写真展レポート

「フィルムスワップ」って何?ロモグラフィー主催のクレイジーな(でも素敵な)写真展が開催中

他人のフィルムに重ね撮りしちゃおう!

ロモグラフィーといえば「アナログ」、そして「ロモグラフィーにしかできないこと」をテーマに、フィルムカメラや撮影用フィルムを世界で展開しているブランドです。他のカメラブランドにない真面目な遊び心がぎっしりなため、「ロモらしさ」をしっかりと確立。ファッション業界などに熱心なファンがいることでも知られます。

昨年12月22日より、東京都千代田区の3331 Arts Chiyoda内ロモグラフィー直営店Lomography+にて、写真展「トウキョー・ウィーン・ダブルエクスポージャー」が開催されています。

2017年12月21日に行われたオープニングパーティーの模様。この日のみ、3331 Arts Chiyodaのラウンジで作品が展示されました。現在は直営店Lomography+で展示されています。

メインの展示は、ロモグラフィーのカメラを使ったフィルムスワップによる作品です。

フィルムスワップとは何でしょうか。

一度撮影したフィルムを物理的に友人や知らない人と交換して、その上からまた撮影することで出来上がる多重露光写真。もちろん仕上がりは現像するまでわかりません!

《Lomography 25周年》「トウキョー・ウィーン・ダブルエクスポージャー」写真展 · Lomography

つまり、多重露光を使った他人との共同作品。デジタルカメラでも多重露光は可能ですが、フィルムスワップは物理的な受け渡しを伴う、フィルムならでは楽しみ方といえます。他人のフィルムに多重露光するので、撮る時どんな画像にどうやって重なるかがまったくわかりません。結果は蓋をあけてのお楽しみ! このドキドキさはデジタルではなかなか味わえないのではないでしょうか。

会場に展示されているのは、ロモグラフィーで行われたフィルムスワップをテーマにしたワークショップでの作品です。ワークショップは、ウィーンと東京のそれぞれで行われました。ウィーンで撮影されたフィルムを東京に送り、それを東京で多重露光で撮影。逆に、東京で撮影されたフィルムをウィーンに送り、それをウィーンで多重露光で撮影。ワークショップはウィーンおよび東京で同時開催され、展示作品はそうして得られた21本のフィルムから選ばれています。

そもそもなぜウィーンと東京なのでしょう。ロモグラフィーの本社はオーストリアのウィーンにあります。日本の直営店は東京・秋葉原。その関係からフィルムスワップが企画されました。

フィルムスワップで作られた展示作品は本当に不思議です。場所も違う、撮る人も違う2回の露光の結果なのですが、人の顔に重ならない位置に別の像がうまいぐあいに配置されていたり、2回の露光それぞれが絶妙な構図を作り出していたり……まさにミラクル。偶然が手を貸してできた作品の数々は、実際に見てのお楽しみです。

東京で展示されている作品は、ウィーン→東京の順番でフィルムスワップしたもの。1枚として同じ写真がないので、ウィーンで現在飾られている展示(東京→ウィーン)もぜひ観たいです。

このフィルムスワップ、フィルムが再ブームになっているいま、ぜひ日本でも浸透してほしいところ。失敗するかもしれない、でもその失敗ですら愛おしく感じてくるかもしれない……自分だけのものでない作品、表現を共有するアナログ感は、ドキドキにあふれています。他の人と作品をスワップするのはまだちょっと敷居が……という人は、何を撮ったか覚えていない撮影済みフィルムに多重露光することで、ひとりフィルムスワップができます。

ちなみにロモジャパン社長の星希依子さんによると、海外のロモグラフィーの店舗には、フィルムスワップ用のジャーが置いてあるとのこと。自分の撮影したフィルムをそこ入れて、そして誰かの撮影したフィルムをそこから持っていくんだそうです。見知らぬ誰かとフィルムスワップを気軽に楽しんでいるんですね。日本でもそういう文化が定着したらもっと楽しいのに! ちなみにロモグラフィーのカメラは、ほぼすべてが多重露光に対応しています。

2018年のロモからのメッセージは“Don't Think, Just Shoot !” (考えるな、とにかく撮れ)だそう。写真で日常を刻むのか、はたまた作品をつくるのか。ロモは様々な角度から味方になってくれるでしょう。

実際にロモのカメラ、フィルムで撮影された本展示をぜひ実際に見てくださいね!

「トウキョー・ウィーン・ダブルエクスポージャー」写真展

会場

直営店Lomography+
東京都千代田区外神田6-11-14 Arts Chiyoda 3331 #102

開催期間

2017年12月22日(金)〜 2018年2月12日(月)
年明けは5日(金)16時より

開催時間

12時00分〜19時00分

定休日

月、火(および施設休館日)

片岡三果

北海道出身。モデル活動を経て写真家へ。漫画家の両親、大叔父が油絵画家という家庭環境に育ち、幼い頃から美術、デザインを学ぶ。専門学校東京デザイナー学院にて写真実習の講師をつとめる。アルバム大使。モデル目線のポートレート講評会やカメライベント「Petit Trianon」を主催。絵を描く気持ちで「想い色」写真をテーマに街あるき写真やポートレートを撮影。撮った写真をプリントして楽しむことを大切にしている。