イベントレポート

Inter BEE 2021会場レポート(音声編):GODOXのワイヤレスマイクが参考出品。ステレオ/モノラルをミックスできるオンカメラマイクや、BGMストックサイトの出展も

前編の映像編に引き続き、プロ向け映像/音声機材の展示会「Inter BEE 2021」(国際放送機器展。11月17日〜11月19日に幕張メッセで開催)の会場レポート後編として、個人クリエイターのもとで活躍しそうな音声関連アイテムを紹介する。なお、オンライン会場は12月17日まで開いている。

会場の様子。来場者数は3日間で1万8,308名(重複なし)と発表された。

ミラーレスカメラで高画質な動画を手軽に撮影できるようになったことで、音声もきれいに収録したいというニーズが増えているようだ。そうした状況を受けてか、従来よりも低コストで録音をサポートするマイクなどが数多く見られ、来場者の関心を集めていた。

ステレオ/モノラルのミックスができるマイク(アツデン)

アツデンは、珍しいタイプのマイク「SMX-30V」を展示していた。発売済みで価格は税込4万1,800円。

超指向性のモノラルマイクと、単一指向性のステレオマイクを組み合わせたのが特徴。モノラルマイクとステレオマイクのミックスをダイヤルで無段階に調整できる(モノラルマイクのみ/ステレオマイクのみとしても使える)。カメラが向いている方向の音をモノラルマイクで明瞭に録りながら、周囲の環境音をステレオで加えられる。

臨場感のある音になるが、これを一般的なマイクで実現しようとすると計3チャンネルが必要になるためカメラだけでは録れず、従来は別途音声レコーダーが必要だったとのこと。

マイクの電源はカメラの電源に連動させることも可能となっている。電源は単3電池×2本。

小型のショットガンマイク(ゼンハイザー)

ゼンハイザーは、オンカメラで使える小型のショットガンマイク「MKE 400」(MKE 400-II)を参考出品していた。発売は未定。

話し声などを高音質に録音できるという製品。発売済みの下位モデル「MKE 200」と同様に、ウィンドプロテクションとその内部にショックアブソーバーを搭載している。多くのオンカメラマイクのようにショックアブソーバーが露出していないので、バッグの中で変型してしまうといったトラブルが防げるとのこと。

マイク本体にヘッドホン出力を備えている。4極コネクタのケーブルも付属し、スマートフォンなどでも使用できる。

動画配信などに向けた卓上マイク(シュア)

シュアでは、同社の代表的なナレーション用マイク「SM7B」にインスパイアされたという下位モデルのマイク「MV7」を展示していた。発売済みで、価格は税込3万5,000円前後。

マイクカートリッジ、集音パターン、ショックマウントの適切な組み合わせで、部屋のバックグラウンドノイズを低減できるというモデル。アナログ出力の他にUSB端子もあり、PCに直接入力することも可能。特徴的なデザインも人気の理由だそうだ。

動画配信や動画に後からナレーションを入れるアフレコに使いやすいとのことで、無償提供されるソフトを使うと録音レベルを一定に保つといったこともできる。

「MV88+STEREO USB MICROPHONE」は、ステレオとモノラルを切り替えて使える多目的マイク。9月に発売した新モデルで、価格は税込2万6,000円前後。

小型でUSB出力専用のモデル。声以外にも楽器の録音にも適するという。本体にヘッドホン出力も搭載する。先のMV7同様に、ソフト上でオートレベルなどの機能が使える。

録音機能付きワイヤレスマイク(VANLINKS)

VANLINKSは中国COMICAのワイヤレスマイク「BOOMX-D PRO」を展示していた。12月に税込3万2,780円で発売する。

2.4GHzのデジタル方式を採用した送信機と受信機のセット。送信機は2台付いており、2波を同時に録音できる。電波干渉があると自動的に別チャンネルに切り替える機能も備える。

さらに、送信機には8GBのメモリーを内蔵しておりバックアップの録音が可能。内蔵マイクの他、付属のラベリアマイクも利用できる。バッテリーは内蔵で、USBで充電する。ホワイトのカラーも用意する。

また、同じCOMICAの変わった機構を持つオンカメラマイク「Traxshot」も展示があった。発売済みで価格は税込2万1,450円。

可動する単一指向性マイクを2つ搭載したステレオマイク。前に揃えるとショットガンマイク的に使えるほか、30度と90度に広げてステレオ感を調整できる。また、一方を手前に持ってくることで撮影者の声も収録するといった使い方も可能だ。

外装はフルメタル素材で堅牢性を高めた。本体のダイヤルで録音レベルを調整可能。電源は内蔵バッテリー式。

GODOXブランドのワイヤレスマイクがお披露目(KPI)

ケンコープロフェショナルイメージング(KPI)では、ストロボやLED照明で知られる中国GODOXのワイヤレスマイク「Movelink M2」を展示していた。参考出品で、発売は未定。

2.4GHzのデジタル帯域を使ったマイク。送信機が2台セットになっており、同時に2人の声を収録できる。送信機本体にはマイクを内蔵している。特徴としてケースにUSB端子があり、3台同時に充電できるシステムとなっている。録音機能は非搭載。

また、同じブース内ではケンコー・トキナーが新たに取扱を始めた中国MIRFAK Audioのマイクも展示していた。このメーカーはジンバルのMOZAを手がけてる会社のブランドとのこと。特徴的なものを3機種取り上げる。

※11月24日15時追記:記事初出時「KPIが新たに取扱を始めた中国MIRFAK Audio」と記載していましたが、正しくはケンコー・トキナーの取り扱いだったため、該当部分を修正しました。

「N4」は両端にマイクを装備した双指向性型のショットガンマイク。発売時期は未定だが、税別6,000円前後という。録音方向は、フロントのみ/バックのみ/両方の3つから選べる。自分でしゃべりながらインタビューを録画したり、複数人の声の収録にも対応するという。電源は不要。スマホでも使用可能。

「WE10 Pro」は2.4GHzのデジタルワイヤレスマイク。発売済みで価格は税込2万2,000円前後。送信機が2台セットになっている。送信機には内蔵マイクを備えるほか、microSDカードにバックアップ録音ができる。ラベリアマイクも付属する。電源はUSBによる充電式。

「TU10」はUSBゲーミングマイクロフォンと銘打っており、RGBライトなどを備えている。発売日と価格は未定。音の面では指向性を双方向、全方向、カーディオイド、ステレオの4つから選べるのが特徴で、ナレーションや音楽の収録にも適するとしている。また96kHz/24bitの音質で、同クラスの中では高い音質とのことだ。

2つのマイクが使えるオーディオインターフェース(銀一)

銀一はRODE MICROPHONES(オーストラリア)の新製品として、小型オーディオインターフェース「AI-Micro」を展示していた。PCやスマホに2つまでのマイクを繋いで高音質に録音できるという機器。発売済みで価格は税込1万3,200円。

本体は20g未満と軽量で、3.5mmプラグ出力マイクのほぼ全てに対応しているという。3極または4極の端子を自動で検出する。遅延の無いヘッドホン端子を備えるほか、アプリでの音質調整にも対応している。

これまで銀一では、RODE製品のうちビデオ向けのマイクのみを扱ってきたが、このほど音楽向けのマイクについても国内総代理店になった。音質で特に有利とされるラージダイアフラムタイプのコンデンサーマイクなどをラインナップする。

一例として「NT1 + AI-1 Complete Studio Kit」(税込5万8,850円)は、マイクとマイクをPCに接続するためのオーディオインターフェース、ショックマウント、ポップガードがセットになったパッケージ。マイクのNT1は、大口径の1インチダイアフラムを採用している。銀一が扱うRODE製品は保証期間が長いのも特徴で、このマイクも10年保証(要登録)となっている。

国内最大級のBGMストックサイト(オーディオストック)

動画で使える音楽や効果音のダウンロードサービス「Audiostock」が出展していた。テレビや広告、YouTubeといった商用利用でも著作権について問題無く使えるという音源が75万点以上登録されている。

単体購入だとBGMが1曲1,100円(税込)から。サブスクリプションタイプもあり、例えば個人向けだと1日100点までダウンロードできる「スタンダードプラン」が月額2,200円(税込)となっている。

同社が国内企業であり、クリエイターとも直接契約しているなど、安心して使える点も訴求していた。検索機能も充実しており、例えば「インタビュー」で探すとそうしたシーンに合った曲が出てくるとのこと。

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1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。