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Inter BEE 2022会場レポート(アクセサリー・照明・音声編):組立が簡単なリグやロングタイプのLEDライト。新型スイッチャーも

プロ向け映像/音響機器の展示会「Inter BEE 2022」(国際放送機器展)が11月16日〜11月18日に幕張メッセで開催された。主催は電子情報技術産業協会(JEITA)。前編に引き続き、後編ではアクセサリー、照明、音声関連アイテムを掲載する。

会場の様子。各ブースのセミナーも盛況だった

なお、12月23日までオンライン会場がオープンしている。

クイックリリース式のリグ(イメージビジョン)

イメージビジョンのブースでは「FALCAM」のケージシステムを展示していた。動画撮影に適した構成にするいわゆるリグのシステム。11月下旬に発売する。

各パーツがクイックリリースによって着脱できるのが特徴。ネジを回して固定する必要が無いため、撮影現場で迅速な組み立てができるとしている。持ってみたところがたつきは無く、ネジ式と遜色がない印象を受けた。

ベースとなるケージは、カメラ各社の専用品をラインナップする。税込価格は1万1,630円~1万7,900円。そのほかハンドル、グリップ、ボールヘッド、アームなど約70のパーツが用意される。

腕にも巻ける小型LEDライトや動画編集向けヘッドホン(銀一)

Spekularの小型LEDライト「KYU-6」シリーズが展示されていた。LEDが1列に並んだライトで、充電式の内蔵バッテリーで動作する。RGBタイプとバイカラータイプがあり、税込価格はいずれも9,240円。11月に発売する。

背面にマグネットが付いているほか、別売のアダプターでカメラに装着することもでき、自撮りなどの用途にも向ける。また、リストバンドのように手首に巻くことも可能。

Frioの新製品として「Frio Grasp Bigi」というクランプを展示。素早く締め込めるハンドルやハンドル部分を設置させるとミニ三脚になる点を特徴とする。税込価格は1万4,740円。同ブランドのシューマウント「Frio Hold」との組み合わせをアピールした。

シューマウント「Frio Hold」

マイクメーカーのRODEからはモニターヘッドホン「NTH-100」が登場した。イヤーカップ部分を大きくしたり、アルカンターラのパッドを採用するなど、動画編集などで長時間装着しても快適な作りにしたという。

ヘッドバンドを確実に固定できる機構や、左右どちらからでもケーブルを出せるシステムなどで使い勝手を高めた。税込価格は2万5,850円。

180cmのLEDライトやモニター内蔵スイッチャー(KPI)

ケンコープロフェショナルイメージング(KPI)ブースでは、Godoxの棒状LEDライトで、従来よりも長い「TL120」と「TL180」が展示してあった。長さは前者が1,170mm、後者が1,800mmとなっている。価格は未定。TL120は2023年1月に発売する。TL180の発売時期は未定。

いずれもマルチカラーおよびバイカラーでの発光が可能。バッテリーを内蔵するほか、AC駆動もできる。スマートフォンアプリからのコントロールにも対応しており、映像に映り込ませる演出用途としても訴求していた。

またFEELWORLDのスイッチャー「L2 PLUS」を参考展示していた。価格と発売時期は未定。HDMI4入力のスイッチャーで、従来品よりも大きな5.5型モニター(タッチパネル式)を内蔵する。そのため、外部モニター無しでも映像が確認できる。HDMIのほか、USBでの映像出力にも対応している

手持ちもできるモノブロックLEDライト(アガイ商事)

アガイ商事は AptureのバイカラーLEDライト「amaran COB 60x」を展示。従来モデルよりも出力を下げて小型化を図ったモデル。別売のグリップを付けて手持ちでの使用も想定されている。今年発売されたモデルで、税込価格は3万5,970円。

重量は675g。ボーエンズマウントのアクセサリーを装着できる。ACアダプターのほか、VマウントバッテリーとNP-Fバッテリーに対応している。

同じく新製品では任意の色を流れるように動かせるライト「MT Pro」のデモがあった。最近ではミュージックビデオなどでこうしたライトを映し込む例が増えているとのこと。バッテリーは内蔵式。税込価格は3万9,600円。

デジカメが繋がるWeb会議向けドック(ローランド)

ローランドは春に発売したWebプレゼンテーション・ドック「UVC-02」のデモを行っていた。HDMIキャプチャ機能を備えたオーディオインターフェースで、ミラーレスカメラなどを使ったWeb会議やプレゼンテーションに向ける。店頭予想価格は税込4万6,200円。

マイクは別売で、ファンタム電源が必要なプロ向けマイクの接続にも対応している。ミュートなどを手元で操作できるほか、PowerPointのページ送り操作も可能となっている。

小型で簡単に使えるワイヤレスマイク(VANLINKS)

VANLINKSが扱うマイクブランドのCOMICAは、ワイヤレスマイク「Vino C」を展示。2023年1月下旬に発売する。価格は未定だが2万円以内という。送信機2台、受信機1台がセットになっており、カメラに2人の音声を収録できる。

送受信機とも小型になっているのが特長。ケースがバッテリー内蔵の充電器になっており、底面にUSB端子がある。送受信機はケースに出し入れすると自動的に電源のON/OFFが行われ、すぐに収録できるようになっている。

前後の音を拾えるオンカメラマイク(DEITY)

DEITYのブースではオンカメラマイク「D4 DUO」が比較的新しい製品となっていた。本体の前後にマイクカプセルがあり、被写体と撮影者の両方の音声を同時に収録できる。税込価格は8,000円前後。

加えて、本体の外部マイク端子にラベリアマイクマイクを装着すると、離れた場所の被写体の声と自分の声を併せて収録することが可能になる。ショックマウントとウィンドスクリーンが付属する。

キャリブレーションセンサー内蔵の4Kディスプレイ(EIZO)

EIZOは、グラフィック向けディスプレイの新モデル「ColorEdge CG2700X」を展示していた。9月20日に発売されたもので、価格は税込36万3,000円。4K対応の27型タイプで、キャリブレーションを自動で行えるセンサーを内蔵している。

USB Type-CでノートPCと接続すると、映像の受信とPCへの給電が同時に行える。Adobe RGBカバー率は98%となっている。

高速転送が可能なタフネスSSD(ウエスタンデジタル)

ウエスタンデジタルは、サンディスクプロフェッショナルのポータブルSSD「PRO-G40 SSD」を展示していた。11月の発売で、税込価格は容量1TBが約6万円、2TBが約9万円。

Thunderbolt 3とUSB Type-Cに対応したSSD。Thunderbolt 3接続時は最大2,700MB/sの読み出しと、1,900MB/sの書き込みを実現した高速モデル。防塵防水、3mからの落下耐性などを備える。

iPad向けの動画編集アプリ(Blackmagic Design)

Blackmagic Designは、iPad向けの動画編集アプリ「DaVinci Resolve for iPad」のデモを行っていた。年内のリリースを予定している。価格は無償だが、アプリ内購入(価格未定)で機能が拡張される。

PC用のプロ向け動画編集ソフト「DaVinci Resolve」シリーズのiPad版で、12.9型iPad Pro向けに最適化した。タイムラインでの編集を行う「カットページ」と色調整を行う「カラーページ」の2つの画面を備えている。画面はPC版に近いレイアウトとなっている。

カットページ

プロジェクトファイルはPC版と互換性があり、Blackmagic Cloudを使えば複数人で共同の作業も可能。

指でも操作できるが、Apple Pencilを使えばペン先を浮かせた状態での機能選択などが可能。また既存のコントローラー「Speed Editor」も接続可能となっている(Bluetooth接続のみ)。

アプリ内購入をすると、被写体を簡単にマスクできるマジックマスク機能や、フィルムグレインの追加などの機能が利用可能になる。

カラーページでマジックマスクを適用したところ

将来的には、合成を行う「フュージョン」や音声編集を行う「フェアライト」といったPC版に存在するページも追加予定という。

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次回の「Inter BEE 2023」は、2023年11月15日~17日に幕張メッセで開催されることが決まっている。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。