特別企画
今勢いのあるフルサイズミラーレスと、その専用設計レンズを徹底検証!(広角ズーム・夜景/風景編)
2018年9月14日 13:14
発売以来、充実したスペックで話題を呼んでいる「α7 III」。カメラグランプリ2018大賞に選出された「α9」を上位機種に持ち、その性能を良いとこ取りしたフルサイズセンサー搭載ミラーレスカメラのベーシックモデルだ。ベーシックとはいうもののその完成度の高さにより、一眼レフカメラや他のミラーレスカメラのベーシックとは一味違う、高スペックで固められているのが人気の理由だ。
この連載では「α7 III」の人気の秘密と、すでに29本ものラインアップを備えているフルサイズミラーレス“専用設計”のレンズについてジャンル別に紹介していく。
これまで「望遠・ポートレート編」「標準ズーム・旅スナップ編」を公開。ソニーの最高級レンズ「G MASTER」を中心に、同じような焦点域の純正レンズについても紹介することで、レンズが持つ実力と、α7 IIIの組み合わせによる画質を検証した。
今回は広角ズームレンズを使った「夜景/風景編」をお届けしたい。
◇ ◇ ◇
夜景/風景におけるα7 IIIの利点を改めておさらいすると、
フルサイズCMOSセンサーによる高画質記録
→階調・色再現に優れるフルサイズセンサーが、目の前の風景を克明に記録。15ストップの豊かな階調性が画質的な余裕をもたらすだろう。暗所に強い裏面照射型でもあるので、ノイズの少ないクリアな夜景も期待できる。
画面の端までカバーするAFエリア
→パンフォーカス表現に限らない近年の風景/夜景撮影では、AFエリアがどこまで画面をカバーするかも重要。α7 IIIは像面位相差AFセンサー693点、加えてコントラストAFの425点が画面の端までカバー。
第2世代からおよそ2倍になったバッテリー容量
→数多くのロケーションを回ると、風景写真もそれなりにショット数が多くなりがち。電池切れの不安を覚えることなく、撮影に没頭できる。
今回は伊達淳一さんが、α7 IIIに装着した広角ズームレンズ「FE 16-35mm F2.8 GM」をユーザー目線でレビュー。シビアな条件が求められる広角ズームレンズを、伊達さんがどう評価するのか期待してほしい。
また、最高峰のG MASTERではないが、同じくソニーの広角ズームレンズとして、純正の「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS」も紹介しているので、あわせて鑑賞いただきたい。(編集部)
伊達淳一
1962年広島県生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒。写真誌などでカメラマンとして活動する一方、専門知識を活かしてライターとしても活躍。黎明期からデジカメに強く、カメラマンよりライター業が多くなる。
目次
超広角ズームレンズに求められることとは?
ミラーレス専用設計ゆえの軽量&高画質……FE 16-35mm F2.8 GM
・特徴
・作例
・まとめ
もう一つの選択肢……Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS
・特徴
・作例
・まとめ
撮影を終えて
超広角ズームレンズに求められることとは?
ボクが超広角レンズに求める条件は3つ。
・絞り開放から周辺画質が安定していて、像の乱れや流れがほとんどないこと
・太陽を画面内に入れて撮影してもゴーストやフレアが少ないこと
・できるだけ小さく軽いこと
FE 16-35mm F2.8 GMとVario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSは、この3つの条件をすべて満たしてくれる超広角ズームレンズだ。
個人的には、超広角ズームレンズに際立った明るさを求めていないので、α7 Rの時代からVario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSを愛用し続けてきたが、最近はFE 12-24mm F4 Gの圧倒的画角の広さと強烈なデフォルメ効果に惹かれ、16-35mmズーム自体の使用頻度が少なくなってきた。
ただ、FE 12-24mm F4 Gは、前玉が突出したいわゆる"出目金"ズームなので、PLフィルターやNDフィルターなど一般的な円形フィルターを装着できない。超広角では不用意に偏光フィルターを使うと青空に偏光ムラが出やすいとはいえ、葉っぱや水面の反射をコントロールしたり、NDフィルターで減光して長時間露出で水や雲の流れを演出するなど、自然風景の撮影にはフィルターワークが必要なシーンもある。そういったシーンには、やはり16-35mmズームは欠かせない存在だ。
ミラーレス専用設計ゆえの軽量&高画質……FE 16-35mm F2.8 GM
特徴
このレンズの魅力は、約680gとフルサイズの超広角ズームレンズにしては軽量な点だ。フィルター径は82mmと余裕のあるサイズなので、サイズ的にはそれほど小さくはないものの、レンズを手に取ってみると見た目よりもずいぶん軽いことに驚かされる。バックフォーカスを短くできるミラーレスならではの強みが活かされているレンズだ。
手ブレ補正機構は搭載されていないが、第2世代以降のフルサイズミラーレスαには、光学式5軸ボディ内手ブレ補正が搭載されているので、こうした機種と組み合わせて使えば、実質的には手ブレ補正搭載レンズと同じで、ファインダー像もピタリと安定して見える。角度ブレだけでなく、シフトブレ、回転ブレまで補正できるという点では、レンズ内手ブレ補正よりも補正効果が上といえるだろう。
鏡筒の操作部は対物側がフォーカスリング、ボディ側がズームリングで、ワイド端で鏡筒がもっとも伸び、テレ端でもっとも短くなる。ズームリングの操作感も非常に滑らかで一定のトルクでズームできる。ワイド側で仰角撮影していても、自重でズーム位置が動いてしまうこともない。
また、距離目盛りはなく、レンズ側面にはAF/MF切り換えスイッチとカスタマイズ可能なフォーカスフォールドボタンがあるだけのシンプルな構成でフォーカスフォールドボタンの上にはG MASTERを象徴するグランドアンバーカラーのバッジが配置されている。
マウント部には水の浸入を抑えるゴムリングが採用されているのもG MASTER仕様。フードは内側に植毛処理が施されていて、正位置でカチッと固定され、ロック解除ボタンを押さない限り、不用意にフードが回る心配はないのもG MASTER共通の特徴だ。
ただ、このロック解除ボタンを押さずに強引にフードを回して外そうとするとフードのロック機構が壊れてしまうので、必ずボタンを押しながら外すのが鉄則だ。
最短撮影距離は0.28m。超広角ズームとしては一般的なスペックで、特に寄りに強いわけではない。しかし解像とボケ味の両立を図ったG MASTERだけに、超広角ズームレンズとしてはボケ味がうるさくなく、自然な奥行き感でスッとボケてくれる。また、11枚羽根の円形絞りを採用しているので、少し絞っても角張ったボケにならないのも魅力だ。
作例
今回撮影に使ったのはソニーα7 IIIで、レンズ補正はすべて[オート]、ホワイトバランスやクリエイティブスタイル(仕上げ機能)、D-レンジオプティマイザー(階調補正機能)などもかなりいじりまくっているが、すべての作例はJPEG撮って出しで、後処理で解像感を高めるような処理は一切行っておらず、クリエイティブスタイルの[シャープネス]もすべて[標準]で撮影している。
横浜大桟橋からの夕景。本来は少し絞って撮影したいところだが、ここはG MASTERの性能を確かめるため、ワイド端絞り開放で撮影。レンズ補正を効かせても周辺光量低下は見られるが、むしろこれくらい周辺光量が落ちたほうが額縁効果で画面中央に視線を誘導できるので好みだ。
さすがに周辺の点光源は収差の影響で少し形が崩れ気味だが、F2.8の絞り開放でも周辺像が大きく流れたり、乱れたりしていないのはスゴイと思う。
同じく横浜大桟橋からの撮影。日が暮れてかなり暗くなっていて、港を往来する船をなるべく止めて撮影するために感度をISO800まで上げて撮影しているが、F2.8の明るさと絞り開放で撮影しても周辺画質が破綻しないG MASTERでなければ、もっと感度を上げて撮影することになっていただろう。
一応、三脚を使って撮影しているが、このシャッタースピードならボディ内手ブレ補正もあるので、余裕で手持ち撮影も可能だ。
しつこく横浜大桟橋からの夜景。今度は手前の船とみなとみらいのビル群の両方をパンフォーカスで撮影するため、F5.6まで絞って撮影してみた。絞り羽根の枚数が11枚と多いので、光条の鋭さには欠けるが、なかなか品のいい光条だ。ピント位置は手前の船だが、α7 IIIのキレの良さも相まって、遠景のみなとみらいのビルもキリッと解像している。
河口湖の大石公園のラベンダーと富士山。手前のラベンダーだけでなく富士山にもビシッとピントを合わせたいシーンなので、光の回折による小絞りボケが出るのを覚悟でF13まで絞って撮影。ピントを合わせる位置を少しずつ変えながら、富士山がクッキリと再現される一番手前のピント位置で撮影している。
手前のラベンダーは少しピントが甘くなっているが、特に不自然には感じないと思う。PLフィルターと角型ハーフNDフィルターを併用して、少し霞がかった富士山のコントラストを高めてみた。
長野県佐久穂町の白駒の池。11枚の円形絞りなので、太陽を画面内に入れてもなかなか光条が伸びてくれないが、木の枝の隙間などに太陽を配置して絞ると、キレイな光条が出やすくなる。太陽の位置によってはゴーストが出るものの、光源の位置を少し工夫すれば回避は可能だ。
白駒の池の苔の森。西日が射し込んできて、それまで暗かった森が一変。かなり強烈な逆光シーンでまともに撮影すると手前の木はほぼシルエットになってしまうが、α7 IIIのDRO[Lv5]を使うと、驚くほどシャドーが明るく持ち上がり、撮って出しのJPEGでもHDR的な仕上がりになる。ただ、カメラ内部でかなり強引な画像処理が行われるため、色収差やフリンジも強調されてしまうため、レンズの描写性能が非常に重要となる。その点、FE 16-35mm F2.8 GMなら、周辺の色収差も少ないので、強引な画像処理にもビクともしない。
欲をいえば、もう2絞りほど絞って被写界深度を稼ぎたかったところだが、三脚を立てるのがむずかしい遊歩道からの手持ち撮影なのと、解像の良さを活かせるF5.6で撮影した。
白駒の森にて。倒木から芽吹いた葉っぱに木漏れ日が射していたので、ワイド端開放で最短撮影距離付近まで近寄って撮影。そのままでは葉っぱの反射が強すぎるので、CPLフィルターを装着して葉っぱの反射を完全に消さない程度にコントロール。微調整でB(ブルー)を足すことで、緑のみずみずしさを強調している。
F2.8と明るいので手前にピントを合わせれば、16mmの超広角でも、背景は結構ボケて写る。非球面レンズにありがちな、年輪ボケも目立たず、後ボケも柔らかく、周辺でボケが引っぱられたり流れたりしていないので、とても超広角ズームレンズとは思えない自然な描写が得られている。
これも白駒の森。倒木にビッシリと生えた苔が美しい。テレ端絞り開放でわざと奧をボカすことで、暗がりの森でフワッと浮かび上がった苔の緑を強調してみた。
三脚の脚を柵内に入れないようにすると、35mmの画角だと少し寄りが足りなかったので、少し感度を高めにして前屈みで手持ち撮影。焦点距離が長くなる分、ピントの合う範囲が狭くなるので、拡大AFを併用して、苔の生え際にビシッとピントの中心が来るように狙ってみた。
また、クリエイティブスタイルを[ディープ]にして、コントラストと彩度も高め、マイナスの露出補正を大胆に行って、苔の緑を印象的に浮かび上がらせている。
まとめ
前述したように、ボクは超広角ズームに際立った明るさを求めておらず、周辺画質の高さという点でも、Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSもその期待に十分応えてくれている。しかし、FE 16-35mm F2.8 GMを使ってさまざまなシーンを撮影してみると、F2.8の明るさだからこそ撮れる世界、表現できる世界があることを痛感した。
それと、最近、角型のハーフNDフィルターや高濃度のNDフィルターを使って日中長時間露出を行うことが増えてきたのだが、ND32000といった超高濃度のNDフィルターを装着すると、さすがのαといえどもAFが効かなくなる。そのため、フィルターを装着していない状態で構図やピントを決めてから、MFに切り換えてピントを固定し、それから高濃度のNDフィルターを装着する、という流れになるが、FE 16-35mm F2.8 GMならレンズ側面にAF/MF切り換えスイッチがあり、ワンタッチでAFからMF、MFからAFに切り換えられる。また、角型フィルターホルダーは、フィルター径82mmならステップアップリングを介さずに装着できるのも便利だ。
まあ、このあたりは極めて個人的な事情だが、開放F2.8の明るさに加え、ミラーレスカメラ専用設計であり、ソニーのレンズとして最高峰のブランドG MASTERならではの解像とボケ味の良さをまざまざと感じされられた。特にワイド端だけでなく、標準ズームレンズでもカバーできる24-35mm域の描写も絶品で、標準ズームレンズは利便性重視でFE 24-105mm F4 G OSSに任せ、画質や表現力重視の広角域の撮影はFE 16-35mm F2.8 GMで勝負する、というのもありだ。これまでFE 16-35mm F2.8 GMの描写の良さを感じつつも、購入するまでに至らなかったボクだが、今回、FE 16-35mm F2.8 GMを存分に使ってみて、これは買うべきと判断し、すでに今手元に届いた直後だったりする。
もう一つの選択肢……Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS
特徴
FE 16-35mm F2.8 GMの約680gに対し、Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSは518gと軽量で、フィルター径も72mmと小さく、サイズも一回り以上コンパクトなのが特徴。GMよりも価格的に手ごろなのも魅力の超広角ズームだ。
第1世代のフルサイズミラーレスαはレンズ内手ブレ補正を基本としていたこともあり、このレンズも手ブレ補正機構を搭載している。第2世代以降のαでは、角度ブレの補正をレンズ側で、シフトブレと回転ブレの補正をボディ側で行うようになっている。
レンズにはAF/MFやOSSのON/OFF切り換えスイッチはまったくなく、すべてボディ側でメニュー操作で切り換える仕様だ。このあたりは、小型軽量重視の初期の設計思想を強く反映したつくりだ。
外装仕上げは、ソニーのZEISSレンズに共通したヒンヤリとした触感の金属素材が使われていて、ズームリングやフォーカスリングも金属をローレット加工したものだ。側面にはブルーのZEISSバッジも埋め込まれていて、全体的に硬質な雰囲気を醸し出している。
最短撮影距離は0.28mでFE 16-35mm F2.8 GMと同じだが、絞り羽根枚数は7枚と少ない分、光条は出やすい。画面のど真ん中か、ごく周辺に強い光源を入れない限り、ゴーストやフレアにもかなり強い。
画質については、以降の実写作例を見てもらうのが一番だが、絞り開放からキレの良い描写で、画面周辺の画質の乱れもかなり少なめだ。特にワイド端の描写は素晴らしく、正直、F2.8の明るさを求めないなら、このレンズでも十分過ぎるほど解像感の高い描写を得ることが可能だ。
巷では、テレ側の描写が少し落ちるという評価も聞くが、確かに絞り開放では少しコントラストの低下というか、エッジのキレが鈍くなる印象はあり、その点はFE 16-35mm F2.8 GMに及ばない部分だが、拡大AFでピントをしっかりピークで合わせれば、解像の乱れはほとんどなく、1段絞ってF5.6で撮影すればキレの良さが戻ってくる。
作例
横浜大桟橋の夕景。ワイド端でF7.1まで絞って撮影しているため、画面周辺まで安定した描写が得られている。標準ズームレンズよりも圧倒的に画角が広いので、夕空の美しいグラデーションを主題に、夕景を眺める二人をアクセントに添えてみた。超広角ズームとしては、とにかく小さくて軽いレンズなので、カメラに付けっぱなしで散歩しても苦にならないのがイイ。
横浜大桟橋の夕景が激焼けした瞬間を、あえて絞り開放で撮影してみた。ピント位置は画面周辺重視で合わせている。周辺ではそれなりに解像力と光量が低下していくが、周辺でも像の乱れは軽微で、光源がほぼ点に写っている。開放F4ではあるが、絞り開放から安心して使えるF4なので心強い存在だ。
人工光源の色彩の違いが面白かったのでパチリ。あまり深くは考えずに直感で撮影したスナップだが、レンズが小型軽量だと気負いも少なくなり、軽い心で撮影できる。これもスペックには現れない魅力かも。7枚絞りなので、少ししか絞らなくてもシャープな光条になりやすいのも特徴だ。
長野県佐久穂町の白駒の池にて。白駒の森でもお気に入りの場所で、倒木とその周りの苔に日が射して、フォトジェニックな瞬間になっていた。
ここは遊歩道が広めで三脚を立てる余裕があったので、パンフォーカス的な描写を狙いつつも、できるだけ小絞りボケがないようF10と控えめに絞って撮影。普通に写っているが、このシーンもかなり輝度差が大きく、クリエイティブスタイル[ライト]とDRO[Lv5]を組み合わせないと、JPEG撮って出しではまともに映らないシーンだ。
同じ撮影場所からテレ端にズームして絞り開放で撮影。少しアウトフォーカスになった部分ににじみが出ているが、ピントの合っている箇所に注目すると、エッジが立つほどの解像ではないが、ちゃんと乱れのない解像が得られている。
少し奥行きがある被写体なので、ワイド端でF5.6まで絞って撮影。樹の表面に生えた苔が驚くほど鮮明に描写されている。背景はちょっと中途半端なボケで、枯れ木の枝などコントラストの高い部分は少しうるさい描写になっている。このあたりの描写はFE 16-35mm F2.8 GMに軍配が挙がるが、超広角ズームレンズとしては周辺の乱れも少なく、水準以上の安定した描写だ。
苔の森まで行って撮影した後の帰り道、お気に入りの場所を通りかかると、太陽の高度がかなり低くなり、横位置でも太陽を画面内に入れられるようになっていた。そこで、木の隙間から太陽が顔を見せるポジションを探し、F11まで絞り込んで光条を狙ってみた。
かなり輝度差が大きく、本当はDRO[Lv5]に上げたいところだが、シャドーが明るくなる過ぎると光条が目立たないので、DRO[Lv3]にして、少しローキーな仕上がりを狙ってみた。
またまた同じ時間と場所で、ズームのテレ端で撮影。今度は絞り開放ではなく、F8まで絞って、被写界深度を深くして撮影してみた。開放に比べ、小さな苔の細部までよりクッキリとした写りになっている。
InstagramなどSNSで人気の水たまりリフレクション。その人気スポットのひとつ、東京駅のリフレクションをVario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSで撮影してみた。
できるだけ地面スレスレのローレベルで撮影するなら、カメラを地面に直置きするのが一番だが、濡れた路面にカメラを置くと最悪、底面から浸水する恐れがあるので、ポケット三脚を最大開脚にして撮影。こうした小さい三脚を使う場合は、少しでも小さく軽いレンズのほうが有利。乾いた路面に直置きする場合も、前玉の径が小さい方が、わずかではあるが、よりグランドレベルで攻められる。
まとめ
FE 16-35mm F2.8 GMが出てからは、やや影が薄くなった印象のあるVario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSだが、F2.8ならではの被写界深度の浅さやボケこそ得られないものの、解像性能は非常に高く、特にワイド側の周辺画質はG MASTERに引けを取らないほど。F5.6〜8に絞って撮影するなら、画質面での不満はほとんど感じないと思う。
むしろ、絞り羽根が7枚と少ない分、夜景などで光条が出やすく、レンズ径が小さいのでカメラバッグへの収納性もイイ。特に、超広角のプライオリティがそれほど高くないものの、やっぱり超広角ズームレンズがないと不安、といったときに、FE 16-35mm F2.8 GMだと重くはないものの、ちょっとかさばってカメラバッグの中仕切りがパンパンで入りきらないこともある。その点、Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSなら、小さな中仕切りでも入ることが多いので、まだまだ手放せない存在だ。
撮影を終えて
このように、フルサイズミラーレスαの魅力は、ミラーレスならではのショートバック設計で、高性能な超広角ズームが実にコンパクトな点だ。FE 16-35mm F2.8 GMやVario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSSよりもさらに超広角のFE 12-24mm F4 Gもとても軽量コンパクトで、明確な撮影目的が決まっていなくても気楽に持って出かけられる。ボクのお気に入りの1本で、PLフィルターを使いたいときは16-35mm、圧倒的な画角の広さとパースペクティブでフォトジェニックな写りを求めるときは12-24mmと使い分けている。
この3本の超広角ズームいずれか1本に、FE 24-105mm F4 G OSSとFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSというのがボクの常用スタイル。わずか3本のズームレンズで、12mmもしくは16mmの超広角から400mmの超望遠までシームレスにカバーでき、しかも、ボディも含めたトータルの重量はもっとも重い組み合わせでも約3.5kg弱と、フルサイズセンサー搭載のレンズ交換式デジタルカメラとしては非常に軽いのが特徴だ。
また、被写界深度の深い超広角レンズでも、狙った箇所にしっかり解像のピークが来るようピントを合わせないと、レンズ本来の解像の良さを引き出せない。その点、α7 IIIは画面周辺までフォーカスエリアが広く、撮りたい構図のままでAFできるので、ピントを合わせてからカメラを振ってフレーミングし直す必要がなく、撮像センサーそのもので測距を行っているので、ピント精度が極めて高いのが強み。さらに、AF-S撮影時には、ライブビューを拡大表示にしてAFを行うことで、よりシビアで確実なピント合わせが行える。この安心感は絶大だ。
協力:ソニーマーケティング株式会社