特別企画

長根広和がセレクトする「鉄道写真に欠かせないRFレンズ」

役立つ5製品の購入優先度を紹介!

鉄道撮影は撮影地の制約が多いためズームレンズが必須だ。ここではRFレンズの豊富なラインアップの中から、私が必携と考える5本のレンズを紹介する。

一度にすべてをそろえるのは大変な面もあるので、購入優先度を参考に1本ずつレンズをそろえてほしい。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年5月号』より抜粋・再構成したものになります。

RF15-35mm F2.8 L IS USM

購入優先度: ★★★★

◆キヤノンオンラインショップ参考価格
34万6,500円(税込)

◆SPECIFICATION
レンズ構成:12群16枚
絞り羽根枚数:9枚
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.28m
最大撮影倍率:0.21倍(35mm時)
フィルター径:φ82mm
外形寸法(最大径×全長):約φ88.5×126.8mm
質量:約840g

風景を余すところなく写し撮る超広角15mm

超広角レンズは風景を肉眼よりもダイナミックに表現ができるため欠かせない。心に響いた雲や花、木々などを中心としたワイドな構図にすることで、見た目以上の感動を相手に伝えることができる。

画角だけでなく、自身の作品の幅を広げてくれる存在だ。広く写すだけでなく、被写体に近づくことで迫力を増す効果も得られる。

それぞれの効果を高めるためにはワイド端での撮影が多くなるのだが、鉄道撮影は列車を画面の隅の方に置くことが多く、画面周辺部の描写が重要となる。

本レンズはその要求をしっかりと受け止めてくれる。RFのラインアップには、「RF14-35mm F4 L IS USM」という小型な超広角ズームもあり悩ましいところではあるのだが、シャッター速度が重要となる鉄道撮影においては、開放F2.8の明るさに軍配が上がる。

15mm:広大な風景ののびやかさを超広角で高精細に描く

美しい日本海を背に単行の気動車がとことこ走る名スポット。超広角15mmで撮影することによって、空や海の雄大さを表現しつつ、列車を小さく添えることで対比が生まれ、そのスケール感をより強調できた。

EOS R5/RF15-35mm F2.8 L IS USM/15mm/マニュアル露出(F8、1/4,000秒)/ISO 1600/WB: 太陽光/山陰本線 折居~三保三隅

RF24-70mm F2.8 L IS USM

購入優先度: ★★★★★

◆キヤノンオンラインショップ参考価格
34万1,000円(税込)

◆SPECIFICATION
レンズ構成:15群21枚
絞り羽根枚数:9枚
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.21m(24mm時)
最大撮影倍率:0.30倍(32mm時)
フィルター径:φ82mm
外形寸法(最大径×全長):約φ88.5×125.7mm
質量:約900g

列車の細部まで精緻に描く 優れた描写力で標準域を担う

標準ズームで利便性を考えると「RF24-105mm F4 L IS USM」を思い浮かべる人が多いと思うが、じっくりと撮影するならば何よりも描写力が素晴らしい本レンズの出番となる。編成写真の基本は標準域での撮影なのだが、画面左右いっぱいに列車を入れるので、レンズ性能が先頭車両細部の描写に強く関わってくるからだ。

また、F2.8というアドバンテージは、暗いシーンでの撮影に助かるのはもちろん、前ボケ撮影で自分好みのボケ味の選択肢につながるメリットがある。F4ではなくF2.8レンズを選択する恩恵は想像以上に大きいのだ。

70mm:圧倒的な描写力で車両を精緻に表現する

Lレンズらしい見事な描写でSLを鮮明に捉えてくれた。煙の高さに合わせて柔軟に画角を変えながら写し取った。

EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM/70mm/マニュアル露出(F9、1/1,000秒)/ISO 800/WB: 太陽光/磐越西線 三川~五十島

50mm美しい前ボケを添えて、列車と駅に彩りを加える

駅前に広がる白い花を前ボケとして取り入れた。花の輪郭が残るように開放から1段絞っているが、柔らかいボケ味が駅前ののどかな風景を彩ってくれた。

EOS R5/RF24-70mm F2.8 L IS USM/50mm/マニュアル露出(F4、1/1,600秒)/ISO 200/WB: 太陽光/只見線 入広瀬駅

RF70-200mm F2.8 L IS USM

購入優先度: ★★★★★

■キヤノンオンラインショップ参考価格39万6,000円(税込)

■SPECIFICATION
レンズ構成:13群17枚
絞り羽根枚数:9枚
最小絞り:F32
最短撮影距離:0.7m
最大撮影倍率:0.23倍(200mm時)
フィルター径:φ77mm
外形寸法(最大径×全長):約φ89.9×146.0mm
質量:約1,070g(三脚座含まず)

多くの鉄道シーンにハマる憧れの望遠白レンズ

鉄道撮影において最も使用頻度が高く、鉄道ファンの誰しもが憧れるのが開放F2.8を誇る本レンズだ。編成写真から鉄道風景写真まで、70-200mmという焦点距離は多くのシーンをカバーしてくれるため、鉄道には必須と言っても過言ではない。

EFレンズでは、レンズの重さや大きさを考えてF4通しのいわゆる小三元レンズを選択することもあったが、F2.8ながらこのコンパクトさを実現した本レンズは絶対に持っておきたい1本と言える。

カメラの高感度性能と開放F2.8の明るさを合わせて、夜間の走行シーンでも撮影できる幅が広がるのもうれしいポイントだ。

163mm:桜や木々の密度を圧縮効果で高める

半逆光で浮かび上がる桜と列車を撮影した。ほれぼれしてしまう描写性能とハイレベルな逆光耐性。本レンズを使うメリットを大いに実感できる状況だ

EOS R5/RF70-200mm F2.8 L IS USM/163mm/マニュアル露出(F14、1/640秒)/ISO 1600/WB: 太陽光/土讃線 坪尻~箸蔵

200mm:背後の山々の迫力をグッと引き寄せる

鉄道撮影では、気付いたら200mmだったということがとても多い。迫力を出しつつ周りの状況も入れられる最高の焦点距離である。

EOS R5/RF70-200mm F2.8 L IS USM/200mm/マニュアル露出(F8、1/1.3秒)/ISO 400/WB: 太陽光/氷見線 雨晴駅

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM

購入優先度: ★★★ ☆☆

◆キヤノンオンラインショップ参考価格
41万5,800円(税込)

◆SPECIFICATION
レンズ構成:14群20枚
絞り羽根枚数:9枚
最小絞り:F32(100mm時)、F51(500mm時)
最短撮影距離:0.9m
最大撮影倍率:0.33倍(500mm時)
フィルター径:φ77mm
外形寸法(最大径×全長):約φ93.8×207.6mm
質量:約1,370g(三脚座含まず)

アップでの撮影や広大な風景をカバーする5倍ズーム

多くの鉄道撮影は70-200mmでほぼ対応できるが、車両をメインとした撮影や北海道のような広大な風景の前では超望遠域が必要になってくる。

本レンズは、風景よりも車両寄りの撮影がやや多い人におすすめの1本だ。F2.8シリーズに比べると開放F値が暗いが、カメラの高感度性能がかなり進化しているので、ISO感度を上げて対応すれば問題にならない。

1.4、2倍のエクステンダーも用意されており、最大1,000mmまでをカバーできる。ボディ内IS搭載のEOSで使用すれば1,000mmでも手持ち撮影が気軽にできるのが驚きであり喜びだ。

451mm:広大な北の大地の風景を400mm超の望遠で圧縮する

夜明け前の時間帯に開放F6.3で撮影しているが、高精細な描写に納得。条件はかなり厳しいが、カメラの性能との合わせ技で撮れた1枚である。

EOS R6 Mark II/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/451mm/マニュアル露出(F6.3、1/30秒)/ISO 3200/WB: 太陽光/釧網本線 塘路~細岡

EXTENDER RF2x

購入優先度: ★★★ ☆☆

◆キヤノンオンラインショップ参考価格
8万5,800円(税込)

エクステンダー装着で1,000mmまでカバー

RF100-500mmとの組み合わせでは、1,000mm使用だと開放F14となるが、とても満足のいく描写力でAFも快適だ。EXTENDER RF1.4xと共に常にバッグに入れておきたい。

1,000mm:超望遠の領域が描き出すド迫力

RF100-500mmに2倍のエクステンダーを付けて1,000mmで撮影。この描写力、カメラの完璧なサーボAFに、ただただ感動だ。

EOS R6 Mark II/RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM/EXTENDER RF2x使用/1,000mm/マニュアル露出(F16、1/1,000秒)/ISO 400/ WB: 太陽光/西九州新幹線 諫早~長崎

制作協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

長根広和

1974年横浜生まれ。武蔵工業大学(現 東京都市大学)工学部機械科卒業後、鉄道写真家・真島満秀氏に師事。2009年真島満秀写真事務所を継承し、現在(有)マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ代表取締役。青春18きっぷなどのJRポスターや、鉄道雑誌、写真専門誌、旅行雑誌などで活躍。「列車の音が聞こえてくるような作品」をモットーに日本全国の鉄道を追いかけている。