交換レンズレビュー

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD

短期集中連載:100-400mm級フルサイズ望遠ズームレンズ(5)

本レンズが発売されたのは2021年6月(ソニーEマウント用)。この焦点距離と開放F値の組み合わせからすると極限といえるまでの小型化を追求し、さらにタムロンならではの独自の仕様が盛り込まれている製品だ。

外観・仕様

最大径×長さはφ93×209.6mm(ソニーEマウント用)で、質量は約1,725g(三脚座除く)。近年発展の著しい超望遠ズームレンズのなかでは、特別に小型・軽量と感じにくいかもしれないが、500mmまでカバーし、なおかつ開放F値がF6.7であることを踏まえれば、評価できる数値と言えるだろう。

鏡筒をテレ端まで伸ばすと、このような姿となる。テレ端でも全長約283mmに収まっていることに注目してほしい。

リング類はレンズ先端からズームリング、フォーカスリングの順に配置され、その間にフォーカスレンジリミッター、フォーカスモードスイッチ、手ブレ補正スイッチ、手ブレ補正モードスイッチが並ぶ。

なお搭載されるスイッチ類は、ソニーE用、ニコンZマウント用、富士フイルムXマウント用でわずかに異なっている。

ズームレンズをワイド端で固定できるズームロックスイッチを備えているのは、タムロンらしいポイントだ。カメラバッグへの収納時や移動中に、鏡筒が不用意に伸びるのを防いでくれる。

また、ズームロックスイッチとは別に、本レンズならではのフレックスズームロック機構を搭載する。ズームリングをレンズ先端側にスライドさせることで、任意のズームポジションで瞬時にズーム位置をロックすることが可能だ。

同梱されているレンズフードは「HA057」。ロックボタンやフィルター操作窓は備えていないものの、大変取り外しやすい構造となっている。また先端には十分な保護用ラバーも装着されているため、フード先端の傷やひび割れを防いでくれる。

作例

リニアモーターフォーカス機構VXDを搭載しており、AFは非常に高速かつ高精度だ。ボディ側のAF性能に依存する部分もあるが、少なくともレンズ側のAF性能は極めて高速と言ってよい。意外に感じられるかもしれないが、並み居る超望遠ズームレンズのなかでも上位に感じるレベルだ。

ソニー α7 V/150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD/500mm/シャッター優先AE(1/2,000秒、F6.7、+1.3EV)/ISO 2000

ソニーEマウント用、ニコンZマウント用、富士フイルムXマウント用が用意されており、いずれもボディ側の被写体認識機能に問題なく対応している。動物園などで生き物を撮影する際も、ピントはカメラとレンズに任せ、構図と露出に専念できるため、実用性は高い。

ソニー α7 V/150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD/500mm/シャッター優先AE(1/500秒、F6.7、+0.7EV)/ISO 2000

ワイド端150mm時の最短撮影距離は0.6m。同クラスと比べても被写体に近づけるのがうれしい。ワイド端での最大撮影倍率は約0.32倍。ここまで寄れる望遠ズームレンズはそう多くはない。

ソニー α7 V/150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD/150mm/シャッター優先AE(1/500秒、F5、+0.3EV)/ISO 800

テレ端500mmでの最短撮影距離は1.8mで、最大撮影倍率は約0.27倍となる。ワイド端よりテレ端の方が撮影倍率が低くなるという珍しい超望遠ズームレンズではあるが、それでも1/4マクロを超える近接撮影能力を享受できる。ネイチャー撮影などでワーキングディスタンスを稼ぎたい場面でも、有効に働いてくれるだろう。

ソニー α7 V/150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD/500mm/シャッター優先AE(1/500秒、F6.7、+0.7EV)/ISO 800

まとめ

500mmまでをカバーする超望遠ズームレンズでありながら、実用的なサイズと重量に収められている。極端に開放絞りを暗くすることなく、それでも手持ちで超望遠撮影を楽しめるバランスの良さを成立させている点は秀逸と言えるだろう。

描写性能は全域で安定しており、超望遠らしい圧縮効果を活かした撮影を存分に楽しめる。さらに同スペックでは珍しいほど高い近接撮影能力も備えており、ネイチャーやテーブルフォトなど、思いのほかその活用範囲は幅広い。

AFはVXDにより高速かつ高精度で、動体撮影でも安心して任せられる。加えて各種ロック機構などの工夫も行き届いており、描写性能と機動性、操作性のバランスに優れた完成度の高い1本だ。

撮影協力:多摩動物公園

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。