OLYMPUS AIRの進化を探れ!

第1回:“オープンプラットフォーム”で未来のカメラを模索

誕生の秘密と、広がる開発活動

オリンパスの「OLYMPUS AIR A01」は、独特のスタイリングを持つデジタルカメラだ。スマートフォンと連携することで“カメラ”の形にとらわれず、新しい撮影スタイルを実現するデバイスとなっている。

2015年春の発売から約1年が経過したOLYMPUS AIRは、「オープンプラットフォームカメラ」という一貫したコンセプトから、様々な展開を見せている。今回は、筆者を含む3名による連載で、OLYMPUS AIR A01の魅力と可能性に迫っていく。

レンズのような外観

まずOLYMPUS AIR A01のハードウェアについておさらいしよう。一眼レフカメラの交換レンズのような円筒型のスタイルで、“レンズ型カメラ”とも言える出で立ちだ。一見して普通のデジタルカメラらしくはないが、有効1,605万画素のマイクロフォーサーズセンサーを搭載する、れっきとしたミラーレスカメラである。

OLYMPUS AIR A01。56.9×57.1×43.6mm、146gというサイズ感。

本体の構成は非常にシンプルで、レンズマウントとイメージセンサー以外には、シャッターボタン、電源ボタン、microSDカードスロット、microUSB端子といった装備。液晶ディスプレイや光学ファインダーを持たずに、撮影時の映像はスマートフォンのアプリで確認するスタイルとなる。スマートフォンとの接続には、Bluetoothと無線LANを利用する。

スマートフォンとの連携例。写真データをSNSなどに簡単に共有できる。

本体背面には、スマートフォン用のマウントを装備。ここにスマートフォンを固定することで、一般的なカメラに近い撮影スタイルも可能だ。ただ実際に使っていると、片手にOLYMPUS AIR、片手にスマートフォンを持ち、AIR A01を持つ手を伸ばしながらフリーアングルで撮影した方が、一般的なカメラと違った構図になり面白い。

スマートフォンをマウントした様子

OLYMPUS AIR A01と連携するためのスマートフォン用アプリは、オリンパスから8種類が用意されており、それぞれiOS用、Android OS用がある。これらのアプリケーションを駆使することで、いろいろな撮影スタイルを楽しむことができる。

アプリを起動すると、Bluetooth経由でOLYMPUS AIRの電源がリモートでオンになり、無線LAN接続が確立した時点で使用可能となる。例えば、鞄にOLYMPUS AIRを入れたままでも、「OA.Viewer」アプリを起動するとOLYMPUS AIRに保存されている写真を閲覧・転送することが可能だ。

アプリ「OA.Central」は基本となるアプリ。簡単な撮影や設定メニュー、リモートでの電源オフなどの機能を搭載。
アプリ「OA.Viewer」は撮影データの閲覧アプリ。スマートフォンへの転送機能を持つ。
アプリ「OA.ModeDial」は、露出、絞り、ISO感度など、各種設定をして撮影が可能。

基本的な撮影機能に関しては、以下の記事を参照願いたい。

「OLYMPUS AIR A01」誕生の秘密と、そのねらい

その“レンズ型カメラ”のような独特なスタイリングが注目されがちなOLYMPUS AIRではあるが、実は「新しいコンセプトを実現するスタイル」として採用されたのがこの外観だった。

OLYMPUS AIR A01の誕生は、発売3年前の2012年に遡る。オリンパスとMIT Media Labによる「未来のカメラに関するワークショップ」が行われ、その中で生まれたコンセプトが、ユーザーがパーツを自由に組み合わせてUX(User Experience。ユーザー体験)を作りこめるイメージング・プラットフォームだった。

つまり、撮像素子を持ったカメラ本体をオープンプラットフォームとすることで、レンズ、アクセサリー、表示モジュール、アプリケーションを、デベロッパーやユーザーが自由に開発できる環境を提供し、商品化が可能となるというわけだ。

そして、OLYMPUS AIRが一般発売される前から、ソフトウェア開発キット(SDK)や、ボディ外観の3Dデータが公開されるという、デジタルカメラ新製品としては異例のリリースが続いた。また、発売前からプロトタイプテスターを募集し、デベロッパーやユーザー向けのイベントが開催され、オープンプラットフォームでの開発を促す活動が行われた。

発売後も開発コミュニティの活動は盛んに行われ、様々な周辺機器やアプリが公開されている。この活動の様子は、「OPC Hack & Make」にて紹介されている。

公開されているもので代表的な一例を挙げると、「AIR FLOW」は、ブロックを組み合わせるだけで、誰でも簡単に色々な撮影方法をプログラムすることができるiOS用アプリケーションだ。また「DIY CAMERA KIT for OLYMPUS AIR by YURI SUZUKI」では、段ボールの展開図を組み立て、様々な撮影スタイルを作り出すことができるキットとなっている。

その他、具体的な活用事例を紹介する(写真提供:オリンパス)。

OPCのドローン搭載。リモコンでシャッターを切って高画質撮影
ウェアラブルデバイスで、OPCをコントロール
段ボールで自由にカメラをデザインできるTool Kit
ロボットに一緒に自分撮りしてもらう「pepperセルフィ」(制作:IMJすまのべ!/株式会社アイ・エム・ジェイ)
メイカソンで生まれ、3Dプリンターで出力したファッションアイテム
3Dプリンタで作成したパーツでレゴのラジコンに組み込む

実際に筆者も、2015年7月に開催された開発者向けのイベント「第4回OPC Hack & Make Gathering」に参加した。そのイベントで発表されたApple Watchとの連携アプリを利用した記事があるので、以下を参照してほしい。

Apple Watchとの連携例。「Apple Watchを外付けファインダーにしてみた」より

OLYMPUS AIRは、オープンプラットフォームカメラというコンセプトにより、様々な周辺機器やアプリの開発に、いろいろな業種のデザイナーやプログラマーが参加。これにより、従来のカメラでは実現できなかった広がりを見せている。新しい人材交流で新しい発想のカメラの活用方法が生み出されているわけだ。

幅広いユーザーに向けた新プロジェクト

現在、OLYMPUS AIRのプラットフォームはさらに新しい進化を遂げようとしている。それは、オープンプラットフォームのアイデアを、特定ジャンルのユーザーが活用しやすいようにアプローチする試みである。

従来のカメラを活用できなかったシーンでも、オープンプラットフォームだから実現できる世界がある。そんな具体的な利用シーンをユーザーに提供することで、カメラの新しい可能性を模索する試みが行われている。

まずはアウトドアユーザー向けのプロジェクトだ。アウトドアユーザーは、荷物の軽量化のため、なるべく軽いカメラを利用したいニーズがあるが、綺麗な写真を撮りたいという希望も多くある。そんなアウトドアユーザーがOLYMPUS AIR A01を活用しやすいアクセサリーの開発プロジェクトがスタートしている。詳しくは以下の記事を参照してほしい。

また、女性ユーザーをターゲットとした取り組みも始まっている。女性が自撮りをしやすいスタイルを追求する「NEXT SELFIE PROJECT」だ。撮影用アプリとスマートフォンのマウントパーツを新たに設計することで、OLYMPUS AIR A01を自撮りに特化したカメラに変身させるプロジェクトだ。タレントでプログラマーの池澤あやかさんが中心に進めている。

NEXT SELFIE PROJECTのイメージ

このようにOLYMPUS AIR A01は、オープンプラットフォームという特徴を活かし、今までのデジタルカメラでは実現できなかった新しいジャンルのユーザーへ提案できるカメラとして進化を続けている。

筆者の活用例

さて、自分でプログラムや周辺機器を作るのは難しくても、デベロッパーが提供する製品を活用することで、ユニークな使い方が可能だ。筆者はTurtlebackの「Olympus Air ブラケット iPhone 5/5s用」を利用して、OLYMPUS AIR A01とiPhoneを合体させることでデジタルカメラのようなスタイルを楽しんでいる。

iPhone 5/5s用ブラケットの使用例。ペンF用レンズ「G.Zuiko Auto-S 40mm F1.4」を装着

また、マイクロフォーサーズカメラである点を活かして、オールドレンズと組み合わせた撮影も楽しんでいる。特に小型のシネレンズやレンジファインダーカメラ用のレンズを装着するとスタイリッシュ。OLYMPUS AIR A01は手ブレ補正機構を持たないが、片手でホールドしやすい形状のため、マニュアル撮影でも手ブレを抑えることが可能だ。筆者のオールドレンズ活用例は「オールドレンズで使うOLYMPUS AIR A01」で紹介した。

オールドレンズの撮影例
G.Zuiko Auto-S 40mm F1.4(PEN Fマウント)
Kodak Cine Ektar II 25mm F1.9(Cマウント)
PENTAX-110 18mm F2.8(110マウント)
Auto-Takumar 55mm F2(M42マウント)

オープンプラットフォームで未来の姿を目指すカメラ

OLYMPUS AIR A01は、オリンパスのWeb直販のみで売られており、体験できるのは東京と大阪のオリンパスプラザのみ。購入前に実機に触れる機会は少ない。

しかし、2月25日(木)〜2月28日(日)には、パシフィコ横浜で開催される「CP+2016」のオリンパスブースでもOLYMPUS AIRの実機に触れるとのことだ。

ぜひ、実機の体験を通じてオープンプラットフォームカメラの楽しさに触れ、ユーザーそれぞれの発想で新しい使い方を模索してほしい。そうして未来のカメラの形につながる可能性を秘めているのが、ユーザーも参加できる「オープンプラットフォームカメラ」の魅力だ。

次回以降は、そんなOLYMPUS AIRと組み合わせて楽しめるアプリやアイテムについて詳しく紹介する。

制作協力:オリンパス

伊藤浩一

モバイル情報ブロガー、ITライター。ブログ「伊藤浩一のWindows Phone応援団(旧W-ZERO3応援団)」やIT系WEB連載にてモバイル端末などのレビューを執筆。カメラは、ソニーα7を中心にオールドレンズの活用をしている。