特別企画

40mm単焦点レンズの素晴らしさを伝えたい!【第1回】

ソニー「FE 40mm F2.5 G」編

FE 40mm F2.5 G(ボディはα7 IV)

明けましておめでとうございます。新年早々ではありますが、ちょっと変わった連載をお届けします。ここ数年で見かけるようになったミラーレスカメラ用の焦点距離40mm(もしくは35mm換算で40mm相当)の単焦点レンズを1製品ずつレビューしていきましょう。

40mm単焦点レンズの良さとは

焦点距離40mmの単焦点レンズ、皆さんは使われたことがあるでしょうか? スナップ撮影などで好まれる単焦点レンズの焦点距離と言えば35mm、または50mmに人気があると思います。その間に隠れていまひとつ存在感がないだけに、特に意識して40mmの単焦点レンズを意識していなかった読者も多いかもしれません。しかし、この40mmという焦点距離、使ってみると意外な使いやすさがあることに気づきます。

35mmフルサイズセンサーの対角線長は約43mmですが、この対角線長に焦点距離が近いと、広角レンズのようなパースや、望遠レンズのような圧縮効果が弱くなり、結果的にとても自然な写真が撮れるとされています。つまり43mmの画角に近い40mm単焦点レンズは、違和感のない自然な写真を撮るのに向いているというわけです。

自然な雰囲気の写真を撮るのが得意なのが焦点距離40mmです
α7 IV/FE 40mm F2.5 G/絞り優先AE(1/500秒、F2.5、−0.7EV)/ISO 100

裏を返せば、インパクトのない平凡な写真になりがちということになりますが、眼に止まったちょっと良いシーンを素直に切り撮りたいスナップ写真などでは、むしろその方が気軽にテンポよく写真を撮り歩けることが多い。記念写真や記録写真を撮るのにも向いた画角です。

もちろん、画角には撮影者それぞれの好みがありますので、誰にでも当てはまるというわけではありませんが、「35mmではちょっと画角が広い」「50mmではちょっと画角が狭い」と感じている人にとっては、意外に相性が良いのではないかと思います。

また、40mm単焦点レンズは一眼レフカメラの時代から比較的小型・軽量なタイプのものが多く、それでいて、比較的設計しやすいからどうかは分からないものの、画質が安定しており、手にしやすい価格帯に設定されていることが多いです。こうしたことも、気軽にスナップ撮影を楽しみたい人にとってオススメな理由のひとつとなっています。

40mm単焦点レンズは小型・軽量に設計されていることが多いです。今回紹介するソニー「FE 40mm F2.5 G」もそのひとつ(後述)

ここ数年で多くのメーカーから、ミラーレスカメラ用の40mm単焦点レンズが新しく相次いで発売されています。ということは、一眼レフカメラの時代から40mmの良さをすでに知っている人がいて、要望としての声がメーカーに届いているということでしょう。40mm大好きな筆者としては嬉しい限りですが、それでもまだまだ知らない人も多いはず。

そこで、各社から発売された40mm単焦点レンズを日替わりで紹介することで、その良さをもっと広く知ってもらいたい、というのが本連載の主旨になります。使いやすく、価格も優しい40mmレンズは、はじめての単焦点レンズとしても打って付けですよ。

というわけで第1回の今回は、ソニーの「FE 40mm F2.5 G」を取り上げます。

外観・仕様

「FE 40mm F2.5 G」は2021年4月に登場した35mフルサイズEマウント対応のレンズです。α用のEマウントレンズのうち、高性能レンズブランドであるGレンズに属しており、それに相応しい光学性能と高品位な操作性をあわせもちながら、小型・軽量な設計を達成しています。

FE 40mm F2.5 G

同時に発売された「FE 24mm F2.8 G」「FE 50mm F2.5」と鏡筒デザインを同じくする3兄弟レンズのうちのひとつで、3種類のレンズを交換してもジンバルのバランスが崩れにくい、クリックOFF可能な絞りリングを装備するなど、動画撮影にも配慮されています。

今回は筆者所有の「α7 IV」で撮影しましたが、軽く小さなレンズだけに、ボディも小型・軽量な「α7CR」「α7C II」「α7C」などと組み合わせても楽しいかもしれません。

操作系

最大径×長さは約68mm×45mm、質量は約173gとなっています。Gレンズだけあって、さまざまな機能を搭載しているにもかかわらず、かなりコンパクトなレンズです。開放絞り値を単焦点レンズとしては暗めのF2.5と、やや控えめに抑えたことも要因かも知れません。

このコンパクトなレンズボディに対して、フォーカスリング、絞りリング、フォーカスホールドボタン、フォーカスモードスイッチなどなど、操作系は大変豪華になっています。この連載で扱う40mm単焦点レンズのなかで、もっとも操作系が充実したレンズが第1回目から登場してしまいました。

このサイズながら絞りリングやフォーカスホールボタンなどを装備

鏡筒右側下には、絞りリングのクリックを切り換えるためのスイッチも。40mm単焦点レンズにここまでの装備が必要なのだろうかと疑問に思うかも知れませんが、これは「FE 24mm F2.8 G」や「FE 50mm F2.5」とデザインと操作性を統一するため。そして動画撮影への対応という面もあるかと思います。機能は割り当て変更できますので、フォーカスホールドボタンを真面目にフォーカスホールドのために使う必要もありません。

絞りリングのクリックON/OFFも設定可能

「ALC-SH166」というレンズフードが同梱しています。デザインは好みによりますが、いわゆるフジツボ型で角型の窓というのはなかなか粋を感じます。レンズのサイズ感をなるべく邪魔しない配慮が嬉しいですね。

レンズフード「ALC-SH166」が付属

作例

冬を迎えても蕾や花をつけて頑張っている花壇の花がいじらしくて撮ってみました。なるべく平面感を強調したかったのでいくらか絞って撮りましたが、このレンズ、少し絞り込むとGレンズとしての本領を発揮するようです。嫌味のない高い解像感にあいまって、具合の良いコントラストの高さとヌケの良さが本当に気持ちイイ。登場したころは40mm単焦点のような、ある意味平凡な焦点距離のレンズを、ソニーはなぜGレンズに設定したのか不思議に思いましたが、これで随分と納得できたものです。気軽に撮れて高画質というのはよいですね。

α7 IV/FE 40mm F2.5 G/絞り優先AE(1/40秒、F5.6、−0.7EV)/ISO 100

本レンズの最短撮影距離は0.28m(MF時は0.25m)で、最大撮影倍率0.20倍(MF時は0.23倍)と40mm単焦点レンズとしては寄れるほう。マクロレンズでなくても近接撮影性能を高く保つ仕様は、近年多くのレンズに見られる潮流だと思いますが、本レンズもご多分に漏れていません。40mmは見たままの雰囲気をそのまま切り撮るのが得意なレンズですが、撮影距離の制約が少なくなることで自由度はさらに広がります。

α7 IV/FE 40mm F2.5 G/絞り優先AE(1/160秒、F2.8、±0.0EV)/ISO 100

記念撮影も撮りやすい焦点距離40mmではありますが、人間の友達が少ない筆者ですので、代わりにウサギのご夫婦(?)を奥様主体で撮らせてもらいました。複数人をバランスよく撮りたいときには、やっぱりとても便利です。F2.5という、やや聞き慣れない開放絞り値ではありますが、焦点距離40mmだとほどよく印象的な被写界深度が得られるので積極的に使っていきたいと思いました。

α7 IV/FE 40mm F2.5 G/絞り優先AE(1/2,000秒、F2.5、−0.3EV)/ISO 100

石段でうとうとしていたネコを撮らせてもらいました。パッと見で木造の建物の雰囲気がよかったので、そちらを込みで写したいと思いフレーミング。ほとんど眼で見たイメージの通りの写真となりました。この見たままのイメージというのが、40mm単焦点レンズの醍醐味だと筆者は感じています。これ1本だけもって旅に出かけたくなるくらい好きな画角のレンズだと改めて思いました。

α7 IV/FE 40mm F2.5 G/絞り優先AE(1/400秒、F2.8、−0.3EV)/ISO 100

まとめ

正直、ソニーが40mm単焦点のような、地味なレンズを出してくれるとは思ってもいませんでした。ソニーが注力しているのは、数値的に派手な大口径レンズやズームレンズだと思っていたからです。でもちゃんと出してくれたことで、これまで以上に親近感を覚えるようになった筆者でした。

しかし、そこはさすが最先端を突き進むソニーです。40mm単焦点レンズであっても光学性能には妥協を見せず、動画撮影にも配慮して使いやすい最先端の機能を盛り込んでいます。これでしたら、これからの映像表現を担う若いユーザーも納得というものではないでしょうか。

高性能ラインのGレンズだけに、お値段はちょっと高くなってしまいますが、それでもGレンズのなかでは割と入手しやすい価格に抑えられています。広すぎず狭すぎず、普段使いにちょうど良い画角の40mm単焦点レンズ。αユーザーでしたら1本手に入れて損することは決してないと思います。

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。