特別企画

いよいよ大型連休!家族の思い出を動画に残そう

ミラーレス & Osmo Pocketでお出かけを記録 アプリで編集もラクラク

アウトドアでの遊びが楽しくなる季節がやってくる。一足早く、友人一家とツインリンクもてぎ「Hellow Woods’の森」に行ってきた。のんびりと過ごしながら、子供の笑顔や移り行く自然の姿を写真に収めるにも、ぴったりの場所だ。

今回は「写真」ではなく「動画」を楽しんでみた。

動画撮影とした理由は、子ども達と遊ぶことをメインに考えたからだ。写真を撮って目線をもらうと、どうしてもピースサインばかりになりがちだ。それが動画になると、自然な表情が撮れる。シャッターを押すタイミングに同調しなくなるからだ。また、写真好きであればこそ、良い風景にであうとこだわって時間が長くなりがち。ファミリーで行くからこそ、家族で一緒に過ごす時間を大切にしようというわけだ。

使用した機材

動画というとハードルが高い! と感じるかも知れないが、手ぶれ補正の効く現在のデジタルカメラなら、とても簡単だ。必要な機材も、写真好きなら、既に持っているものだけで事足りるだろう。

今回持っていった機材を紹介しよう。

(1)カメラ:ニコン Z 7+NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
 ボディ内手ぶれ補正、ピントを動かしても焦点距離が変化しないレンズ特性など動画性能が良好。L字プレートで一脚に取り付ける。

(2)一脚:Leofoto MP-326C
 カーボン製で手頃な大きさでありながら軽量。

(3)2WAY雲台:Leofoto VH-10
 2wayとなっているが、1つはアルカスイスプレート取り付け部の回転なので、雲台としての動きはティルト(上下)の動きのみのワンウェイ。

(4)スライドプレート:Leofoto NR-140
 スライドさせてカメラの重心を一脚の中心に合わせると滑らかな動きにしやすい。

(5)DJI Osmo Pocket
 誰でも簡単に手ブレのない動画が撮れる。子供に持たせても楽しいのだ。

以上が今回使った機材だが、よりシンプルにするならカメラだけで十分だ。

動画撮影に向いたカメラの構え方は?

まずは動画むきカメラの構え方を見てみよう。

DJI Osmo Pocketでは、何も考える必要はない。ただ、手で持てば良い。子どもでも簡単に扱えるので、子ども目線の動画を撮ってもらう。

次にZ 7だが、肘をぐっと伸びして、ネックストラップを張るように構えるといい。Z 7を始め、アイレベルのビューファインダーを備えている機種では、写真を撮るように構えても良いが、腕を伸ばして構える方が写野外の被写体の動きも見えるので、動画むきだ。

次は一脚を使った場合。落ち着いた絵を撮りたい場合や、標準以上の焦点距離の場合に一脚を使おう。

(1)基本の姿勢。スライドプレートでカメラの重心を一脚に合わせるとスムーズに動ける。ネックストラップも首にかけて引っ張った状態にする。上下の動きは2ウェイ雲台のティルトノブを緩めてカメラを動かす。左右の動きは一脚ごとカメラを動かす。

(2)カメラの動きを よりダイナミックにしたい場合は、(3)一脚石突を足元で抑え、カメラと一脚を持って上下、あるいは左右に動かす。

“うまく撮ろう”というこだわりは捨てよう

カメラの設定であるが、露出に関してはどんなモードでも構わない。むしろ、高画質に撮ろう、うまく撮ろうというこだわりは捨ててしまおう。ライブビューの設定を静止画モードから動画モードに切り替えておくだけで良い。

ただし、屋内での撮影の場合、画面にチラツキが出る場合がある(フリッカー現象)。関東では1/25秒または1/50秒、1/100秒、関西では1/30秒または1/60秒、1/125秒にシャッター速度を変更するとチラツキが収まるので、この場合は、撮影モードをM(マニュアル)またはS(シャッター速度優先)に切り替えるといい。

さて、ここで動画撮影のコツを覚えて欲しい。コツはたった1つ。「長回し(長時間の録画)をしない」だ。

動画を編集する際、撮影したそのままの画像をフッテージ、編集した動画構成する動画のうちの1つをクリップと呼ぶが、見飽きないクリップは10秒以下なのだ。

そこで、フッテージ、つまり撮影時に記録する時間も10秒以下、長くても15秒とするのだ。被写体の行動の最初から最後までを記録しようとして何分も続いてしまう動画は退屈であるし、編集時に確認する作業も大変になってしまうからだ。

また、ピントやブレにもそれほどこだわらない方がいい。動画は流れで見るものでなので、少しぐらいピントを外したり、ブレていても気にならないものだ。

Z 7の動画設定は?

次は動画撮影メニューを確認する。確認すべき設定カ所は7カ所であるが、ほとんどは初期設定で良い。順番に見ていこう。

(1)フォーカスモードはAF-Fを選ぶ。すると、被写体の動きを判断して適切なフォーカスをしてくれる。

(2)フォーカスエリアはオートエリアAF。
(3)手ぶれ補正はON。電子手ぶれ補正はOFF。「手ぶれ補正」はセンサーを動かしてブレを補正するのに対して、「電子手ぶれ補正」は画像を電子的に動かして補正する。広角主体の撮影では、歪みが気になることがあるので、基本はOFF。望遠主体の時はONにしても良い。
(4)マイク感度はOFFにして、音声を録音しないでおこう。他人に見せる作品を作るときには不要だからだ。

(5)大事な設定はここ。画像サイズとフレームレートの組み合わせを選ぶ。Z 7では4KサイズとフルHDの2種類のサイズを選ぶことができる。のちの編集を考えるとフルHD(1,920×1,080)が適切だ。

次にフレームレートであるが、24Pもしくは25Pを選ぶ。フレームレートは1秒間を構成するフレーム数であるが、撮影時で考えると1秒間にシャッターを切る回数となる。それゆえ、この設定で、シャッター速度下限が決まる。暗所で適正露出にする際に、なるべく感度を抑えるにはフレーム数を少なくしておくのだ。24Pもしくは25Pではシャッター速度下限は1/25秒となる。

フレーム数が多い方が動画の動きは滑らかになるが、スポーツや運動会など早い動きの被写体でなければ、24Pや25Pでも動きがぎくしゃくすると感じることはないだろう。今回の撮影では全てを1,920×1,080 24Pとした。

(6)動画の画質はHIGH、動画ファイル形式はMOVとしておく。MP4も選択できるが、MOVの方が圧縮比が低く、編集の際に有利だからだ。

※撮影は全て、1,920×1,080 24P MOV形式で行ったが、データ通信量に配慮し本稿に掲載した動画データは1,280×720 24P MP4形式に変換している。

(7)ISO感度オートの上限を決める。Z 7は高感度性能が良いので、ISO 25600で十分だ。高感度ノイズが発生していても動画では平均化されてしまうので、静止画ほど気にならないのだ。もう1点、Mモード時の感度自動制御もONにし、感度をISO 25600にしておく。すると、撮影をMモードで行い、シャッターと絞りを自分で決めても、自動露出となるのだ。先に述べたように、フリッカーが気になるときは、撮影モードをMにして、シャッターを1/25秒、もしくは1/50秒、1/100秒に設定し、絞りは好みの絞り値にすれば良い。しかし、今回の撮影では特にフリッカーが気になるシーンはなかった。

手のひらに収まる動画用カメラ

さてもう1つ、ミラーレスカメラに加えて用意したのがDJI Osmo Pocketだ。写真のように、スマートフォンに接続して撮影できるほか、単体でも撮影ができる。

本体右側の黒いボタンが電源、左の赤丸が表示されているのが、録画ボタンだ。今回は全て単体で撮影した。小さく取り扱いが簡単なので、家族の時間を最大限優先できるからだ。また、Osmo Pocketのアプリ、DJI Mimoでは撮影だけではなく、編集まで行うことができるので、今回の動画編集には、DJI Mimoを使う。

DJI Pocketは電源を入れるとモニターに画像が表示される。

本体自体が小さいため、モニターも小さいが操作はシンプルだ。モニター画面を下にフリックすると、ジンバル設定画面になるので、まずここを設定する。ジンバルとは、カメラの雲台に相当するが、電動で動きブレを軽減したり、被写体を追いかけることができるものだ。ジンバルモードは、今回全てFPVモードで撮影した。

(1)リセンター
 カメラが正面以外を向いて停止しているときに、タップするとカメラが正面を向く。

(2)セルフィーモード
 カメラが自分の方向を向く。

(3)ジンバル速度
 被写体やカメラのブレの大きさに合わせて設定するが、通常は低速(表示の状態)で十分だ。

(4)ジンバルモード(3種類)
 FPV:本体を向けた方向にカメラも向く。
 Tilt Locked:カメラは本体を傾けても常に水平を向く。モニター画面から角度を変更することも可能。
 Follow:モニター画面で指定した被写体を追いかける。

モニター画面を右にフリックすると、撮影関連のメニューだ。

まず撮影モードメニューが表示されるので、さらに右にフリックすると、画像サイズとフレームレートの設定になる。Osmo Pocketでも4K撮影が可能だが、Z 7同様、1,080P(フルHDD 1,920×1,080)フレームレートを25と設定する。また、動画形式も、MP4もしくはMOVを選択できるので、MOVとしておこう。

さあ、それでは撮影だ。いや、森に遊びに行こう。

*撮影は全て、1,920×1,080 25P MOV形式で行ったが、データ通信量に配慮し本稿に掲載した動画データは1,280×720 24P MP4形式に変換している。

森の中で撮影:ボケをいかして撮ってみよう

ツインリンク、Hello Woodsの森は小山の上にある。正面の木の塔を登って森に入って行く。

森の中の散策路に沿って遊具があるほか、動物の研究室、森のふしぎ(森の生き物や植物の痕跡)ポイントがある。森のふしぎポイントを巡って行く「森のふしぎみっけ!」で、子ども達は遊びながら森の生き物や植物の生態を学んでゆく。

ニコンZ 7での撮影は全て手持ち。絞り優先オートで全てF2.8としたので、フルサイズらしく、ボケが活きた映像となった。

まずは小さな崖登りがある。子ども達が夢中になるポイントだ。

水生生物研究室で、子ども達はタガメに大喜び。

サーキットもあるツインリンクもてぎには、森からサーキットを見下ろす展望台もあり、表彰台がある。子ども達もレーサー気分だ。

森のふしぎポイント。動物の糞があったり、植生の解説があったり、森の動植物の生態を学ぶ場になっている。

森の中で撮影:小型のOsmo Pocketが活躍

DJI Osmo Pocketで撮影。センサーが小さいため、パンフォーカスの映像だ。ジンバルでブレが軽減されるので、滑らかな映像になる。

Hello Woodsビジターセンターへの入り口。ここから森遊びの気分が始まっている。

小さな崖登り、子ども達を追って走りながら撮影。

みどりのぐるぐる広場。イベントの時にはここでキャンプファイヤーを行うことがあるそうだ。

森の中には沢山の巣箱が設置されている。肩車で巣箱の中を覗こうとするが……?

屋内撮影では高めのISO感度でブレを防止

次は人工の森「SUMIKA」に行ってみよう。「SUMIKA」は屋内施設であるので、天気に関係なく遊ぶことができる。

丈夫なネットで大きな木を模した遊具があり、本当の森で木登りをしたり、太い枝を渡りあるくような遊びを安全に体験できるのだ。

また館内は季節を表す照明が時間を追って変化する。また照明を生かすため、薄暗い空間になっているが、照明の変化とともに、落ち着きつつも心を揺さぶられる美しい空間になっている。

ニコン Z 7で撮影。感度は自動設定なので、およそISO 6400〜12800ほどになっているがノイズを感じさせない美しい映像となった。ネットの木のみ一脚を使ったが、そのほかは手持ちで撮影した。

正面のスクリーンの蛇に気づかれないように迷路を進むアトラクション。

ネットの木の内部。迷路になった狭い空間を登ってゆくので、大人は大変。

このカットのみ一脚使用。正面がネットの木だ。ネットの内部に入って行ける。

ネットの木から釣り下げられたロープで遊ぶ。ターザン気分で盛り上がる。

ノイズはあまり気にしなくて良い

DJI Osmo Pocketで撮影。ノイズは出ているが、映像が動き出すと気にならなくなる。暗い場所でも手ブレのない映像を手軽に撮れるのがいい。

上の階から続くスライダー。子ども達はなんども登り直して滑り降りた。

ボールのプール。ボールを投げたり、ボールに潜ったり、一番子ども達が気に入ったようだ。

狭いネットのトンネルを行く子ども達を追いかける。小さいカメラならでは映像だ。

ちょっと疲れたら、揺れるチェアーで一休み。落ち着く空間で、時間を忘れてしまう。

撮影したら編集してみよう:動画の取り込み

以上、ツインリンクもてぎで撮影した動画フッテージを見てもらったが、次はこれを編集してみよう。

編集に使うのは、スマートフォンかタブレット。iOSでもAndroidでもオーケーだ。まずはDJI Mimoをダウンロードしよう。本稿ではiOSで説明を行うが、Androidでもほぼ同じ操作だ。

DJI Mimoのアイコン。このアプリをスマホ、タブレットにダウンロードする。

Osmo Pocketの電源を入れて、スマホにさすとDJI Mimoが立ち上がる。編集は大きい画面の方がやりやすいので、タブレットがオススメだ。しかし、撮影にはスマホを使う。タブレットでは、ジンバルが引っかかってしまうのだ。

DJI Mimoの初期画面。本稿ではiPadで編集をしたので、iPad画面での解説である。

(1)カメラボタン
 撮影画面への切り替え。

(2)アカウント情報
 初めてタップすると新規アカウントの作成を求められる。アカウント作成は無料。アカウントを作成するとDJIのサーバーに動画をアップロードして公開できるようになるが、アカウントを作成しなくても、動画編集は可能。

(3)動画取り込み、編集ボタン
 ここをタップして編集を始める。

Osmo Pocketでは、ファイルは本体のmicroSDに保存されるので、タブレットにデータをコピーする。初期画面[3]の動画取り込みボタンをタップするとmicroSDに保存された動画のアイコンが表示される。表示されない場合は「+SD」と書かれたアイコンが表示されるので、そこをタップすれば良い。表示された動画アイコンをタップするか、すべて選択して取り込みをタップするとタブレットのメモリに保存される。iOSの場合、「写真」のカメラロールに保存されている。

撮影したら編集してみよう:編集の流れ

保存が終了するとカメラロールが表示される。ここで、サムネールを選ぶと手動での編集が可能だ。ここでは自動編集を行うので、選択しない。上部にある「MY STORY」をタップ。

すると下部に編集テンプレートが表示されるので、適宜選んで適用をタップ。この時点でのプレビュー画面はサンプル表示だ。

今度は自分で撮影した動画のサムネールが表示されるので、使いたいものをタップする。これはフッテージである。すると、下部に小さなサムネールが追加される。間違えて選択した場合は、下部のサムネールを長押しして上にスライドすると解除される。下部のサムネールはクリップを示している。テンプレートによってクリップの数は違っているが、すべてのクリップを選んで、次へをタップ。

するとプレビューが表示されるので、よければ右上のチェックアイコンをタップする。再度編集し直す場合は、左上の<をタップすると編集画面に戻る。

チェックすると動画の生成が始まる。「公開」の項目があるが、必ずデフォルトで公開が選ばれるので注意。

動画の生成が終了すると、保存画面になる。「保存のみ」をタップすると「写真」のカメラロールに保存され、「写真」から視聴できたり、パソコンに保存できる。

まずはOsmo Pocketで撮影したフッテージだけで編集したものがこれだ。テンプレートの数はさほど多くはないが、自動編集自体は大変優秀で、とても楽しげな動画作品に仕上がった。

Z 7の動画をDJI Mimoで編集してみよう

ここで使ったDJI Mimoは、実はOsmo Pocket以外で撮影した動画も編集できる。そこでニコン Z 7で撮影した動画もDJI Mimoで自動編集してみよう。

DJI MimoでZ 7の動画を編集するには、まずはスマホ、タブレットのカメラロールに動画を取り込まなければならない。パソコンとスマホ、タブレットを接続して、アプリ「写真」を使って同期する方法もあるが、ここではWi-Fi機能を使ってZ7から直接タブレットに動画を取り込んでみよう。

Z 7に限らず、現在のデジタルカメラではほとんどの機種にwi-fi機能がある。ニコン製のカメラの場合はスマホアプリ「SnapBridge」を使って、画像の取り込みや、リモートコントロールが行える。

アプリ「SnapBridge」を立ち上げると同時に、カメラのメニュー、セットアップメニューから「スマーフォントの接続」開始してカメラのモニターの指示に従う。

(1)SnapBridgeの画面で接続するカメラの機種を選ぶ。

(2)カメラの通信機能がオンになれば、SnapBridgeからも接続が始まり、カメラとのペアリングを開始する。

(3)しばらく待つとペアリングが完了するので、画面指示に従ってOKをタップして完了だ。

すると初期画面に戻るので、「画像取り込み」をタップする。

(4)サムネールが表示される。すべてを選択してしまうと、Wi-Fiでは時間がかかりすぎるので、数個ずつ取り込みを行うか、使いそうなものだけを取り込むと良い。

次にDJI Mimoを立ち上げ、+ボタンをタップすると、カメラロールにZ 7で撮影された動画が表示される。またここで、「MY STORY」をタップして、テンプレート選択、クリップを選択して保存すれば完成だ。

Z 7で撮影したフッテージをDJI Mimoで自動編集。楽しい思い出の詰まった動画を高画質で残すことができた。

まとめ

DJI Mimoを使えば、面倒な動画編集が簡単に行える。繰り返すが、DJI Osmo Pocket以外で撮影された動画も扱えるので、今持っているデジタルカメラを使って撮影した動画の編集も可能だ。

先にも書いたように、動画撮影は気軽に撮影してこだわりを持たない方がいい。編集がしっかりしてあれば、それなりに作品として見えてしまうものなのだ。また、他人に見せる場合も、短めでしっかり編集された動画の方が喜んで見てもらえるのだ。

そして何より、楽しい時間を過ごすことを優先するべきだ。そのためにも、出かける場所が最も大事だ。安心して楽しく過ごせる場所で、たくさんの思い出動画を残し欲しい。

制作協力:株式会社モビリティランド

茂手木秀行

茂手木秀行(もてぎひでゆき):1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、マガジンハウス入社。24年間フォトグラファーとして雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」を経て2010年フリーランス。