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ライカ初の“フルサイズミラーレス”「ライカSL」

ドイツ・ウェッツラーの本社でお披露目

ライカカメラジャパンは、35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載するミラーレスカメラ「ライカSL」(Typ601)を11月末に発売する。現地時間の10月20日、ドイツ・ウェッツラーのライツパークにあるライカカメラ本社で発表とともに実機が展示された。

ライカカメラ本社(ドイツ・ウェッツラー)

防塵防滴シーリングを施したアルミ削り出しボディを採用するなど、プロユースに向けた耐久性や堅牢性を持たせたというミラーレスカメラ。撮像素子には超音波式のダストクリーニング機構も備わった。

外観デザインには中判デジタル一眼レフカメラ「ライカS」の面影もあるが、丸みのあるライカSに対し直線的なスタイリングとした点が、ミラーレスカメラならではのボディの薄さと相まって引き締まった印象を与える。

価格はボディが税別92万円前後、同時発売の標準ズームレンズが税別62万円前後の見込み。

「ライカLマウント」を採用

ライカSLは、同社初のいわゆる"フルサイズミラーレス"に分類できるデジタルカメラ。EVF内蔵式で、新しく「ライカLマウント」を採用する。ライカが「ミラーレス」という呼称を使うのは初めてのこと。

ライカLマウントはAPS-Cミラーレスカメラの「ライカT」とバヨネット形状が同じで互換性があり、ライカTのAPS-C用レンズ(今後、フルサイズのSLレンズに対しTLレンズと名称移行予定)はクロップ撮影を前提にライカSLでも利用できる。

ライカSL用レンズとしてボディと同時に発売されるのは、標準ズームレンズの「ライカ バリオ・エルマリートSL f2.8-4/24-90mm ASPH.」。

ライカ バリオ・エルマリートSL f2.8-4/24-90mm ASPH.

同レンズは非球面4面を含む15群18枚構成。シャッタースピード約3.5段分の手ブレ補正機構を持つ。最短撮影距離は広角端0.3m、望遠端0.45m。フィルター径は82mm。

最大径×長さは約88×138〜182mm(マウント面まで)。重量は約1,140g。

これに続けて、望遠ズームレンズの「ライカ アポ・バリオ・エルマリートSL f2.8-4/90-280mm」(2016年中頃)、標準大口径レンズの「ライカ ズミルックスSL f1.4/50mm ASPH.」(2016年後半)が予告されている。中でも新しいズミルックスSL 50mmは、同社CEOのオリバー・カルトナー氏が「50mmレンズの新たな基準になる」と製品発表の壇上で自信を見せた。

ライカカメラ社CEOオリバー・カルトナー氏が、自ら詳しい製品紹介を行なった
ライカ バリオ・エルマリートSL f2.8-4/24-90mm ASPH.
ライカ アポ・バリオ・エルマリートSL f2.8-4/90-280mm

また、新たに用意するマウントアダプターで、中判デジタル一眼レフのライカSレンズ、35mm一眼レフのライカRレンズ 、PLマウントのライカシネレンズも利用できるとしている。 製品発表イベントでは、「これまで登場したほとんど全てのライカレンズが使えるカメラ」とアピールしていた。

PLマウント用のアダプターも用意
既存ライカレンズとの互換性

ライカLマウントの名称について、いわゆるバルナックライカ(1920年代〜1960年頃まで製造。M型ライカに発展する)のスクリューマウントを連想する方もあるだろう。"L(Leica)マウント"の通称から派生してバルナックライカを"L型ライカ"と呼ぶ向きもあり、さらに転じて"ライカLマウント"などと表記されるケースもあるが、あくまで通称であり、ライカSLの「ライカLマウント」はそれとは別物。電子接点を持つAF対応のバヨネットマウントだ。

なお、ライカの35mmフルサイズデジタル機としてライカMシステムがあるが、一眼レフカメラのミラーボックスを取り除いて小型化したカメラをミラーレスと定義するなら、当初からミラーボックスを持たないレンジファインダー方式のライカMは"いわゆるミラーレスカメラ"に該当せず、ライカSLを同社初の“フルサイズミラーレス”に位置づけると思われる。

"SL"の由来は明言されていないが、ライカファンには1960年代後半に登場した一眼レフカメラ「ライカフレックスSL」を連想させる。レンジファインダーカメラでないため接写や望遠撮影にも長けている点や、EVFを用いて一眼レフ的に撮影できる点に、その面影は見られる。初代ライカフレックスに始まるライカ一眼レフは、2代目のSL、同SL2を経て、ライカR3〜R9と2000年代まで続く。

フルサイズ2,400万画素。4K動画、センサークリーニングも

撮像素子は、35mmフルサイズの2,400万画素CMOSセンサー。APS-Cクロップ時は1,000万画素記録となる。光学ローパスフィルターレス構造。感度設定範囲はISO50〜50000。超音波式のセンサークリーニング機構を搭載する。

画像処理エンジンはLEICA MAESTRO II。バッファメモリーは2GB。連続撮影枚数はDNGで33枚、DNG+JPEGで30枚。DNGは14bit記録。

動画は4K解像度に対応。4,096×2,160/24fps、3,840×2,160/25fps・30fpsに対応。1080pおよび720pでは24fps・25fps・30fps・50fps・60fps・100fps・120fpsで記録できる。記録形式はMP4とMOV。

440万ドットの電子ビューファインダー

EVFは0.66型440万ドットの「EyeResファインダー」を搭載。高解像度と表示タイムラグの短さを特徴とする。倍率は0.8倍。表示フレームレートは60fps。ライカSL専用に独自開発したという。

このファインダー倍率をカタログ値どうしで比較すると、オリンパスE-M1(0.74倍)、富士フイルムX-T1(0.77倍)、ソニーα7R II/α7S II(0.78倍)を上回り、これまでのミラーレスカメラで最大となる。

フォーカスピーキング、ヒストグラム、クリッピング警告/ゼブラ表示のほか、水準器やグリッドも表示できる。

UHS-IIのSDカードに対応。秒11コマ連写も

記録メディアはSDデュアルスロットとした。片方が最大書き込み速度100MB/秒のUHS-II対応、もうひとつがUHS-I対応となる。

AFはコントラスト検出方式。AF-S、AF-Cのほか、タッチAFを利用可能。動体追尾や顔認識もできる。

シャッタースピードは1/8,000秒〜60秒。連写は最高11コマ/秒。インターバル撮影や最大30分のバルブ撮影が可能。ストロボ同調は1/250秒。

タッチパネル液晶や内蔵GPSも

液晶モニターはタッチパネル式の2.95型104万ドット。カメラ上面に、情報表示用のモノクロ液晶ディスプレイも備える。

バッテリーによる撮影可能枚数は約400枚。

外形寸法は147×104×39mm。重量は約771g(本体のみ)、847g(バッテリー含む)。

Wi-Fi、GPS機能を搭載。リモート操作用のソフトとして、USB接続の「Leica Image Shuttle SL」、Wi-Fi接続でiOS/Androidに対応する「Leica SL App」を用意する。

ボディのシーリング
縦位置グリップとして使えるアクセサリーも登場予定(時期未定)

現地でタッチ&トライ

タッチ&トライの模様

ライカカメラ本社で製品発表イベントが行われたあと、短い時間ながら実機に触れる機会があったので、簡単な印象をお伝えする。

フルサイズミラーレスと聞くとソニーα7シリーズがまず思い浮かぶが、ボディ形状やUIなどにそれらとの共通性は感じられない。ライカSのような操作系に、ライカQのようなメニュー表示など、現行ライカの要素が集まっている印象を受けた。撮像素子は、記録画素数や設定可能なISO感度などから、ライカQに搭載されているCMOSセンサーに近いと推測できる。

シャッター音の静かさは特筆点で、ライカMより目立たない。ミラーレスカメラの中でも静かなほうと言えるだろう。ボディの作りは堅牢で、同時発売の標準ズームレンズが大柄なため多少重さを感じるが、ボディの薄さは際立つ。

ライブビュー表示は、明るさを露出設定に連動させるか、露出設定に関わらずファインダー像を明るく見られるモードを、本体前面のレンズ取り外しボタン上部のボタンで選べる。また、設定しているシャッター速度での撮影結果を見ながら撮れる露出シミュレーションモードも搭載している(レンズマウント近くの黒いボタンを2度押し)。

EVFは接眼部分のレンズ系がしっかり贅沢に設計されているようで、ファインダー像は周辺まで歪みなく、近視のためメガネを着用している筆者でも四隅がケラれず見渡せた。色割れはなく、遅延も気にならない。EVFのように撮像性能に直接影響するデバイス以外にもコストがかかっていると感じられる点は、使ううちに心地よさとして実感できるポイントとなるだろう。

操作ボタンの配置はライカSに似ていて、背面液晶モニターの周囲に4つのボタンが並ぶ。設定メニューや、ピント拡大表示、画像再生など、画面上の該当する機能が割り当てられる。背面ダイヤルは押し込みにも対応し、撮影時に1度押すとダイヤル回転で露出モードを変更できる。

本誌では追って製品担当者へのインタビューを実施し、お伝えする予定だ。