新製品レビュー
LightPix Labs「FlashQ Q20II」
クリップオンでも使える、電波式ワイヤレスの小型マニュアルストロボ
2020年5月18日 00:00
香港LightPix Labsの「FlashQ Q20II」(以下Q20II)は、一風変わった仕組みを持つ小型の汎用クリップオンストロボだ。日本では銀一が5月21日に税別1万2,000円で発売する。
大きさは幅59mm、高さ99mm、厚さ29mm。重さは115g(電池除く)しかなく、シャツのポケットに入ってしまうほどコンパクトだ。気になる光量は最大ガイドナンバー(GN)20(ISO100)。大きさを考えたら大光量と言えるだろう。照射角は35mm判で32mm相当をカバーする。
本体の背面には電源スイッチや光量調節ボタンが並ぶ。このストロボはTTLをはじめとする自動調光機能は持たず、マニュアル発光専用。FLASHの左右ボタンで光量を変える。発光量は1/1のフル発光から1/64まで7段階だ。
自動調光がないと難しく感じるかもしれないが、以下の式を知っておくと便利だ。
ガイドナンバー(GN)=距離(m)×絞り値
GN20で撮影距離が5mなら、絞りはF4で適正になる。もっともデジタルカメラなら、まず撮影してみて、背面モニターで結果を見ながら調節するのが手っ取り早い。
電池は単3形乾電池を2本。アルカリの他、充電式のニッケル水素電池も使用可能だ。フル発光時のチャージ時間はアルカリ電池では7秒、ニッケル水素電池では6秒。1度シャッターを切るとしばらく待つ必要はあるが、単3形2本なのでこれは仕方がない。とはいえ屋外の日中シンクロのような補助光では、フル発光まで使わないのでチャージ時間は短くなり、スピーディーな撮影が行える。
バウンス撮影のために、発光部は上方90度まで動かせる。メリハリのある動きで楽に角度調節ができる。また7種類のフィルターが付属し、発光部に差し込んでエフェクトを楽しむこともできる。
FLASHボタン下のVIDEO LIGHTの調光ボタンを押すと動画モードに切り換わり、本体のLEDライトが点灯する。距離1mでの明るさは最大60lux。ストロボと同様に7段階の調光が可能。写真だけでなく動画も撮影する人に嬉しい機能だ。
Q20IIの最大の特徴が、ストロボの本体と、ホットシューに差し込む取り付け脚の部分が分離することだ。シュー側の部分はそのままワイヤレス発光用のトランスミッターになる。本体とトランスミッターは2.4GHz帯の無線接続。距離は10mまで届くという。
ストロボをカメラから離して発光できるため、ライティングの自由度が飛躍的に高まる。しかもトランスミッター側にも左右ボタンを持ち、ワイヤレスで光量調節ができるのも驚きだ。ただしトランスミッター単体では光量がいくつになっているかわからないため、本体を設置した時点の発光量を覚えておくとコントロールしやすい。
そしてユニークなのがバッテリーの充電方法だ。付属のUSBケーブルは先がmicroUSBの二又に分かれていて、本体側にニッケル水素電池を入れれば本体側とトランスミッター側の両方を同時に充電できる。ちなみにQ20IIの前モデル、Q20には本体側に充電機能を持たない。
Q20IIはいわゆるスレーブ機能も搭載しているので、多灯発光も可能だ。背面右下のモードボタンを1回押すとランプが赤く光りS1モードになる。これはオーソドックスなスレーブのモードだ。さらにモードボタンを押すとランプが緑色に変わり、S2モードになる。これはマスター側のストロボがプリ発光する場合に設定するモード。S2モードはプリ発光には反応せず、本発光のみ同調する。
またモードボタンをさらに押すとランプが青に変わり、モデリングモードになる。LEDライトが点灯し、被写体の反射や影を確認するのに便利な機能だ。動画モードと異なりストロボ光の発光量が調節でき、テストボタンを押すと動作確認が行える。
今回はこのストロボの小ささと機動性に注目して、自宅でのテーブルフォトや庭先や身近な場所でのスナップに使ってみる。テーブルフォトならこうした小型のストロボでも十分実用的だ。ここでは特別なスタジオ用品は使用せず、身の回りのものだけで撮影した。被写体の背景は、自宅にあるもので工夫してみよう。
ここでおすすめなのがレフ板だ。コピー用紙を厚紙に貼るだけでも構わない。影になる部分にストロボ光を反射させたり、写り込ませてハイライトを作ったり、いわゆる"ブツ撮り"では欠かせないアイテムだ。また白レフではなく黒いケント紙を使った黒レフも便利。余計な映り込みや反射を抑えることができる。特にグラスの撮影では、輪郭を出すのに黒レフは必需品だ。
天井が白ければ、天井にバウンスさせると柔らかい光が作れる。ただ光量が落ちるので、Q20IIはフル発光を多用することになるはずだ。それでも必要な絞り値に届かなければカメラ側のISO感度を上げていこう。被写体に直接照射させたりバウンスさせたり、逆光にしてみたり、様々なライティングを試してほしい。
撮影していて唯一気になったのは、Q20IIをカメラから離すとチャージの完了がわからないことだ。特にフル発光ではチャージに時間がかかるため、何度かシャッターを切っても発光しないことがあった。チャージが完了すると音が鳴れば嬉しいのだが、それはこのクラスのストロボには望み過ぎかもしれない。焦らずじっくり撮影するのがコツだ。
気軽にワイヤレス発光ができるQ20IIなら、誰でも手軽に本格的なライティングが楽しめる。使いこなしが楽しそうな機能を持ちながら購入しやすい価格なので、すでにストロボを所有している人も、2台目、3台目として注目だ。