交換レンズレビュー
キヤノン RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
短期集中連載:100-400mm級フルサイズ望遠ズームレンズ(1)
2026年4月30日 07:00
本レンズが発売されたのは2020年8月。当時は一般的ではなかった焦点距離500mmまで届く超望遠ズームレンズであり、しかも本格的なLレンズということで、フルサイズミラーレスカメラならではのメリットを活かしたレンズの登場に心が躍ったものだった。
外観・仕様
最大径×長さはφ93.8×207.6mmで、質量は約1,370g(三脚座含まず)。絞り値こそやや暗めではあるが、500mmまで届く超望遠性能を考えれば、現代の高感度撮影に優れたキヤノン製ミラーレスカメラとの組み合わせで、ほとんど問題なく撮影に臨めるはずだ。
鏡筒を最長の500mmまで伸長させるとこのような姿となる。
伸縮式のズーム構造上、焦点距離の伸長に伴って全長が伸びることは避けられないが、500mmというスペックを考慮すれば、そのサイズ感は想定の範囲内に収まっていると言えるだろう。
スイッチ類は鏡筒側面に、上から順に撮影距離範囲切り換えスイッチ、フォーカスモードスイッチ、手ブレ補正スイッチ、手ブレ補正モード選択スイッチの4つが配置されている。Lレンズとして、操作に必要な機能が過不足なく、かつ使いやすい位置に備わっているという印象だ。
また、ズームリングの回転抵抗を調整するリングも搭載されている。「SMOOTH」側に回せばズーミング操作は軽く、「TIGHT」側に回せば重く設定できるため、撮影スタイルや状況に応じた最適な抵抗感を得ることが可能だ。
コントロールリングの搭載は、RFレンズを象徴する仕様の1つだ。ISO感度や絞り値、露出補正など、好みに合わせて任意の機能を割り当てることが可能で、ファインダーから目を離さずに直感的な操作を行える実用性は非常に高い。
同梱されているレンズフードは「ET-83F (W III)」。ロックボタンや先端部の保護ラバーを備えた質感の高い設計で、遮光性能も申し分ない。
さらに、レンズフード側面にはフィルター操作窓が設けられている。これにより、フードを装着したままでもC-PLフィルターや可変NDフィルターの回転操作を行えるため、撮影現場でのスムーズな運用をサポートしてくれる。
本レンズは「エクステンダー RF1.4×」および「エクステンダー RF2×」に対応しており、焦点距離を1.4倍(700mm)あるいは2.0倍(1,000mm)に延長することが可能だ。なお、装着時の開放F値は1段または2段暗くなるため、その点は留意しておく必要がある。
作例
フォーカスレンズとフローティングレンズの2つのレンズ群を、それぞれ独立したナノUSMで駆動させているため、AFの速度と精度は非常に高い。500mmまで届く超望遠ズームとは言え、AF性能に不満を覚えることはほとんどないだろう。豊富で高性能なAFモーター技術を持つキヤノンだけに、ここは流石の一言に尽きる。
現行のEOS Rシリーズが備える被写体認識機能との連携も極めてスムーズだ。動物や飛行機など、対象を選択すれば瞳や機首に正確にピントを合わせてくれるため、撮影者は構図や露出の決定に全神経を集中できる。また、Lレンズの名に恥じない、ピント面の圧倒的な解像感にはぜひ注目していただきたい。
最短撮影距離はワイド端の焦点距離100mm時に0.9mとなる。それほど優れた最短撮影性能とは言えないものの、ネイチャー写真を撮りたい場合などは、十分に実用的なワーキングディスタンスを保ちながら、被写体を比較的大きく写せるだけの性能があると言えるだろう。電子式フローティングフォーカス制御のおかげで近接撮影での描写性能も優秀だ。
最大撮影倍率はテレ端の焦点距離500mm時に0.33倍となる。0.33倍と言われてもピンとこないかもしれないが、個人的には0.25倍を超えると「大きく写せるレンズ」という認識なので、これはかなり高い最大撮影性能と言って良いだろう。500mmでの近接撮影となると手ブレの不安も大きくなるが、レンズ側の光学式手ブレ補正機能が非常に優秀なので、思ったより広い条件下で手持ち撮影が可能だ。
「エクステンダー RF2×」を装着することで、焦点距離は1,000mmへと拡大する。手持ち撮影可能なサイズ感の望遠ズームでありながら、遠くの被写体を引き寄せて撮れる効果は格別だ。なかなか近寄れない小さな被写体を撮影する際、絶大な恩恵をもたらしてくれるはずだ。
まとめ
100-500mmまでをカバーする本レンズの最大の魅力は、この超望遠域をフルサイズかつ手持ち撮影可能なサイズで実現した機動性にある。キヤノンの高性能を象徴する「Lレンズ」としての画質は申し分なく、解像力や描写性能においても、プロユースでもその期待を裏切らない極めて高いクオリティだ。
かつて超望遠撮影と言えば、400mm F2.8や600mm F4のような大口径単焦点レンズが絶対的な選択肢とされてきた。しかし、本レンズの登場は、その常識を大きく覆したと言える。ミラーレス時代の到来により、超望遠撮影はより身近で軽快なスタイルへと確実に進化を遂げている。
撮影協力:多摩動物公園













