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世界で著名なHDRソフト「Aurora HDR」最新バージョンを試す
本日発売 多彩なプリセット&編集機能を紹介
2016年9月29日 15:28
Aurora HDR 2017(以下、「Aurora HDR」と略す)は、HDR(ハイダイナミックレンジ)写真の第一人者として知られるトレイ・ラトクリフ氏とMacphun Software社のコラボレーションによって開発されたHDR編集ソフトだ。
ラトクリフ氏の手によるものをはじめ、豊富なプリセットが用意されており、簡単手軽にHDRイメージを作成できる。プリセットをベースに微調整できるほか、レイヤーを使った編集や部分的な補正も行なえる。多くのメーカーのRAW形式画像に対応しているのも強みだ。
発売は9月29日。現時点ではMac OS版(10.10.5以降)のみだが、来春にはWindows版も発売される予定。同社のウェブサイトからのダウンロード販売価格は税込1万800円となっている。
実際の作業手順
起動すると「画像をロード」と書かれたウィンドウが開くので、そこに合成したい画像をドラッグ&ドロップする。露出違いの画像(できれば三脚で固定して撮影したもの)を使うのが基本だが、1枚だけでもいい。手もとにある画像でためしてみたところ、シグマ(SD14、SD15、sd Quattroで確認した)以外はRAWのままでも読み込めた。
HDR合成を行なう前に、「追加設定」をクリックして、「ゴースト軽減」と「色収差の除去」オプションをオンにしておくこと(「カラーノイズの低減」オプションは初期設定でオンになっている)。
「HDR作成」をクリックするとしばらく待たされてから合成した画像が表示される。このままだとわりと普通のHDRイメージだが、「プリセット」を利用すると、さまざまな仕上がりをクリックするだけで選べる。
標準装備の9つのカテゴリーには、トレイ・ラトクリフ氏のほか、セルジュ・ラメッリ氏やキャプテン・キモ氏のプリセットも含まれている。HDR好きにはこれだけで十分楽しめるだろう。
プリセットを適用した画像をさらに微調整することも可能だ。
正直なところ、「画像構造」だったり「画像輝度」「グロー」などという名称の項目を見てもまるっきりピンとこないのだが、いろいろいじってみれば、いわゆる「HDR」らしさを強めたければ「HDRルック」や「HDR画像構造」の「量」、「HDR詳細」の「量」を多くすればいい、というのはつかめてくると思う。
ほかの「コントラスト」だったり「ハイライト」「シャドー」などは、多くのRAW現像ソフトと同じ機能で操作方法も違いはない。RAW現像の経験のある人なら基本的な使い方を習得するのはむずかしくないと思う。
おもしろいのは、各パレットの右上にあるオレンジ色の点アイコンで、これをクリックするとそのパレットの効果を一時的に非表示にできる。調整前後の比較が容易に行なえて便利だと思う。また、その左側の円を描く2つの矢印アイコンをクリックすると、そのパレットの調整内容を一括でリセットできる。
ゴースト軽減機能
まずは、画像を読み込む際のオプションから。
先ほどは有無を言わさずにオンにした「ゴースト軽減」は、画像内の動いている部分(人やくるま、雲、風に揺れる樹々の枝葉やたなびく旗など)が幾重にも重なって写ることを防止する機能で、多くの場合はオンにしておかないとへんてこな仕上がりになる。
「色収差の除去」もレンズの色収差やフリンジなどを自動的に補正してくれるので、オンにしておくのがおすすめだ。手持ちで撮ったときのフレーミングのズレが問題になる場合は「整列」をチェックしておく。
PLフィルターを使ったような効果も
ちょっとおもしろいのが最新バージョンに搭載された「偏光フィルタ」で、文字どおり、PLフィルターを使ったかのように青空を濃く鮮やかにできる。操作はもちろんスライダーを動かすだけの簡単なもので、効果も高く、エッジ部分も自然に仕上がってくれる。風景や建築物、街の景観などにはぴったりだ。
レイヤーも使用可能
レイヤーが使えるのも便利なところ。細かいところを説明しはじめるとキリがないからやらないが、たとえば、調整レイヤーに「グラディエント・マスク」や「放射状グラディエント・マスク」(Lightroomの「段階フィルター」や「円形フィルター」に相当する)、ブラシツールを組み合わせて、部分的な補正を行なうなどの作業が行なえる。
画像の部分補正や色調調整にも対応
最新バージョンに追加された「トップ&ボトム調整」で、空の部分だけ明るさを変えられる。
また「色調彩度輝度」では「レッド」「イエロー」「グリーン」「シアン」「ブルー」「バイオレット」の6色を個別に「色調(色相)」「彩度」「輝度」を微調整できるようにもなっている。
まとめ
多くの一眼レフカメラやミラーレスカメラのRAW画像がそのまま読めて、操作もわかりやすい。画像の読み込み(合成)には時間はかかるものの、読み込んでしまえば動作は比較的軽快でストレスは少ない。
さまざまなプリセットを見ているだけでも楽しいが、それらをヒントにしてオリジナリティーのある作品に仕上げるおもしろさも味わえる。
イロモノというイメージを持っている人はまだまだ多そうなHDRだが、このAurora HDRの共同開発者でもあるトレイ・ラトクリフ氏をはじめ、素晴らしい作品を発表している作家は少なくない。チャレンジしてみる価値は十分にあると思う。
まずは、同社のサイトから体験版をダウンロードして使ってみるところからはじめてみてはいかがだろうか。