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写真編集用コントローラー「Loupedeck+」日本上陸

Lightroom Classic CC/Capture Oneなどのプリセットを収録

Loupedeck+の使用イメージ。

Loupedeckは10月31日、パソコンにUSB接続する編集作業用コントローラー「Loupedeck+」の製品発表会を開催した。Amazon.co.jpにて税込3万4,000円で販売されている。

PC/Macに対応するUSB接続のコントローラー。Lightroom Classic CCなどの写真編集ソフトに対応し、露出や明瞭度の変更、各カラーチャンネルの調整を専用のツマミとダイヤルで直接操作し、一般的なマウス+キーボードに比べて作業の効率を高めることを目的としている。

Loupedeck+

Loupedeckの設立は2016年6月。工業デザインを専攻し、写真を趣味としていたMikko Kesti氏(設立者/CEO)が、撮影後のレタッチにかかる時間を減らして作品にフォーカスしたいと考えて企画した。その後、ノキア出身の開発者とプロトタイプを造り、初代「Loupedeck」のクラウドファンディングを開始。4週間で36万6,000ユーロと1,500人のユーザーを集めた。なお、今回の日本導入までにLoupedeckシリーズは世界で3万台を販売したという。

発表会にはLoupedeck共同設立者/マーケティング責任者のFelix Hartwigsen氏が登壇し、自社および製品について紹介した。
Loupedeckの開発部隊にはノキアとファーウェイの出身者が多いという。

このほど日本でも発売された新モデル「Loupedeck+」は、Lightroomだけにフォーカスしていた従来モデルから幅を広げ、他の写真編集ソフトや動画編集ソフトでも使われることを想定。写真編集ソフトのAdobe Lightroom Classic CC、Aurora HDR、Capture One(ベータ対応)に加え、動画編集ソフトのPremiere Pro用にも操作割り当てのプリセットが用意されている。

以前から音楽制作用のMIDIコントローラーにLightroom用のマッピングを施してツマミやスライダーを使う方法もあったが、Loupedeck+は当初からLightroomなどでの使用を想定したボタン/ダイヤルの配置になっており、プリセットが用意されているため自らマッピングを作る必要もない。「買ってすぐ使える」というトータルのパッケージングで訴求する。

今後は写真編集ソフトのSkylum Luminarなどにも対応を拡大する予定で、詳細は今年中に発表するという。また、2019年夏に写真/ビデオ用の追加モデルが登場するとのアナウンスもあった。Loupedeck製品はフィンランドで開発し、アジアで製造される。

出荷時にプリセットが用意されているソフト。

従来のLoupedeckと比べた際の特徴は、メカニカルキーの精度と耐久性の向上、製造品質の改善、カスタマイズ性の向上など。

外形寸法は39.5×15×4cm、重量は670g。
紫で囲まれている操作子がカスタマイズ可能。それぞれを選んで割り当て機能を変えられる。
左上のボタンからカスタムモードに切り換えた状態。オレンジの枠で示されているのがカスタマイズ可能な操作子。

以下、Lightroom Classic CCを例に、デフォルトの機能割り当てを紹介する。

左側。

左上に、取り消し/やり直し(Undo/Redo)ボタンを配置。L1〜3はカスタマイズボタン。「Clr/BW」は現像タブにおけるカラーと白黒の切り換え。

左下はレーティングに関係する。Shiftは星1つ/赤ラベル、Ctrlは星2つ/黄ラベル……という具合に対応。Shiftの上にあるキーで、星のレーティングか色のラベリングかを切り換える。また、Fnを押しながら各レーティングボタンを押すと、ライブラリ画面で「星2つ以上を表示」のようなショートカットになる。

中央左上部のHue/Sat/Lumは、HSL/カラーの色相/彩度/輝度を切り換える操作に対応。その右に並ぶホイールが各カラーチャンネルに対応する。このホイールも押し込むとスライダーが中央にリセットされる。

中央部。

手前はContrast(コントラスト)、Clarity(明瞭度)、Exposure(露出)、シャドー、ハイライト(Shadows/Highlights)、黒レベル、白レベル(Blacks/Whites)を独立で調節できる。D1(Lumの下)とD2(Whitesの右)はシャープネスやノイズリダクションなどにカスタマイズ可能。

右側。

右上の4つのツマミは、Tenperature(色温度)、Tint(色かぶり)、Vibrance(自然な彩度)、Saturation(彩度)に対応。それぞれ押し込むとデフォルト値にリセット。

右下にカーソルキー、右上にBefore/After(比較表示になる)、Screen Mode(フルスクリーン表示になる)、Export(書き出しダイアログが開く)が備わる。

Lightroom Classic CCでは、現像タブとライブラリタブのそれぞれにマッピングを用意している。
ボタンに割り当てられる機能の一例。Export(書き出し)ボタンを「Photoshopで開く」や「プリントする」に置き換えるような設定もできる。
ノイズリダクションのスライダーなども割り当て可能。各自が使わない機能と使いたい機能を好みで入れ替えできる。
カスタマイズした設定を記録し、書き出し/読み込みが可能。

トークセッション

左からプロカメラマンの内田尚子氏、映像ディレクター/クリエイティブディレクターの田所貴司氏

Loupedeck+を試したプロカメラマンの内田尚子氏と、映像ディレクター/クリエイティブディレクターの田所貴司氏が使用感を語った。

内田氏は、モニター上の写真から視線を外すことなくレタッチできる点を評価。作業効率が高まった分、編集をやりすぎることがなくなり、普段はやらないような冒険的な仕上げにも挑戦しやすくなったという。また外観について、北欧らしいシンプルなデザインがよいと語った。

田所氏はPremiereでの動画編集に使用し、同じデバイスで編集とカラーグレーディングを同時に行える点を評価。手にしたその日から仕事に使えたという。本来であればマウスを使ってプルダウンメニューから選ぶ操作がLoupedeck+上で完了し、自身のイメージをより早く形にできるとコメントした。

田所氏はミュージックビデオの撮影現場でもLoupedeck+を使用。

本誌:鈴木誠