンサーに結像する。

新設計のレンズユニットによって、ゴースト、フレア、パープルフリンジも抑えたとしている。THETA S以降の撮影画像に見られた“赤点”などと呼ばれるゴーストも意識して取り除いたそうで、室内のタッチ&トライ会場で試した限りでは、この現象の発生は見られなかった。

THETAの撮影画像は、2つのレンズと2つのCMOSセンサーで撮影した画像を組み合わせて出力している。THETA Z1では有効約2,000万画素の裏面照射型CMOSセンサーを2つ搭載。新たにRAW記録(DNG形式)にも対応し、PhotoshopやLightroomで現像処理した画像を繋ぎ合わせるプラグインソフト「RICOH THETA Stitcher」も提供する。

Lightroom Classic CCでTHETA Z1のRAWデータを編集しているところ。DNG形式なのでソフトウェア側の対応を待たずに扱える。
編集したRAWデータをカメラ内JPEGと同様にスティッチングするには、まずファイルメニューの「書き出し」を選ぶ。
後処理に「RICOH THETA Stitcher」を指定しておく。
書き出した画像がRICOH THETA Stitcherで開く。基本的に自動設定でよいが、ユーザーの声に応えて詳細設定も可能とした。

動画の記録解像度は従来の「THETA V」と同じ。回転3軸補正と呼ぶ手ブレ補正機能で、3,840×1,920/30fps相当の360度動画を記録できるとしている。本体内の4chマイクを使った空間音声記録も可能。別売の「3DマイクロフォンTA-1」は非対応となった。

THETA Vに引き続きAndroidベースのシステムを採用。Qualcomm Snapdragonのプロセッサーなど、レンズ/センサー以外のハードウェア類はTHETA Vとの共通が見られる。スマートフォンへの画像転送速度もTHETA Vと同じ。ファームウェアアップデートによる機能追加、プラグインによる拡張機能なども引き続き提供される。

3月には、プラグインとして「Time-shift Shooting」(レンズ別時間差撮影)をリリース予定。「三脚撮影時に、撮影者が物陰に隠れる必要がなくなる」という。

スマートフォンとの連携は、基本アプリの「RICOH THETA」と編集アプリ「THETA+」の2本立てを継続。アプリの機能は今後も強化していくという。

内蔵メモリーは約19GB。JPEG静止画で約2,400枚を記録できる。

本体に0.93型の情報パネルを搭載。有機ELで、撮影可能枚数、バッテリー残量、通信状態などを表示する。

インターフェースはUSB 3.0(Type-C端子)。フル充電時の撮影可能枚数は静止画で約300枚、動画が約60分。ユーザーによるバッテリー交換は不可としていた。

THETA Z1の本体サイズと重量は48×132.5×29.7mm、約182g。レンズ部を除く厚さは24mm。

参考までに従来のTHETA Vは、45.2×130.6×22.9mm、約121g。レンズ部を除く厚さは17.9mm。

左からTHETA S、THETA Z1
上のアクセサリーのうち、ストラップ用アタッチメントとエクステンションアダプターは従来から販売継続の製品。レンズキャップはTHETA V/SC用の「TL-1」(3月8日発売)も新たにラインナップした。
セミハードケースTS-2の中身。マイクロファイバーを採用。
ストラップ用アタッチメントやエクステンションアダプターを付けたまま使える。
THETA Z1用のレンズキャップTL-2。内部素材の工夫によりレンズに傷がつきにくく、撮影時は底部に差し込むことでスタンドにもなるという。

広いダイナミックレンジが作品づくりに貢献。リコーとアマナで取り組みも

写真家の谷角靖氏

2月25日に行われた新製品発表会では、写真家の谷角靖氏が登壇。実際にTHETA Z1で撮影した作品を示しつつ、THETAという360度カメラの利点や可能性について紹介した。

かつてはオーロラ撮影のためにデジタル一眼レフカメラで撮影した6〜7枚の画像を繋ぎ合わせていたが、THETAはワンショットで360度の撮影が可能。加えてポケットサイズのため、飛行機の持ち込み荷物に制限があるシーンでも、一眼レフカメラやドローンといった機材とともに運搬できるのがメリットだと語った。

車から腕を出して撮影した例。

特にTHETA Z1では高感度画質が向上し、RAW現像も可能なため、作品づくりに貢献するとのこと。三脚撮影が禁じられている場所では、THETAと反対の手に持ったスマートフォンからレリーズすることで1/15秒でもブレずに撮影できたという。

THETA Z1のISO 3200で撮影したウユニ塩湖の星空。中央が天の川。
ダイナミックレンジの改善により、明るい部分の白飛びが起きにくいという。

リコーとアマナは、共同で360度コンテンツを充実させる取り組みを実施。セミナーやイベントを定期的に共催することで、360度コンテンツマーケットの活性化を促進するという。

リコーとアマナの取り組み。
左から、株式会社アマナ 執行役員の新居祐介氏、写真家の谷角靖氏、株式会社リコー Smart Vision事業本部長の大谷渉氏、株式会社リコー 同THETA事業部長の藤木仁氏。

本誌:鈴木誠