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Inter BEE 2022会場レポート(カメラ・レンズ・三脚編):EOS R6 Mark IIやα7R V、LAOWAの防水マクロレンズなど。マルミの超撥水シートも

プロ向け映像/音響機器の展示会「Inter BEE 2022」(国際放送機器展)が11月16日〜11月18日に幕張メッセで開催された。主催は電子情報技術産業協会(JEITA)。この前編では新しいカメラやレンズ、三脚などを紹介する。後編ではアクセサリー、照明、音声関連アイテムを掲載する予定だ。

会場の様子。多くの来場者で賑わっていた

なお、12月23日までオンライン会場がオープンしている。

EOS R6 Mark IIやRF135mm F1.8 L IS USM(キヤノン)

キヤノンは、12月中旬発売のミラーレスカメラ「EOS R6 Mark II」を展示。ブースではリグを組んだ状態の実機も用意し、業務利用を想定した提案を行った。

6Kオーバーサンプリングによる4K動画撮影に対応する。これまでよりも発熱に強くなり、4K30pであれば6時間までの連続撮影が可能だという。録画開始前の最大5秒間を記録できるプレ記録も搭載していることから、動物撮影や報道など分野での活用も見込んでいる。

2023年1月下旬発売の新レンズ「RF135mm F1.8 L IS USM」と、2023年3月発売のストロボ「スピードライトEL-5」も試すことができた。

また、180度を立体撮影可能な「RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE」を装着したカメラ4台による360度の立体VR映像のデモも人気だった。

発売前のα7R Vを展示(ソニー)

11月25日発売のミラーレスカメラ「α7R V」がハンズオンコーナーにあった。イベントでは初めての展示となる。8K動画に対応しており、4K制作の際に解像度の余裕を持って撮影できるのがメリットという。

また、上位モデル「α1」と同じ熱対策がしてあり、4K撮影時であればストップは起こりにくいとのこと。AI技術の採用で向上したAF性能に対して、動画制作業界からすでに引き合いが来ているそうだ。

またEマウントのシネマカメラ「FX30」も10月発売の新製品。APS-Cサイズのセンサーにすることで、35mmフルサイズ機の「FX3」から大幅に価格がダウンした。形状がFX3と同じため、アクセサリーが共通で使え点も訴求する。撮影対象によっては被写界深度の深いFX30が向いているケースがあり、そうした分野にもアピールしていくという。

リモートグリップMC-N10でハイレゾズーム(ニコン)

ニコンブースでは12月2日に発売する「リモートグリップMC-N10」のデモを行っていた。USBケーブルでカメラと接続することで、手元でボディ同様の操作が可能。動画向けとしてダイヤルをクリックレスにしている。

「Z 9」と組み合わせた展示があり、ファームウェアVer.3.00の「ハイレゾズーム」機能をグリップから操作できた。滑らかなズーミングを実現しており、単焦点レンズをズームレンズのように利用できるメリットがあると説明していた。

防水マクロレンズや大口径レンズなど(サイトロンジャパン)

サイトロンジャパンは春に発売されたLAOWAのマクロレンズ「24mm T14 2X Periprobe」を展示していた。35mmフルサイズ対応の広角マクロレンズ。従来、ストレートタイプがラインナップされていたが、本モデルは先端が90度曲がっており、地面の高さから植物を撮影したり、先端部分が防水のため水中に差し込んで生物を撮るといったことが可能。NHKでも使われているという。

先端部分

各社のマウントに対応し、価格は税込44万円前後で受注生産となる。USB給電で先端のLEDライトを発光させることができる。レボルビング機能があり、レンズの向きは360度変えられる。フォーカスはマニュアル。

またミラーレスカメラ用のレンズ2本を参考出品していた。「Argus 18mm F0.95 MFT APO」(マイクロフォーサーズ用)と「Argus 25mm F0.95 CF APO」(ソニーE)。価格や発売時期は未定。いずれも開放F0.95という大口径のシリーズ。各社のマウントが展開される予定だという。

Argus 18mm F0.95 MFT APO
Argus 25mm F0.95 CF APO

クラファン中のミラーレンズ(ケンコー・トキナー)

Makuakeで実施中のプロジェクト「APS-Cミラーレスカメラ用小型超望遠MFレンズ3本」の現物が展示してあった。一般販売は2023年2月。

いずれも、超望遠ながら小型化できるのが特長のミラーレンズ。「SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF」「SZ 600mmPRO Reflex F8 MF CF」「SZ 900mmPRO Reflex F11 MF CF」の3本が用意される。中でも、特に小さい300mmの反響が大きいそうだ。

SZ 300mmPRO Reflex F7.1 MF CF

様々な前ボケを作れるフィルターシステム「レンズベビーOMNI」の新アクセサリー「OMNIユニバーサルエクスパンションパック」のデモが行われていた。発売は10月で、価格は税込1万2,760円。使用にはベースとなるユニットが必要。

新パックでは板状のパーツが含まれており、ミラーの効果で別の場所を写し込む多重露光のような表現ができるとのこと。穴の空いたプレートは被写体を透かして撮影することができる。レンズベビーOMNIはこうした展示会で映像制作者に受けが良く、継続してアピールしているそうだ。

トップガン マーヴェリック向けの特別レンズ(シグマ)

シグマのブースでは、映画「トップガン マーヴェリック」の撮影のために特別に作られたシネレンズを初展示していた。

映画制作者側からの要望で、レンズデータが取得できる「/i Technology」に対応させたモデル。当時、同社のレンズは/i Technologyに対応していなかったが、これを機に/i TechnologyをPLマウントレンズに実装することができた。

この特別仕様のレンズは4セット作られ、3セットが撮影に使われた。展示されているのは同社が保管している残りの1セットで、実際の撮影には使用されていない。

モスアイ構造の超撥水シート(マルミ光機)

マルミ光機は「超撥水レンズ保護シート」を参考出品していた。微細な凹凸を設けたモスアイ構造により、高い撥水性を持たせたシート。製品化は未定。

シートを水平にして水を掛けると玉になって動き、ほとんど表面に付着しない。そのため、シートを立てた状態では水は下に落ちていく。今後どのようにフィルターに実装するかを検討していくという。

水を掛けての比較

その他の特徴として、モスアイ構造により屈折率が連続的に変化するため約0.3%という低反射を実現した。加えて、曇りにくい性質も持ち合わせている。

BENROの動画対応三脚(VANLINKS)

VANLINKSのブースではBENROの三脚「CB259CFK」が展示されていた。2023年1月に発売予定で、価格は未定。写真と動画の双方に対応したハイブリッド雲台を搭載する。

パイプは5段式のカーボン製。雲台は比較的小型で、ミラーレスカメラを載せてのデモが行われていた。ペイロードは4.5kgまで。本体の重量は1.03kg。2段のセンターポールを備えている。なお、パイプがアルミ製のタイプも併せてラインナップする。

ミラーレス向け動画三脚にカーボン版(平和精機工業)

平和精機工業はリーベックブランドの三脚「HS-150」シリーズのパイプをこれまでのアルミからカーボンに変更した新モデル「HS-150C」(グランドスプレッダータイプ)、「HS-150MC」(ミッドスプレッダータイプ)を11月に発売する。価格はいずれも税込15万4,000円。

当該モデルは手前側の2つ

カーボンパイプを使うことで、アルミパイプ品に比べて2割(1.2kg)ほどの軽量化を実現した。価格は1万円アップとなる。HS-150シリーズは、ミラーレスカメラなど比較的軽量なカメラでもカウンターバランスが取れるのが特徴。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。