交換レンズレビュー

ソニー FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS

短期集中連載:100-400mm級フルサイズ望遠ズームレンズ(4)

本レンズが発売されたのは2017年7月。まだG Masterのラインナップが少なかったころに登場した、当時としては新機軸の超望遠ズームレンズだった。言い換えれば、現在では各社から発売されている超望遠ズームの先駆け的な存在だったともいえる。

外観・仕様

最大径×長さはφ93.9×205mmで、質量は約1,395g(三脚座別)。同クラスの最新設計の超望遠ズームレンズと比較してもそれほど見劣りしない小型・軽量化が達成されており、新製品が出そろった現在でもなお問題なく使えるサイズ感に収まっている。

鏡筒をテレ端まで伸長させるとこのような姿となる。伸縮式のズームなのでテレ側にするほど伸長するのは当然だが、400mmという焦点距離を考えれば、それでも十分コンパクトにまとめられている印象だ。

リング類はレンズ先端からフォーカスリング、ズームリングの順で並んでいる。その間にはフォーカスホールドボタンが計3つあり、さすがG Masterと言ったところだろう。

スイッチ類は右側面に集約されており、上から順にフォーカスモードスイッチ、フォーカスレンジリミッター、手ブレ補正スイッチ、手ブレ補正モードスイッチ。G Masterらしく、万全な装備が施されている。

また、ズームリングの回転抵抗を調整するリングも搭載されている。「SMOOTH」側に回せばズーミング操作は軽く、「TIGHT」側に回せば重く設定できる。撮影スタイルや状況に応じて、最適な抵抗感を得ることが可能だ。

同梱されているレンズフードは「ALC-SH151」。ロックボタンやフィルター操作窓、また先端部の保護ラバーを備えた質感の高い設計で、遮光性能も申し分ない。

本レンズは「1.4×Teleconverter」および「2×Teleconverter」に対応しており、焦点距離を1.4倍(560mm)あるいは2.0倍(800mm)に延長することが可能だ。なおテレコンバーターの常として、装着時の開放F値は約1段または約2段暗くなる。

作例

フォーカスレンズとフローティングレンズの2つのレンズ群には、それぞれダイレクトドライブSSM(DDSSM)とダブルリニアモーターが採用されている。当然のようにAFは速く、そして正確だ。同クラスでもトップクラスのAF性能で、9年近く前に発売されたレンズだとしても、その性能は抜きんでていると言えるだろう。

ソニー α7 V/FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS/400mm/シャッター優先AE(1/2,000秒、F5.6、+0.3EV)/ISO 250

注目したいのが本レンズの発売時と比べ、現行ボディ側のAF性能がメキメキと向上していること。被写体認識での検出精度が高く、追従性も圧倒的だ。今回はスタンダードモデルとして最新のα7 Vとの組み合わせで使ったが、どちらかがボトルネックとなって性能を下げることもなく、快適なピント合わせを体感することができた。

ソニー α7 V/FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS/400mm/シャッター優先AE(1/500秒、F5.6、±0.0EV)/ISO 200

最短撮影距離は0.98mとなっており、ズーム全域でこの距離を維持している。ある程度寄って写すことができるものの、ワイド端100mmでの撮影倍率は特別高いとは言えない。必要に応じて望遠側にズーミングしながら、最適な距離感と撮影倍率を探るのが適切だろう。

ソニー α7 V/FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS/100mm/シャッター優先AE(1/1,000秒、F4.5、+0.7EV)/ISO 800

一方でテレ端400mmの最短撮影距離時には、撮影倍率は最大の0.35倍となり、十分に被写体を大きく写すことができる。また背景ボケや前ボケを効果的に取り入れることが可能だ。0.25倍(1/4倍)を超えれば十分な近接撮影能力があるというのが筆者の持論なので、本レンズはそれに応えていることになる。

ソニー α7 V/FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS/400mm/シャッター優先AE(1/1,000秒、F5.6、+0.3EV)/ISO 800

「2×Teleconverter」を装着することで、焦点距離は800mmへと拡大する。800mmともなれば、超望遠を超えた超々望遠となり、これまで肉眼では捉えきれなかった被写体のディテールや距離感を引き寄せて写し撮ることができる。これまでは特殊な撮影条件であった超々望遠の世界を、比較的気軽に撮れるようにしたことが本レンズ登場時の功績ではないだろうか。

ソニー α7 V/FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS+2X Teleconverter/800mm/シャッター優先AE(1/500秒、F11、-0.3EV)/ISO 400

まとめ

最大の特長は、G Masterにふさわしい高い描写性能にある。絞り開放から安定した解像力とコントラストを発揮し、画面全域で均質な描写が得られる点は特筆に値する。超望遠ズームレンズでありながら画質面で妥協を感じさせない完成度は、本レンズの大きな魅力だ。

AF性能も非常に優秀で、ダイレクトドライブSSMとダブルリニアモーターの組み合わせにより、高速かつ正確なピント合わせが可能だ。最新のボディと組み合わせても不足を感じる場面は少なく、動体撮影においても安心して使用できる。

さらに、同クラスの先駆け的な存在でありながら、サイズと重量はしっかりと抑えられており、後発の製品と比べても十分に取り回しやすい水準にまとまっている。

描写性能とAF性能、そして機動性のバランスに優れた1本であり、現在でも第一線で通用する完成度を備えていると言えるだろう。

撮影協力:多摩動物公園

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。