イベントレポート
キーワードは“心・技・眼”。「写真甲子園2022」本戦開催中
使用機材は大会初のミラーレスカメラに
2022年7月28日 13:02
「写真甲子園2022」(第29回全国高等学校写真選手権大会)が、7月26日に始まった。会場は北海道上川郡東川町および近隣地域。本稿では、“3年ぶり”のリアル開催となった高校生たちの戦いの様子をお届けする。
写真甲子園は、第1回の1994年から今年で29回を数える伝統のある大会。全国の高校写真部やサークルを対象に、“写真日本一”を競う。直近の過去2大会は新型コロナウイルス感染症拡大の影響でWeb中心での開催となったが、今年は3年ぶりに北の大地での開催となった。
写真甲子園はキヤノンおよびキヤノンマーケティングジャパンが特別協賛。各チームが同じ機材、条件のもと撮影を実施する。今大会の貸し出しカメラは、35mmフルサイズミラーレスカメラの「EOS RP」。大会の長い歴史の中ではじめて、ミラーレスカメラが使用されたという点でも特徴的な出来事となった。共通使用機材は以下のとおり。
・EOS RP
・RF24-105mm F4-7.1 IS STM
・RF24-240mm F4-6.3 IS USM
・RF35mm F1.8 MACRO IS STM
・スピードライト430EX III-RT
本大会への道のり。過去最高のエントリー数
本大会に参加するのは、全国11ブロックの「ブロック予選会」を勝ち抜いた18校(内1校欠場)。参加校のリストは以下の記事を参照されたい。
2022年2月よりエントリーが開始され、5月に各ブロック審査会への予選となる「初戦審査会」が実施。それを勝ち抜いた80校がブロック審査会へと進んだ。エントリー総数は533校で、過去最高となったという。
ブロック審査会は6月に実施。ビデオ会議システムなどを通じて、1校ずつ、選手たちが審査員に向けて作品を発表する形式で行われた。規定枠16校と、ブロック審査会に進んだすべての学校から選抜された2校が、晴れて本大会への切符を勝ち取った。
厳しい大会日程。撮影・セレクトを短時間で
本大会は7月26日~7月29日の4日間にかけて行われる。競技はファーストステージとファイナルステージの2部制。ファーストは2会場、ファイナルは4会場(予定)で撮影をこなし、各ステージで審査会を実施(計2回)。その合計ポイントで優勝を決める。1チームは3人構成で、作品として8枚の組写真を作る。
撮影会場は東川町・美瑛町・上富良野町・東神楽町・旭川市がメイン。どういったコースが撮影会場となるのかは、公平を期すため、撮影日前日に全校に発表される。
27日は上富良野町・美瑛町が撮影会場に
ファーストステージ(27日)の最初の撮影地は、上富良野町の“ジェットコースターの路”周辺。選手たちは会場を巡回バスで巡りながら、作品撮りを進めていく。
写真甲子園の特徴のひとつは、選手が自ら町の人たちに撮影交渉を行う点にある。今大会でもそうしたシーンが多く見られた。なお、競技は選手たち(生徒)が主体となって作戦をたて、撮影をしていくことが求められており、引率する監督(先生)らがアドバイスを送ることはできない。
撮影は2時間で、時間内にメディアを提出する必要がある。この時間に遅れると審査時に減点となるため、選手たちの作戦がとても重要になってくる。
2時間で組む厳しさ。セレクト会議
ファースト/ファイナルの各ステージで、撮影を終えたら選手たちは「セレクト会議」を行う。制限時間は2時間で、審査会に持ち込む8枚の写真を組む。朝早くから撮影をこなす選手たち。体力的に厳しくなってくる時間に、さらに頭をひねる必要があるのだ。じっくり作品を準備する時間がある予選と比べて、ここが本大会の“難しいポイント”になってくる。
作品はレタッチ禁止。キヤノンのインクジェットプリンター「PIXUS PRO-S1」で写真をプリントしてセレクトしていく。必要に応じて監督がアドバイスできる20分間の「テクニカルタイム」が用意されている。
勝負が決するのは29日
28日から29日にかけてファイナルステージが展開。29日に最後のセレクト会議と審査会を経て、優勝校が決定する。
選手たちは朝から撮影を開始し、その疲れた体で8枚の写真を組み、審査会では審査員に向けて作品をアピールする。体力・精神力いずれも高いレベルを求められる大会となっている。選手たちも、昨今の情勢により多くの制限を課せられてきた世代であり、今大会はようやく巡ってきたチャンスの場だ。高校生の熱い夏を、最後まで見届けたい。