イベントレポート

モデル目線のポートレート作品講評会「Petit Trianon」レポート

モデル自身が“どう撮られたいか”をアドバイス 作品のレベルアップに

左からArlyさん、片岡三果さん、いのうえのぞみさん

モデルの目線でポートレート作品の講評を行うという珍しいイベント「Petit Trianon-プチ・トリアノン-」が3月26日に都内で行われた。主催はモデル出身のフォトグラファーである片岡三果さん。

一般的に講評会は撮影会などとセットになっていることが多いが、このイベントは講評のみで当日の撮影は無いのが特徴。参加費は1枠(1時間30分)7,000円と撮影会並みだが、定員(8名)に近い参加者が集まった。

講評を行うゲストのモデルは、Arlyさんといのうえのぞみさん。Arlyさんは主に撮影会などで、いのうえのぞみさんはカメラ誌などでそれぞれ活躍している。2人のゲストが単なるモデルと異なるのは、両人とも写真撮影も行っているということ。そのため撮影する側の事情にも明るい。

参加者は1人4枚のプリントを持参。1人10分程度の割り当てて3人から講評を受けた。また他の参加者からの意見や質問などもあり、和やかな雰囲気で進んでいった。

作品をモデル本人に差し上げるという方も少なくないが、モデルとしてどのように撮ってほしいか、という事まで詳しく聞くことは時間的にも難しいのでは無いだろうか。

その点、このイベントでは主催の片岡さんを含めた3人から忌憚の無い意見が発せられ、撮影する側からはなかなか気づかないような部分に対するアドバイスがあった。

「撮られたい写真」には王道がある

まず、3人に共通した「撮られたい写真」とは、明るく健康的なイメージで、女性らしい綺麗なボディラインが表現されているものとのことだった。モデルが最初に着目するのは肌の色だそうで、黄みがかっていない白い肌が理想という。柔らかい雰囲気の写真も人気で、ガラス越しに写した作品の人気も高かった。

また撮影の際に気をつけたいこととしては、モデルといえどもコンプレックスとなる部分があるので、それをカバーするように撮って欲しいということだった。しかし、そうした点をいきなり聞くことは難しい。そこで、何枚か撮影したものをモデルに見せて、「気になるところはある?」と問いかけることをアドバイスした。

参加者からは、モデルとのコミュニケーションについての質問もあった。撮影中にあまり声をかけなかったり、ポーズをモデルまかせにしているという場合は、好みの表情などのリクエストだけでもするとポーズを作りやすいとのこと。声をかけるのが得意であれば「撮りたいイメージをどんどん伝えて欲しい」と話した。また、「目線を外して」といった指定をした場合はそれを解除するタイミングも教えて欲しいそうだ。

なお、撮影中ずっと無言なのは歓迎されないとのことで、どんな写真が撮れているのかモデルに見せながら進めると良いそうだ。さらにこまめな休憩をとったり、例えば小さな鏡を持って行き撮影中にモデルに髪などを直すのに使ってもらうといった気遣いがあると、モデルとしても全力で協力したくなるとのこと。

モデルからの要望としては、前髪や後れ毛の位置、服のしわやめくれ、お腹の膨らみなども良くチェックして欲しいとのこと。特に髪に関しては、表情が良くても髪の毛が1本だけ顔にかかっていたためにNGになってしまう場合もあり、良くチェックした方が良いそうだ。

モデルの意見を取り入れてレベルアップ

以上はこのイベントのほんの一部だが、気になっていても普段はなかなかモデルに対して聞きづらいようなことなど、多くの興味深い話が聞けた。

一見、ポートレート写真は撮影者が好きなように撮ればそれでいいように思うが、モデルは自分がどう撮られたら一番よいか研究しており、そのアドバイスを取り入れれば作品のレベルアップに大きく寄与するのではないかと感じた。終了後の参加者からもポジティブな感想が聞かれ、今後の展開が楽しみなイベントとなった。

4月30日(日)には第2回目を開催することが決定しており、ゲストの1人は清水麻里さんとなっている。後日受付が開始されるので、興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。

【2017年4月25日追記】Petit Trianon-プチ・トリアノン-の第2回が4月30日(日)に開催される。参加するモデルは清水麻里さんと竹下明希さん。申込みなど詳細はこちら

本誌:武石修