特別企画

オールドレンズで使うOLYMPUS AIR A01

意外にも高い親和性 小型のレンズがよく似合う!

「OLYMPUS AIR A01」とライカSummicron 5cm F2

今回、デジカメ Watchに初めて寄稿させていただく。普段、モバイル情報ブロガー、ITライターとして、IT系WEBニュースや自分のブログ「伊藤浩一のWindows Phone 応援団」に、スマートフォンやタブレットの情報を掲載している。その私が、デジカメ Watchに寄稿することになったのは、オリンパスよりリリースされた「OLYMPUS AIR A01」(以下A01)というカメラがきっかけだ。

先日行われたCP+2015にてA01を体験する機会があり、A01がオールドレンズの活用に向いているのではないか、と感じた。そこで、発売前の試作機を試用する機会をもらい、実際にオールドレンズで利用したところ、十分に活用できる手応えを感じたため、デジカメ Watchに活用レポートを寄稿することとなった。オールドレンズユーザーとして、実際に使用したレポートとして御覧いただきたい。

A01とオールドレンズの相性

そもそも、オールドレンズを使い始めたきっかけは、2013年11月にリリースされたソニーのα7だ。35mmフルサイズセンサーを搭載するミラーレスカメラとして発売されたα7に、父の遺品であるニコンのマニュアルレンズを付けて、撮影を始めたところ、最新のレンズにはない描写に楽しみを感じたのが始まりだ。オールドレンズ歴は、まだ1年ほどではあるが、すでに90本以上のレンズを収集している。所謂、レンズ沼という奴だろう。

オールドレンズ初心者ではあるが、A01とオールドレンズの組み合わせに魅力を感じたのは先に述べた通り。円筒型で、ファインダーを持たない特殊な形状のA01にて、所有するオールドレンズで実写を行うと、その予感は確信に変わった。

「OLYMPUS AIR A01」とオールドレンズ

マウントアダプターで何でもいける

まず、オールドレンズを活用する上で必須のアイテムは、マウントアダプターだ。A01は、マイクロフォーサーズマウントを採用するため、マウントアダプターの種類には事欠かない。フランジバックの短さから、多くのマウントアダプターがリリースされている。

各種マウントアダプター

マウントアダプターの活用で、A01に多様なオールドレンズをマウントすることは可能だ。しかしながら、A01の小さなの筐体と円筒型のスタイルを考えると、大柄なレンズを使うことは現実的ではないだろう。幸いにもオールドレンズには、レンジファインダー時代の小型のマニュアルレンズが多数存在する。A01に似合うレンズを見つけることは容易だ。

小型のオールドレンズの例

ヘリコイド内蔵アダプターを活用

こうしたマウントアダプター遊びをする上で、最近ではヘリコイド付きマウントアダプターの利用が面白い。ライカレンズを始めオールドレンズは最短撮影距離が長いものが多く、近年のレンズに比べると日常的な撮影で活用しずらい。ヘリコイド内蔵マウントアダプターは、レンズを通常のマウントアダプターより繰り出せるため最短撮影距離が短くなり、現代のレンズのような近接撮影が可能となる。

ヘリコイド機能付きマウントアダプター

デジタルズームでピント合わせ

オールドレンズを利用する上で重要なのが、マニュアルフォーカスによるピントの追い込みだろう。オールドレンズにオートフォーカスはありえないからだ。マウントアダプターを介して最新ボディにつけたとしても、マニュアルフォーカスを強いられるのは仕方がない。

近年のミラーレスカメラには、フォーカスポイントの拡大機能やピーキング機能を搭載し、マニュアルフォーカスで利用しやすい機種が多い。A01には残念ながら、そこまでの機能はないが、フォーカスの手助けとなる機能を搭載している。それは、デジタルズームだ。

デジタルズーム機能は、通常のデジタルカメラでも一般的な機能だが、A01でのマニュアルフォーカス時に使うことで、簡易的にフォーカスの追い込みとして利用ができる。A01にオールドレンズが似合うと感じた根拠の一つだ。同じスタイルのAPS-Cセンサー対応製品、ソニーQX1にこの機能がないことを残念に思う。

「OLYMPUS AIR A01」にてデジタルズーム活用例

撮影までの手順

A01の使い方を簡単に紹介する。レンズマウントに関しては、通常のマイクロフォーサーズと同じ扱いだ。マイクロフォーサーズレンズであれば、そのまま装着できる。また、それ以外のレンズに関しては、マイクロフォーサーズに変換するマウントアダプターに装着することで、マウントが可能だ。連携するスマートフォンは、本体下のスマートフォン用アダプターを使って装着する。

小型のレンズを装着した場合は、A01とスマートフォンをそれぞれ片手で持ち、A01をアングルフリーで利用した方が、変わった写真撮影が楽しめる。ただ、大型のレンズの場合は片手操作が難しいため、スマートフォンをA01にマウントさせ、一般的なカメラスタイルにして撮影した方が良いだろう。

A01にスマートフォンを装着した例

A01には光学ファインダーや電子ビューファインダーの類が搭載されていない。その代わりにスマートフォンを利用する。スマートフォンとの接続は、iOS、Android OSともに専用アプリが用意されており、BluetoothとWi-Fi経由で接続する。

利用方法は簡単で、アプリを起動することで、Bluetooth経由でA01の電源オンと認証を行い、その後のカメラ操作(撮影、撮影データの確認、データの転送)は、Wi-Fiにて行う。

一点注意すべき点としては、スマートフォンと他の端末(Wi-Fiルーターなど)とWi-Fi接続している場合は、Bluetooth認証で止まってしまうため、手動でWi-Fi接続先を 「OLYMPUS AIR A01」に変更する必要がある。

専用アプリは、とてもスムーズで使いやすく感じた。他の無線LANの電波が多い場所や、暗い撮影環境(画面の追従性が悪くなる)では、多少もたつく感じはあるが、概ね快適に利用が可能だ。

アプリを起動して 「OLYMPUS AIR A01」と連携する画面

撮影データの転送・シェア

撮影したデータをA01からスマートフォンに転送する際に、各種サイズを選択することが可能だ。オリジナルサイズを転送すると10秒近く待たされるので、転送用画像の画像サイズを2M、もしくは、0.8Mにしておけば、数秒で転送ができて使いやすい。

撮影データの転送サイズの選択画面

専用アプリは8種類用意されている。この中で、オールドレンズユーザーが特に利用するであろうアプリは、「OA.ModeDial」となる。このアプリを利用することで、オールドレンズをミラーレスカメラのように利用可能となる。

「OA.ModeDial」の画面

撮影モードとして、絞り優先、シャッター速度優先、プログラムモード、マニュアルモードの選択ができ、-5〜+5EVの露出補正や、ホワイトバランスの変更も可能。また、撮影画面に方眼表示やデジタル水準器の表示が行える。アスペクト比の変更、セルフタイマーの使用も可能だ。前述したデジタルズームも用意されている。特に水準器表示は、水平をとりにくい円筒型のスタイルをカバーすることができる。

A01がスマートフォンに連携する最大のメリットは、SNSなどを使った画像の共有が簡単に行えることだろう。例えば撮影後、撮影データの確認画面ですぐに共有ができる。また、スマートフォンに転送しておけば、まとめて楽に共有できる。個人的にはFacebookで写真の共有をよく行うため、A01は理想的なシステムに感じる。

撮影データの共有例

実際に利用していて便利な点が、BluetoothでA01の電源オンと認証ができることだ。スマートフォンのアプリを起動するだけで電源オンになるので、本体に触ることなく撮影を始められる。画像の閲覧時にも便利で、例えば鞄の中にA01を入れたままでもアプリさえ起動すれば、A01の電源が自動的に入り、認証が行われ、画像閲覧ができてしまう。サムネイル表示も速く、あたかもスマートフォンに保存されている写真を操作している感覚になる。そのままSNSへ投稿できる。

レンズ別インプレッション

撮影設定はJPEG、写真画質モード16M(4,608×3,456)、圧縮率Fine、デジタルフィルターやエフェクトの設定はなし、絞り優先モードにてレンズの開放値にて撮影した。

Summicron 5cm F2(ライカMマウントレンズ)

まずオールドレンズの代表として、ライカMマウントレンズである「summicron 5cm F2」を使用してみた。沈胴型の初期型のレンズで、比較的安価で入手しやすいレンズの代表だ。最短撮影距離が1mだが、ヘリコイド付きマウントアダプター」を利用することで、約40cmまで近接撮影が可能となる。

Summicron 5cm F2
F2/1/1,000/ISO200
F2/1/16,000/ISO200

NIKKOR-S Auto 55mm F1.2(ニコンFマウントレンズ)

小型のオールドレンズという趣旨からは外れるが、大口径レンズでも試してみた。ニコンFマウントのNIKKOR-S Auto 55mm F1.2だ。

最短撮影距離は0.6mではあるが、より近接撮影するために、Fマウント-MマウントアダプターとMマウント-マイクロフォーサーズヘリコイド付きアダプターの、マウントアダプター2段積みにて利用した。2段積みのために四隅が多少けられてしまうが、近接撮影のメリットを選択して、今回はこの組み合わせにて利用した。

NIKKOR-S Auto 55mm F1.2
F1.2/1/1,250/ISO200
F1.2/1/250/ISO400

Olympus G.Zuiko Auto-S 40mm F1.4(PEN Fマウントレンズ)

オリンパス製のレンズも試してみた。PEN F時代のレンズ「Olympus G.Zuiko Auto-S 40mm F1.4」だ。F1.4と明るいレンズではあるが、とても小型のレンズでA01にて使いやすい。

80mm相当となるが、スナップとしては使いやすい画角と距離感となる。最短撮影距離が0.35mのレンズなので、フットワーク良く利用ができる。

Olympus G.Zuiko Auto-S 40mm F1.4
F1.4/1/2,500/ISO200
F1.4/1/4,000/ISO200

NEEWER 25mm F1.4(Cマウントレンズ)

オールドレンズの中で、小型レンズの代表と言えば、CマウントやDマウントのシネレンズだろう。今回は、Cマウントレンズの中でも、CCTVで使われているレンズ「NEEWER 25mm F1.4」を用意した。

このレンズはオールドレンズではなく、現行販売されているレンズだ。CCTV用レンズは、ネット通販で安価に取引されており、入手しやすい。このレンズは、イメージサークルが小さいため、画面中央以外は解像せず、所謂「ぐるぐるボケ」が発生しており、四隅がけられしまうが、トイレンズ的な風味を楽しめる。

NEEWER 25mm F1.4
F1.4/1/200/ISO400
F1.4/1/200/ISO200

Summaron 3.5cm F3.5(ライカスクリューマウントレンズ)

ライカのスクリューマウント(いわゆるライカLマウント)レンズは小型なものが多く、Mマウントレンズより入手しやすい価格のため、オールドレンズの入門レンズとして人気が高い。その中でも、Summaron 3.5cm F3.5は、逆光などの条件には弱いが、絞ってパンフォーカス的に活用すると、実用的なレンズだ。さらに、小型のため、どのカメラに付けても、スタイリッシュになる。

A01に、Lマウント-Mマウント変換リングと、Mマウント-マイクロフォーサーズヘリコイド付きマウントアダプターという2段積みで使用することで、最短撮影距離が1mから0.3m程度になり、使いやすくなる。実際の使い方としては、マウントアダプターのヘリコイド操作だけで、近接0.5mくらいまで撮影ができるため、レンズのピントリングは無限遠に固定したまま、マウントアダプターのヘリコイド操作だけで利用が可能だ。

Summaron 3.5cm F3.5
F3.5/1/250/ISO800
F3.5/1/250/ISO400

Elmar 9cm F4(ライカLマウントレンズ)

ライカのLマウントレンズをもう1本紹介する。初期型のElmar 9cm F4だ。180mm相当となるため、手ブレ補正のないA01で使うのは困難なシーンもあるが、90mmレンズとしては、スリムで軽量。それなりに利用が可能だ。

90mm以上となると、A01にスマートフォンをマウントさせないと、手持ち撮影では利用は難しいだろう。

Elmar 9cm F4
F4/1/1,000/ISO200
F4/1/3200/ISO200

Carl Zeiss Jena Sonnar 5cm F1.5(コンタックスC マウントレンズ)

コンタックスC(キエフ)マウントレンズの「Carl Zeiss Jene Sonnar 5cm F1.5」は、ヘリコイドのないレンズのため、内爪に対応したカプラーと呼ばれるマウントアダプターを使用する。

カプラー、Lマウント-Mマウント変換リング、Mマウント-マイクロフォーサーズヘリコイド付きマウントアダプター、と3段積みになったが、無事に無限遠は出ていた。

描写は甘く、マイクロフォーサーズの100mm相当の画角でも、十分、その甘さを感じることができる。

Carl Zeiss Jena Sonnar 5cm F1.5
F1.5/1/200/ISO200
F1.5/1/16,000/ISO160

まとめ

以上、様々なオールドレンスにて撮影を行った。ミラーレスカメラに比べて、スマートフォンで操作するという部分で慣れは必要ではあるが、撮影結果はミラーレスカメラで撮影した場合と遜色ないと言えるだろう。ある程度の操作性を犠牲にしても、A01とオールドレンズという最小構成で撮影できることは、通勤鞄や通学鞄を抱えて、毎日満員電車に揺られているユーザーにとっては、大きなメリットとなる。

スマートフォンによる画面タッチだけの操作や、手ブレ補正機能のないことを考え、メイン機として使うのに躊躇されるユーザーは、日常のちょっとしたスナップはA01を使用して、本格的に撮影する場合はミラーレスカメラを使う、といった使い分けが良いだろう。

今後の要望としては、バッテリーに関して物申したい。A01はフル充電で350枚撮影できるが(カタログ値)、バッテリー交換ができないため、予備バッテリーを持って撮影することができない。いわゆるモバイルバッテリーを使えば充電は可能だが、充電しながらの撮影は不可能だ。充電しながら撮影可能な予備バッテリーのような周辺機器があると、より便利に使えるだろう。

A01は、「オープンプラットフォームカメラ」を唱っており、アプリ開発用の仕様などが公開される予定だ。サードパーティー製のアプリや周辺機器の登場が期待される。できれば、オールドレンズ利用に特化したアプリの登場を期待したい。機能としては、「拡大表示」「露出補正」が、スマートフォンの片手操作でしやすい位置に、大きなボタンで配置されると、さらに使い勝手はあがるだろう。今後、A01関連のアプリや周辺機器の登場が楽しみだ。

伊藤浩一

モバイル情報ブロガー、ITライター。ブログ「伊藤浩一のWindows Phone応援団(旧W-ZERO3応援団)」やIT系WEB連載にてモバイル端末などのレビューを執筆。カメラは、ソニーα7を中心にオールドレンズの活用をしている。