交換レンズレビュー

ニコン NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S

短期集中連載:100-400mm級フルサイズ望遠ズームレンズ(6)

本レンズが発売されたのは2022年2月。ニコンのZレンズとしては初となる超望遠ズームレンズであり、なおかつ高性能ラインであるS-Lineの1本として登場した。

外観・仕様

最大径×長さはφ98×222mmで、質量は約1,355g(三脚座なし)。高性能・高機能なS-Lineのレンズでありながら、同クラスの他社製レンズと比べても遜色のないレベルでの小型・軽量化が図られており、手持ち撮影にも十分に対応する。

鏡筒をテレ端まで伸長するとこのような姿となる。伸縮式のためテレ端にズームするほど鏡筒が伸びるのは当然だが、それでも伸び量は他と比べて控えめだ。テレ端でも全長を抑え、使いやすさに配慮している点は好ましい。

リング類はレンズ先端からズームリング、フォーカスリング、コントロールリングの順に配置されている。ファンクションボタンとしてL-Fnを1つ、L-Fn2を2つ備えており、このあたりは高性能ラインのレンズらしい仕様といえる。

一方で、スイッチ類はフォーカスモードスイッチとフォーカスレンジリミッターの2つに絞られており、比較的簡素な構成だ。

距離計窓に代わってディスプレイが搭載されており、コントロールリングで操作した設定内容が表示される。視認性は高く、暗所でも確認しやすいため便利だ。

同梱されているレンズフードは花型の「HB-103」。着脱は容易で、ロックボタンも備えた本格的な仕様だ。

本レンズは「Z TELECONVERTER TC-1.4」および「Z TELECONVERTER TC-2.0」に対応しており、焦点距離を1.4倍(560mm)あるいは2.0倍(800mm)に延長することが可能だ。他社のテレコンバーターと同様、装着時の開放F値はそれぞれ約1段、約2段分暗くなるため、その点は留意しておきたい。

作例

パワフルなVCM(ボイスコイル)がAF駆動モーターに採用されていないとはいえ、複数のフォーカス群に対して複数のAFモーターを配置。スムーズで精度の高いAFを体験できる。少なくとも作例のような旅客機の撮影において、ストレスを感じる場面はないだろう。

ニコン Z6III/NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S/400mm/シャッター優先AE(1/2,000秒、F5.6、±0.0EV)/ISO 280

今回はZ6 IIIとの組み合わせで使用した。レンズ側もボディの高い被写体認識機能と良好に連携するため、動物園での撮影でもストレスなく対応できた。VR(手ブレ補正機能)も良く効き、手持ち撮影でも手ブレが抑えられている。

ニコン Z6III/NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S/400mm/シャッター優先AE(1/1,000秒、F5.6、±0.0EV)/ISO 320

最短撮影距離はワイド端で0.75mと、同クラスのレンズのなかでもかなり短い部類に入る。ただし、この場合の最大撮影倍率は0.16倍にとどまるため、被写体を大きく写せるかといえばそこまでではないというのが正直なところ。とはいえ、不必要に長いワーキングディスタンスを取らずにすむ点は利点といってよい。

ニコン Z6III/NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S/100mm/シャッター優先AE(1/1,000秒、F4.5、+0.7EV)/ISO 720

一方、テレ端での最短撮影距離は0.98m。こちらも比較的短い部類になる。しかも最大撮影倍率はこの時最大の0.38倍となり、被写体を大きく写せることを実感できる。ワイド端とテレ端を上手く使い分けることで、さまざまな被写体に幅広く対応できるだろう。ネイチャー撮影などで便利な仕様だと思う。

ニコン Z6III/NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S/400mm/シャッター優先AE(1/1,000秒、F5.6、±0.0EV)/ISO 560

「Z TELECONVERTER TC-2.0」を装着することで、焦点距離は800mmへと拡大する。テレコンバーターを介しても、S-Lineらしい高画質を維持している点に注目したい。画質を諦めることなく特殊な焦点域での撮影を気軽に楽しめることに、カメラとレンズの進化を感じる。

ニコン Z6III/NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S+Z TC-2.0x/800mm/シャッター優先AE(1/2,000秒、F11、±0.0EV)/ISO 2200

まとめ

本レンズは新時代の超望遠ズームレンズとしてニコンが投入した、S-Lineに位置する高性能な1本である。描写性能はさすがに優れており、シャープでハイコントラストな画がズーム全域で安定して得られる。画質の良さが、テレコン装着時の画質低下を抑えることにもつながっているのだろう。

操作性も良好で、ズームにより鏡筒が伸長してもバランスが崩れにくく、Fnボタンやコントロールリングに好みの機能を割り当てられるなど、実用面での配慮も行き届いている。

Zシリーズのボディで超望遠の世界に踏み込みたいのであれば、本レンズは堅実な選択肢になり得るだろう。

撮影協力:多摩動物公園

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。