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ライカM10-D

巻き上げレバー風サムレストの詳細 新アプリとの連携も

ライカカメラジャパンが11月に発売する「ライカM10-D」の外観を紹介する。デジタルカメラらしい「撮って即モニターで見られる」を放棄し、フィルムカメラ的な撮影スタイルを楽しめるのが特徴だ。

液晶モニターのないライカMデジタルは3機種目だが、今回はレリーズボタンの部分にも変更がある。これまでには見られなかった巻き上げレバーのようなパーツが追加されているのだ。

このパーツ、実は親指を引っかけるサムレストで、シャッターチャージのようなカメラの機能との連動はない。デジタルのM型ライカは、天面のボタンや感度ダイヤルなど、これまでのM型ライカに存在したモチーフを取り込む形で新要素を加えているのが面白い。

上からライカM3(フィルムカメラ)、ライカM10-D、ライカM10。
ライカM10-Dのサムレストを起こしたところ。しっとりとクリック感があって止まる。
畳んだところ。バネで戻るような仕組みはないが、シャッター速度ダイヤルに干渉しない位置で止まる。

筆者もかつてM型デジタルに社外品サムレストを取り付けてみたことはあったが、それらはカメラの後ろ側に出っ張るため、カメラを首から提げたり、バッグにしまう時に存在が気になり、常用には至らなかった。

今でもサムレストは欠かせないという人もいるし、M10ではライカからも純正のホットシューに差し込むタイプのサムレストが発売されたぐらいなので、愛用者は多いのだろう。

特筆すべき点は、M10-Dのサムレストは巻き上げレバーのような意匠ゆえに後付け感がないこと。一体型ゆえにいつでも使えるので、時々サムレストが欲しくなるという人にはアリかもしれない。

サムレストに指を掛けてみたところ。
背面ホイールのハウジング形状もサムレストのようになっていて、レバーのような部分と両方が親指に接する。
サムレストの長さや角度は、この2つに親指が接するバランスから決定されたのかもしれない。
ライカM10-Dのサムレストを起こしたところと、ライカM3でフィルムを巻き上げた状態のレバー。

Wi-Fi経由で、スマホがモニター代わりに

液晶モニター非搭載のライカMデジタルは3機種目だが、収納式サムレストの他にも初の要素がある。それがWi-Fi機能と外付けEVFへの対応だ。

Wi-Fi機能により、カメラの詳細な設定をスマートフォンの「Leica FOTOS」アプリから行える。これまでは「DNGのみ」「ホワイトバランスはオート固定」といった限定的な撮影(細かい調整はRAW現像に任せる)に限られていたが、M10-Dではカメラのメニュー画面での操作・設定に相当するカスタマイズが可能になった。カメラと連携するスマホアプリらしく、撮影画像の再生・転送や、ライブビュー画面を表示しながらのリモート撮影機能もできる。

Leica FOTOSとの接続を試みているところ。
接続中は、インジケーターが緑色に点滅する。SDカードへの書き込み時は赤く点滅するが、縦位置撮影時でも目から遠い位置に移動したのが嬉しい。

これまではSSIDを選んでパスワードを手打ちしていたが、今後はカメラのモニターに表示されるQRコードをスマホアプリのカメラで読めば接続完了となる。各社のデジタルカメラがNFCに代わって採用しつつある簡便なペアリング方法だ。

液晶モニターがないので、ベースプレートを外したところに貼られているシールのQRコードを読み取る。

別売品の外付けEVFは今回試さなかったが、ライブビュー画面と、シャッターを切った直後のプレビュー画面が表示されるという。本体の光学ファインダーで扱いきれない広角レンズや、距離計連動のない交換レンズなどでピントやフレーミングを見ながら緻密に撮りたいときに活躍するだろう。

Leica FOTOSのアプリから設定できる項目。レンズデータの選択はなく、6bitコード任せのようだ。スマホの時刻設定を自動でカメラに反映する機能も。

SDやバッテリー残量の確認は?

困りそうなのは、バッテリー残量や、SDカードの残量を液晶モニターで確認できないことだろう。これについては従来のモニターレスM型ライカと同様、上面右手側の丸いボタンを押すと、AE時にシャッター速度が表示される部分に「バッテリー残量のパーセンテージ」「残り撮影可能枚数」が交互に表示される。

バッテリー残量と撮影可能枚数は、ファインダーを覗きながらこのボタンを押す。

使い心地は?

実際にシャッターを切ってみると、シャッター音は静粛。ライカM10を追って発売された「ライカM10-P」と同様の静音構造になっているようだ。

新鮮なのは電源操作だ。これまではシャッターボタン同軸のレバーで電源をオン/オフしていたが、M10-Dでは背面の露出補正ダイヤルと同軸に組み込まれた。レバーと比べて頻繁にオン/オフするのは手間なので、電源はオンにしたまま、それこそフィルムカメラ的に使うのが似合いそうだ。

露出補正と電源操作は背面のダイヤルで行う。
ライカM10-D(左)とライカM10。背面がスッキリとして、スリムになった感じがする。
ライカMデジタルの空き地が初めて埋まった。

本誌:鈴木誠